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15

明日から本気だす。






chapter:15






「敵だ!!!!」



そう叫んだ相澤先生は、眼下の広間に現れた集団を見てゴーグルをつける。
最初は演出かゲストぐらいに思っていた他のクラスメイトも、その鬼気迫る雰囲気に現状を理解した、襲われている、と。



「先生、侵入者用センサーは!」

「もちろんありますが…!」

「現れたのはここだけか学校全体か…なんにせよセンサーが反応しねぇなら、向こうにそういうことできる個性(やつ)がいるってことだな」

「成る程…校舎と離れた隔離空間、そこに俺っち達が入る時間帯…」



先日、この奇襲の首謀者にあったときの会話に漸く納得がいく。
ここ雄英に攻めてくるのはやはりバカだと思うが、アホじゃなかった。

本気でオールマイトを殺すための、用意周到に画策された奇襲。



「とりま、ここは俺っち達は下がるべきでしょ」

「そうだ、13号避難開始!学校に電話試せ!センサーの対策も頭にある敵だ、電波系の個性が妨害してる可能性もある」



センサー対策…この間のマスコミ騒ぎの時にその辺も調べられたか。
上鳴の戦闘服にも無線機がついてるらしいから、それも試すよう先生に言われ、上鳴はハッとした様子で答える。

言うだけ言って先生は一人、広場の敵を迎え撃つつもりのようだ。
そんな先生を緑谷が引き留める、先生の戦い方じゃ正面戦闘は難しいんじゃないかって。

でも先生だってプロヒーローだ。
一芸だけじゃ務まらない、そう言った先生は、あっという間に戦場の真っ只中に一人乗り込んでしまった。

流石現役プロヒーロー、そこらの雑魚じゃ歯が立たないのは当たり前だ。



俺っち達もぼうっとしているわけにはいかない、言われた通りこの場を避難する。
13号に指示され、飯田が指揮する中で、俺っち達を嘲笑うようにソイツは突然現れた。



「避難などさせませんよ」

「!!」

「(チッ、こいつは…)」

「初めまして、我々は敵連合、僭越ながら…この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせて頂いたのは。

平和の象徴オールマイトに、息絶えていただきたいと思ってのことでして」



相澤先生の隙をつき、俺っち達の目の前に現れたのは、黒い靄を操る敵。
服から覗く四肢や頭部とおぼしき場所からユラユラと揺れる黒いそれは、確実な悪意をこちらに向けていた。

一瞬、その頭部にある目が、こちらに向いた気がした。
その視線が俺っちに何を伝えるものなのかはてんで解らない。

視線が俺っちに向いた瞬間、その隙を見逃さない奴が二人、俺っち達を守ろうと前に出ていた13号を押し退けて、敵に拳を振り上げた。
切島と爆豪だ。



「ちょ、お前らっ、手ぇでるの早いって!」

「うっせぇ!蜥蜴野郎!」

「俺たちにやられることは考えてなかったか!?」



切島の拳、爆豪の爆発が敵を襲う、咎めた俺っちを無視して牽制する切島と爆豪だったが、二人の攻撃は奴には利いていないようだ。

惜しかった、今のがちゃんと命中してれば状況が変わったかもしれない。



「危ない危ない…そう…生徒といえど優秀な金の卵は…」

「!ダメだ二人とも!退きなさい!」

「散らして、なぶり、殺す」



靄の動きに気付いた13号が制止の声を上げる。
しかしすでに遅く、一気に俺っち達をその魔の手が覆った。

飛ばされる、そう直感して近くにいたやつの腕を引っ付かんで引き寄せる。
なるべく一人にならないように、特に戦闘が専門じゃないやつを。

そして視界が真っ暗になる、飲み込まれた、あの靄の個性は『知っている』が、それ故に何処に飛ばされるか解らない。

視界が晴れる、光が映る。
靄から解放された俺っち達を待ち構えていたのは。



「八百万さん!耳郎さん!俺っちの近くに!上鳴!呆けんな!」



俺っち達を取り囲む、下劣な笑いを上げる敵共の前なのだ。

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