かごめかごめ | ナノ

に 豊臣の城

※官兵衛視点


「少しお茶でも飲んでいきなよ」
半兵衛の一言で、幻は今のんびりと菓子を食っている。
もう一度言う、菓子を食っている。
茶にはほとんど口をつけていない。
甘いものが好きらしく、嬉しそうにニコニコしている。
「そういえば、気になっていたんだが」
視線が小生に集まる。
おい幻、食うのをやめろ。お前さんに質問するんだぞ。
「幻は、いつも似たような格好だよな」
そう。コイツはここに来る時、いつも黒にくすんだ金の刺繍の着物だ。
刺繍が蝶だったり、鳥だったり、黒が微妙に薄かったり濃ゆかったり。
違う着物であることはわかる。
単にそういうのが好きなのかもしれないが、それにしても似た色ばかりだ。
せっかく可愛い、綺麗な顔をしているのだから、もっと別なものも着ればいいのに。
『ん、じゃあ、不運君に問題』
「その不運君っていうのやめてくれ」
『私の色は?』
ちくしょう、流しやがった。
「そうだな、白」
『せーかい!』
やれば出来る子なんだね。えらいえらい。
わざわざ立って背伸びをして、よしよしと小生の頭を幻が撫ぜる。
……どうしよう、馬鹿にされてる気しかしない。
『じゃあ、私の夫、久秀の陣羽織の色は?』
「黒と、あー、なるほどな」
「何だ!ちゃんと最後まで言わないか!」
幻を案内してきた三成が小生にキレる。
しかし、分かってしまった身としては、口に出したくない。
乱世の梟雄、どんだけ独占欲強いんだ。
『じゃあ、凶王君が答えて』
「黒と白、あとはくすんだ金」
『せーかい!』
「それがどうしたんだ」
きょとんとする三成。ちょ、おま
「三成、にぶすぎであろ」
「何!」
「僕は君の将来が心配だよ」
「え!?」
刑部、半兵衛に言われ、オロオロする三成。
いい気味だ。
『にぶにぶだね〜』
「お前さんも大概だがな」
この女は、自分の伴侶以外からの好意に驚くほど鈍い。
わざとやってんじゃないかってくらい鈍い。
ぶっちゃけると、小生もそのにぶさに痛い目みてる一人だったりする。
『白の私に黒とくすんだ金を足せば、久秀と同じ色になるでしょ?』
「お揃い、か?」
『それよりは、印付に近いんじゃないかな』
名前書くのの代わりなんじゃない?
呆れたふうに言いながら、ひどく嬉しそうだ。
『よし、私帰るね』

来た時と同じように幻はふらりと姿を消した。
小生が星を掴むことができれば、彼女を手にすることもできるのだろうか?
「……いや、無理だな」
「どうかしたのかい、官兵衛君」
「別に、なんでもねえよ」

−−−−−−
秀吉でてねえ。すまん、三成。

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