My nane is・・・
月兎/1.2.3.4.5.6



私は人を鞭で打つことによって変化する肉体、鞭が当たる瞬間に力み盛り上がる筋肉や赤く腫れ上がる皮膚、痛みに歪む表情、悲鳴が好きだ。
視界を奪われ吊されて、鞭で打たれ。
金で買った者でも不慣れな者なら、この時点で恐怖におののくのだが、バーナビーはさすがキングオブヒーローというべきか、肝の座り方が違うようだ。
冷静で、全く私を畏れていない。
それでも、背中の痛みは相当な物だろう。目隠しをしている布が濡れているのにユーリは気付いた。
その布を外して、涙に濡れる眼球を舐め上げる。
口の中に広がる涙の味と、驚いたバーナビーの表情に少しだけ興奮を覚えた。
髪を掴んだまま、吐息がかかる距離で相手の瞳を覗き込む。

「私はこういう嗜好の持ち主なんです」

バーナビーの瞳に軽蔑の色が浮かんだ。
その視線にユーリは目を細め、鞭を手放した。

「貴方にはあまり、鞭は効果がないようですね」

ユーリはゆっくりとバーナビーの背後へと回り、身体へと両腕を回す。
形の良いバーナビーの耳へと唇を寄せ、問い掛けた。

「……男性経験はありますか?」
「っ……!」

バーナビーの顔色が変わる。
どうやら痛みを与えるより、こういった事の方がバーナビーには堪えるようだ。
片腕は胸板に、片腕は太腿へと伸ばし、触り心地の良い素肌を撫でながら背中の痕跡へと舌を伸ばす。
鞭で赤く腫れた筋を舐めながら指先で胸の突起を撫でると、バーナビーの身体が震えた。

「やめろ……」

バーナビーの言葉にユーリの口角が上がる。

「やめませんよ、君も楽しめばいい」

指先で撫でるうちに芯を持ってきた突起を摘むとバーナビーの身体が跳ねた。
太股から股間へと撫で上げ、緩く勃ち上がりかけている性器を握れば押し殺した声が漏れる。

「うっ……、く」

ユーリはバーナビーの耳を舐め上げた。
濡れた耳にわざと吐息が掛かるよう話し掛ける。

「反応してますね、乳首が弱いんですか?」

顔を覗き込めば睨まれたが、ユーリの表情は変わらない。
しかしユーリの中で疑念が確信へと変わった。
バーナビーは男を知っている。

「……少し待っていて下さい。と言っても、身動きは取れないでしょうが」

道具を用意する為、ユーリはバーナビーから離れた。
バーナビーはまだ、私がルナティックだと気付いていないようだが、部屋を見渡せば気付くだろう。
それでも敢えて、目隠しは外したままにした。
気付かれた方が都合がいい。
どうせいつかは、明らかになるのだから。

ユーリが離れるとバーナビーは大きく息を吐き出した。
先程、ユーリに触れられた部分が疼く。
好きな相手に触れられたわけでもなく、ましてや拘束されたこんな異常な状況下で反応する己の身体が疎ましかった。
これからあの男は、自分のことを抱くつもりなのだろう。
何のためにそんなことをするのか、バーナビーには全く理由が思い当たらなかった。
自分とユーリとの関係と言えば、司法局の人間とヒーロー、ただそれだけでありそれ以外に接点はない。
怨みを買うような覚えも、一切なかった。
バーナビーは冷静に状況を分析しようと試みた。
腕一本動かせず、ハンドレッドパワーも使えない。
それでも大人しくされるがままになるのはごめんだった。
何とか逃げ出せる可能性はないものかと、ユーリのいなくなった部屋を見渡すと見覚えのあるマスクと衣装が視界に入った。
しかも何点も。

「ルナティック……」



 
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