アンデットについて | ナノ


落とし穴について  


※残酷描写アリ

落ちた。

たまには日光に当たろうと思い、庭に出てみた。
すると何故だか落ちた。
地面が薄くなっていたところがあったらしい。

結構な高さを落下した。
そのうえ、受身なんて取れるはずもなく。
左腕骨折しました。
すぐ治ったけど。

立ち上がって自分を見てみる。
いかにも上等な着物が土まみれだ。
申し訳ないなあ。

上からわずかに差し込む光を見てみると、高さはだいたい10mくらい。
かなりの長さがあるようで、穴というよりは洞窟に近い。
うん、これ完全にあれだと思う。

誰かが見つけてくれるかもしれないが、今は朝ごはんのすぐ後。
私が次、女中さんに会うのはお昼ご飯の時で、そのすぐ後に足利さんとお話をする。
つまり、どう見積もっても5時間以上、発見されることはない。

ものすごく遠くに明かりが見えるので、それに向かって歩くことにする。
荷物とかを運びながらなら、私でも追いつけるだろう。
あんまり運動は得意じゃないが、歩くくらいならできるはずだ。



黙々と歩くこと数十分。
だんだん明かりから近くなってきた。
それと対照的に、落ちた穴からはかなり遠くなっている。
もう振り返っても日光は見えていない。

「おーい」

聞こえるかと思って呼びかける。
明かりが立ち止まったような気がした。

「待ってくださーい」

足を動かしながら、さらに呼びかける。

「あ、穴蔵幽霊だー!」

おい待てこら。
誰かがとんでもないことを言ったのが聞こえた。
明かりが進む速さが格段に速くなる。

これまずくないか。
そう思っていたら、何かが叫びながらものすごい勢いでこっちに転がってきた。

「なぜじゃー!」

はい、特定余裕です。
官兵衛さんです。
かなり近くなっているのに、止まる気配がない。

ヤバイ。

避ける暇もなく、鉄球の下敷きになった。
人に当たった衝撃で、鉄球は止まったらしい。
驚きつつ喜んでいる声が聞こえる。
いいから早くどいてくれないかな。

ドタドタとたくさんの足音が聞こえる。
なんだか胸のあたりがおかしい。
肋骨が何本か折れて、内蔵に刺さったのかもしれない。

まあ、すぐ治るからいいや。
痛覚も麻痺しているようで、あんまり痛くないし。

「官兵衛さん、大丈夫かい?」
「ああ、何とかな。しかし何かに当たった感触が」
「官兵衛さん、鉄球の下に誰かいる!」
「ええ! た、大変だ!」

ようやく鉄球がどいた。
なんかしばらく動きたくない気分だ。


prev / next

[ list top ]


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -