おかしい | |
「ふーん…ヤミラミは宝石食って生きてるのかー…」 ・・ ぼくも無償に歯が痒かった時は何か噛んでいたけど流石に宝石は噛み砕く自信はないなー。 ダイゴが帰った後母曰く「今のうち好感度を上げておきなさい!!」との事で部屋での読書を進められ、 「イーブイの進化の可能性はまだまだあると言われ、今後の石のエネルギー解説しだいでは月の石や太陽の石でもエーフィやブラッキーになれる可能性も…ふむふむ…」 色んなタイプに進化できるってどういう気分なんだろうか… ・・ ぼくは”彼女”に合わせて進化はしたくなかったがバトルで役に立つためには喜んで進化しただろう。 「……だめだ全然頭に入ってこない、」 先程から何やらおかしな考えばかり思い浮かぶが肝心の本の内容は右から左へ流れていく。 まだ残りページは厚い。今は20ページの後半あたり、1日で読むのは不可能だろう。だがまた会う事があれば確実に本の評価を聞かれる。 何か興味がでるページは無いかと大雑把に残りのページをパラパラと捲る。 (ソルロックルナトーンコドラ…あー…全然興味わかないなぁ…) そしてページが中盤に差し掛かった頃、1度過ぎてしまったページに、見覚えのある…いや ”忘れもしないあの姿”が目に写り私は慌ててページを戻した。 ページの見出しは【 その水晶の輝きは人々を魅了して止まない】 「スイ……クン…?」 スイクン、に、魅了された、 人、 そう言えば、そんな男がいた、 私の、”私でない”記憶に、 誰だ、 アイツは、 「ミナキ」 「うッ…え…ぇッ…!!」 喉からナニかがこみ上げてきた。気持ち悪い。 行き場のない感情と記憶がグルグルさ迷って口から出る。 「ゲホ…ッ…あっ…ッ」 「ミズキ〜!どう?読書は進んで……ミズキ!!!!?」 むり、気持ち悪い、わけわかんない 誰かが読んでる、誰? 肩を支えられて起こされるがグラグラする視界では最早誰かも分からない。 ますたー?? ああ違うや ”あの人”の母親だ 「ミズキ!ミズキ!しっかりして!」 優しい、人だな。 ・・ ぼくなんかに必死になってくれて ああ今はこの人の子供だからか、だから心配してくれる。 でも 違う。 ・・ ぼくの親じゃない この,やさしい親は ・・ ぼくが”あの人”からとってしまった人だ。 本のその見開いたページに倒れるように、眠り私はそこからの記憶がない。 最後に目に写ったのは 【 美しい北風の生まれ変わり】という言葉だった気がする。 |