愛,逢,哀 | ナノ
都合のいい夢を見た




ミズキが"ミズキ"を殺し
また別の『ミズキ』を殺す
悪夢の無限ループは今は止まっている、


この世界の< ミズキ >が逃げたから
でもまた,
まだ
終わっては ない

止まっているだけなのだ

セレビィはため息を吐きながら問いかける
姿が見えずに,その『無邪気』な声だけが響く

『どおするのー,また殺すー?繰り返すー?一度転がり始めたものは坂道が途切れようともなかなか止まらない…"止められない"…まあ僕には関係ないけど』


『…ちょっと待って』

『は?』

おかしい
セレビィの無邪気な声がピタリと止まる


『何か,おかしいわ』
『おかしいのは君だ…君達だ』
『貴方何か隠してる』
『何を言ってるの?』
『だって矛盾してるわ』
『君たちの存在事態が矛盾してるんだ』
『おかしな点がいくつもあるわ』
『君達がおかしいからね』




『違う』

『何が』

『何かが』

セレビィが黙る
…何かがおかしい
このセレビィは『まだ何か知ってる』


負の感情を持ったポケモンが影響して
人間を狂わせる

この『負の感情』は,…"ダレ"のものだ?





『始まりのミズキ…病気で亡くなったミズキはミナキを導く存在に成りたいと言っていたのよね…?なのに望んだ姿…スイクンという存在に成れて何故ミナキを殺すの…?』

『……だから,ミナキがミズキのことを覚えてなくてそれなのに別の世界のミズキと居ることに腹が立って…』



『違うわ』











思い出してきたのだ
セレビィに掘り起こされた悪夢のループ,
それを順々に辿るとおかしな点が多々ある

『…最初のミズキはスイクンに成れたことを誇りに思っていた,ミナキが覚えてなくてもいい,病弱で長く生きられなかったミズキにとっては、他のポケモンと違い唯一無二の…伝説と呼ばれる存在,を』


『でも殺した』


『殺したんじゃない,"殺された"』

『君以外のダレに?』
『負の感情を持ったポケモンに』
『ソレは君だ。"君達"だ』
『スイクンでは,ない別のポケモン』
『違う』
『違わない』

セレビィの声が無邪気さかなくなり,真剣な声になる
当たりだ。セレビィはナニか知ってる

『ミナキか私のポケモンが,負の感情を持ったポケモンが殺した。…殺させたのか』
















『異常な感情』を持ったポケモンが
『そばにいることで』ポケモンに転生する






「ちょっと待って」






最初のミズキも
あの時のミズキも
その次もその次の次も

私はポケモンを一匹しか持ってなかった









『確かめなきゃ…』






わたし、の、手持ちは、

あの子しかいないわ









私は祠に背を向けて走った










ホウエンに向かって



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