.
私は立ち上がるとすぐに修行に取り掛かった。この前入った土彦という新人が、私の行なっていた雑用をこなすらしく、私はその間に鍛錬を重ねるほかない。
────鯉伴を守らねば、ならない。
正直、反吐がでるほど嫌なのには変わりはない。しかしやらなければならない。私はそのためにこの何百年も月日を重ねたのだ。
ふぅ、と力を抜いて、木刀を握る。
まだ、里の妖たちは起きていない。
薄暗い中、私は刀に妖気を集め、出来得るひと太刀を構えた。
私の今の力は、どのよつなものか、それを知ってから修行に取り掛からなければ。
「…………ふっ!」
刀を振り下ろす。
その途端、土豪が辺りにとどろいた。反響して、やまびこのように山を通り抜けていく。周りの砂嵐が舞い、視界が開けた時、私は驚愕の光景を視界に入れることになった。
砂嵐が次第に消えていく中、断ち切れた里の畏れが、何十メートルにもなって真っ直ぐに外の景色が開けた。そして、その奥に続く山が、真っ二つに割れていた。
どうやら、私の力はとんでもないものだったらしい。