かごめかごめ | ナノ

に 豊臣の城

※吉継視点


『こんにちは、知性派諸君』
我と暗、半兵衛殿の四人の軍議の最中、その女はあわられた。
我と同じ白の肌。
だが、その白には天と地ほどの差がある。
「術を張り替えに来たのかい?」
半兵衛殿が聞く。
『そういうこと。
はやく帰んないと私の旦那様の機嫌が悪くなるんで、今ここでしていい?』
答えは聞いてないと言わんばかりに、女は我と半兵衛殿に近づいた。

我ら二人は、この女の術によって生かされている。
氷の婆娑羅から派生した時を止める力。
あまりにも強力なそれを制御できず、自身の時も18で止まっているらしい。
その力を他人の体に込めることで、他者の時間も止めてしまえる。
これにより、我と半兵衛殿は病の進行を抑えているのだ。
ただし、定期的に力を込め直さねばならない。
力が切れたとき、止めていた時間が一気に流れてしまうそうな。
やれ、恐ろしいオソロシイ。

女――幻の指が半兵衛殿の手に触れる。
半兵衛殿の肌も白いが、幻の肌はなお白い。
細い指がくるりと円を書く。
『はい。次はてふてふ君』
「……いい加減その呼び方はやめやれ」
『だが断る。いいから目を閉じて』
直に肌に触れればならぬらしい。
包帯だらけの我の体で、晒される部分は、もはやまぶたしかない。
病が治るわけではないのだ。
「触れれば感染(うつ)るぞ」
『毎回言うよね。感染(うつ)ったことないけど』
くるりと円をかかれる感触。
『ハイおしまい』
目を開ければ、ニッコリと笑った幻。
外見だけなら年下なのに。
安心させるようなその笑みは、何十年もの月日を感じる。
もともと人のものである彼女が、一層遠くなった気がした。

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