There is no one but you.
虎兎/1.2.3.4.5.6



バニーの手が俺の頬に触れた。
そのまま手を滑らせ首筋を撫でられる。
身体が動かせないせいで、敏感になってるのか、それとも媚薬みたいな成分も含まれてるのか、はたまたこの異常な状況がそうさせるのか、たったそれだけの刺激でゾワリとした感覚が身体に広がる。
それは、不快な感覚ではない。

「う……ンッ」

顎を掴まれて唇に何か触れた、見えなくても肌にかかる吐息や柔らかい感触でキスされているとわかった。
触れるだけのキスを終え、ゆっくりとバニーが離れる。
俺が何かを言う前にバニーから降ってきた言葉に俺は驚いて、言うべき台詞を忘れた。

「好きな人がいるんです」
「……へ?」

俺は大層間抜けな声を出した、ような気がする。

「でもその人に僕は、そういう対象として見て貰えないんです」

この状況でいきなり、恋愛相談?
いや、バニーちゃんから恋バナが聞けるなんて、こんな状況じゃなければ大歓迎なんだけどね?
戸惑う俺に構わずバニーちゃんは言葉を続ける。

「だから、代わりに抱いてくれませんか?」

俺の聞き間違えじゃなければ、バニーちゃんは今、抱いてくれませんかって、言った、よなァ?

「おじさんは何もしなくていいです、どうせまだしばらくは動けないでしょうけど」

ベッドが軋み、それまでベッドサイドにいたバニーがベッドに上がってきたのがわかった。

「あの、さあ」
「なんです?」

俺は疑問に思ったことをそのまま口にした。

「お前が好きな相手って、男なの?」

いつもは割と即答のバニーが黙り込んだ。
あれ、これ聞いたらまずかったか?
だあーって、いっつも女のファンに囲まれてキャーキャー言われて、嫌な顔せずにこやかに対応してるし。
いつものアレは、仕事だから、なのか?

「……確かに、今僕が好きな人は男です。でも、僕はバイですし女性扱いされたいとも思わないので、ネイサンと同じ人種だとは思わないで下さいね」

いや、バニーがオネエじゃないのはわかってるよ、つかヒーローにオネエキャラ二人もいらないだろ。
俺が心の中で突っ込んでると、冷たいバニーの手が太股に触れた。
ごちゃごちゃ考えてた頭の中が真っ白になって、俺はビクリと固まった。まー、元々動けないんだけども。

「意外と、綺麗な脚してますよね」
「ぅわ…」

太股をさわさわと撫でられて、背筋がぞわぞわとする。
ぞわぞわするのは、残念ながら不快だからじゃない。
認めたくはない、けどバニーにこんな風に触られるのは嫌じゃない。
焦らす様にゆっくりと太股を上がっていく手が、俺の股間へと近付いていく。
バニーの次の行動を予想して、無意識に喉が鳴った。

握られて、軽く摺られて、思わず腰がびくついた。

「もう、硬くなってますね。溜まってたんですか?」
「う、うるせー、…仕方ないだろ、最近忙しかったんだ」

目隠しをされていて良かった。
そのおかげでこちらの顔はあまり見えないだろう。恥ずかしくて顔から火が出そうだっつーの。
てか、相手はバニーだってのに、しかもこんなゴーカン?みたいなことされてるってのに、あっさり簡単に反応しちゃうとか、俺の下半身て意外と節操ないのね。

「嬉しいですよ、ちゃんと感じてくれてるみたいで」

だーーっ!もう、恥ずかしいやら情けないやらで叫びたくなった。
だが俺が叫び出す前にバニーが行動した。
温かく柔らかな感触に包まれて思わず身震いする。

「うあっ…、バニー、……やめろっ、て」

ちょ、これはヤバいって!
見えなくたって、何をされてるかぐらいわかる。
舐められて、唇で扱かれて一気に追い詰められる。
言っとくが、俺は早漏なんかじゃない。絶っ対、それはない。
溜まってたのと、この異常なシチュエーションと、それからバニーがやたら上手かったせいだ。
俺は呆気なくバニーの口の中で果てた。



 
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