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遙か太古より在りし地、フォドラ。
天上より女神の見守るといわれるその大地は、
三つの勢力によって統治されていた。
千年以上の歴史を持ち、
フォドラの南半分を支配する、
アドラステア帝国
その帝国の北側、
寒冷な大地を王と騎士たちが治める、
ファーガス神聖王国
そして大陸の東側で、
王を戴かずに有力貴族による共同体を成す、
レスター諸侯同盟領
かつては戦乱の嵐が吹き荒れた大地も、
今は三勢力の均衡により平穏が保たれていた。
◇◆◇
(そういえばそんな話昔聞かされた気がするな)
流れ流されの傭兵。そんな職柄上歴史などは大して詳しくなかったが今更ながらちゃんと調べておけばよかったかな、と、目の前で微笑む女性を眺めながらそんな事を思っていた。
フォドラの中心と言っても過言ではないこの場所にはセイロス様とやらの女神を信仰するセイロス教会があり、そして3カ国の交友を深めるための士官学校でもあった。そんな場所に連れてこられたのはジュラルトが実は大修道院のお偉いさんだったという驚きの過去持ちの(割と驚いていたがソティス曰く変わらず真顔だったらしい)ジュラルドのおまけのような扱いで一緒にドナドナされて、大修道院の1番のお偉いさんらしい女神のように微笑む女性、大司教であるレア様導きの元……
「そう……ベレスと言うのね。とてもいい名前ねこれも何かの縁。ちょうど1人、教師が欠けてしまっていてもし良ければ士官学校の教師になりませんか?ええ、それがいいと思います。ええ、教師になりましょう。そうですそれがいいですねあなたは今日からこのガルグマク大修道院の士官学校の教師です(超要約)」
要約したけどそんな感じの半ばゴリ押しの導きの元、気がつけば教師として迎えられていて、士官学校に勤めている先輩教師の色気のある女性のマヌエラ先生とダンディな髭のハンネマン先生は、新任の先生から先に勤めたい学級を選んでいいぞと最初の携帯する獣を貰うようなチュートリアルで三学級の特徴を聞いていく。(お主は何を言ってるんじゃ)うるさい私もだいぶ展開が分からない。
マヌエラとハンネマン曰く、士官学校には、3つの学級があり、出身国ごとに所属が分かれているらしい。
まずは
アドラステア帝国出身の生徒たちが中心で今年の級長は次期皇帝と噂される皇女のエーデルガルト。先の戦いで助けを求めた一人だ。
……皇女だったのか……あの気品も納得だ。
そして
ここにはレスター諸侯同盟領の生徒が多く属している。
級長は、諸侯同盟の盟主であるリーガン公の孫、クロード。
同じく助けを求めてきたうちの一人のあの掴みどころの無い褐色の青年か。
ふむふむと形だけでも頷いておく。あれ?この流れだとあとひとつ、最後の学級の級長は…………
最後に
ファーガス神聖王国を出生とする生徒が主に所属する。
今年の級長は、王子のディミトリ。
あの時の王子様はほんとうに、おうじさまだった
「…………………………(絶句)」
「ふふ、驚くのも無理はないわ」
「次代の皇帝、国王、盟主が揃い踏みとは、なかなかとんでもない年になりそうだな」
「厄介事はごめんだけども……さて、ベレスせんせ、どの学級を勤めるか心は決めているかしら?……?あら?先生?」
が、ガチ王子様やんけ
なんてこった金髪青眼の美しい顔をした王子様って実在したんだ。もしかしてあの絵本彼がモデルなのでは????いや、あの時まだ彼は産まれてないだろう。落ち着こう。ひとまず落ち着こう。
「今年はだいぶ個性的な子達が多いし……まずは生徒たちのお話を聞いてから決めてもいいわよ。時間は明日まであるもの」
「確かにそうだな。また改めてレア様に報告してくれ」
「わ、かった」
今冷静でない頭だと真っ先に青獅子の学級の手を取ってしまう。気がする。しかもあの顔のいい顔を鑑賞したいがためのミーハー的な目的で、だ。いかん、あかん。「先から語彙力が死んどるの」
自覚はあるから脳内にツッコミを入れるのはやめてくれないかのじゃロリ。