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貴族貴族貴族オブ貴族ひとつ飛んでまた貴族。

「やんごとなき身分の生徒しかいない」

「士官学校という名の大層な場所じゃのぉ」

最初に青獅子の学級へ話を聞きに行くとあとの情報が全て頭に入らない気がして(主に顔のせいで)、先に黒鷲の学級と金鹿の学級の級長のエーデルガルトとクロードに2つの学級の話を聞いた。

するとまぁ出るわ出るわ〇〇侯の娘、嫡男、公爵家たまに平民の子もいたがそれでも歌姫だったりと有名な事には変わりない生徒たちばかりだった。


「生徒たちの上に立つ自信が碎ける」

「そもそも素人のお主に教師を任せたいとは余程切羽詰っておるのかの」

「そこなんだよね。見た感じ人手不足って感じじゃなさそうだし、……裏がありそうであまり乗り気ではない」

ソティスの声は私以外聞こえないらしいので端の方でコソコソと小声で話しながらも最後の学級、青獅子の学級の級長ディミトリ元へ重たい足取りで向かう。

私が教師になることは級長以外にはまだ話していないらしく、生徒たちには級長達を助けた傭兵の女、として好感的に見られているのか貴族とはいえ、みんないい子ばかりだった。

貴族といえばパンがなければケーキを食べそうなイメージしか無かったが偏見の持ちすぎも良くないな。


そんな事を考えているとディミトリがいるという中庭に着いた。あの目立つ見た目はどこにいても輝いて見えて、今も女生徒に囲まれていた。そりゃそうだあんな綺麗な王子様、ほっておく訳が無い。


話しかけ辛いな、と少し離れた位置から眺めていると、私に気づいたのか、ディミトリは女生徒達に軽く会釈してこちらに向かって歩いてきた。


「よかった、また会えたな」

「話し中ならあとでも良かったのに」


「命の恩人なんだ。優先させてくれ。それと先日は、すまなかった。世話になっておいて……ろくに名乗りもせず、散々無礼を……」


れっ礼儀も正しい。欠点ないんじゃないかこの青年……いや、当然か。将来国を統べるものが暴君や阿呆ならとんでもない。
そして困った顔すら眩しいの勘弁して欲しいのだけども。

「この学校の教師になると聞いた。……もう、ぞんざいな口はきけないな」

「いや、そんな畏まらないでも、……王子なのだから」

「ここにいる間はただの一個人の生徒だ。そちらこそそこまで遠慮しないでくれ……ああ、いや。遠慮しないでください」

「けっ、」


「?け、……?」




敬語…………!!

王子顔が私に敬語を使って、申し訳なさそうにこちらを眺めている。
やめてくれやめてください。


「け、敬語で話さなくても……」


「いやこれはけじめですから。学校にいる際は貴女は先生で俺は生徒だ。……改めて。ディミトリ=アレクサンドル=ブレーダッド、と言います」

苗字までロイヤルティを感じてしまう。当然だ王族なのだから。先日は名前のみ名乗ったのは苗字だと王族とバレてしまうからか。納得。納得はしたけどその名前を脳に刻む時間はください。




「立場としてはファーガス神聖王国の王子、ですが……ここでは、あくまで一人の生徒です。未熟者ではありますが、
ご指導よろしくお願いします、先生」




「うおぇあ……」
「まるで肺から捻り出した様な声じゃの」

サングラスが欲しい。私は私の目を守りたい。
そして胸の不整動脈が酷いバクバク爆発してしまう。いつの間に胸に地雷が設置されたのか分からないが撤去作業をしなければならない。てなわけで帰ってもいいですか。帰られせてください。


「そうだ、学級を見て回っているそうですね。
青獅子の学級に気になる者はいましたか?」



あなたが気になります。そのままそれを伝えそうになったが相変わらず表情筋は追いついてなくて(今だけは助かった)淡々となんて事ないように「ディミトリについて教えて、」と気がつけば口から捻り出していた。


「私、ですか。……ええと、すみません、難しいですね、自分のことを話すのは……愉快な身の上話などもできませんし……
まあ、そういう人間だと思ってもらえれば」


控えめ!!かわ…………まて、先程から自分はおかしい。彼が話す1文字1句にテンションが上がってしまってる「微塵も表情筋動いてないがの」うるさいこれが私の最上級の喜びだ。







それから黒鷲の学級と金鹿の学級や青獅子の学級の生徒たちとも話ををしたがどうにも頭に入っていなかったらしい。
ちょくちょく便利なグーグr、ソティスがそ奴は金鹿と言っていたぞと補足を入れてくれたことによってどうにかなったがレアの元に戻るまでに私は脳内に駆け巡るディミトリの敬語で7回ほど壁にぶつかった。







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