10話



「“ーー日本代表、MSBYブラックジャッカル所属の木兎光太郎選手、長年の交際を実らせミュージカル女優と入籍!”……って、木兎さんすげー!!」

普段から賑やかな控え室が、日向の声によりいつもより賑やかになった。

「だろだろー!今度奥さんに会わせてやるよ!」
「うわー!“奥さん”って響きかっけー!楽しみにしてます!」
「ぼっくんが女優と結婚とか嘘やろ……」
落ち込む侑。
「侑さん今日ずっとそれ言ってますね!」
「なんだツムツム!羨ましいの?」
「悔しい!けど羨ましい……!」
「奥さんどんな人なんですか?」
「うーん、歌が上手い!」
「ミュージカル女優ならそうだろ」
「いつ知り合ったん?」
「高校んとき!」
「えっじゃあ梟谷の人ですか!?」
「そう!」
「え、じゃあおれらが合宿に行ってた時から話してた彼女さん……!?」
「そうそう!」
「すっげー!木兎さん一途!!」
「あれ?でもぼっくん大阪(こっち)やん?」
「うん?」
「奥さん来るん?」
「いや!東京!」
「えっそうなんですか?」
「だって公演多いの東京だし」
「じゃあ別居婚、ってやつですか?」
「関西公演の時はうちにいる!」
「へえ!なんかかっけー!」
「東京と大阪で結婚なんてよく出来る……」
「オミオミは遠距離無理なの?」
「でも確かに不安になったりするやん?浮気とか」
「浮気……!木兎さん不安じゃないんですか!?」
「うん!全然へーき!」
「かっけー!!」
「すごい自信」
「ホンマやな」
「だってめっちゃ好きだし……それに俺も栞も遠征とか地方公演とかで家空けること多いし、あんまり気になんない!」
「木兎さんすげー大人っすね!」
「だろー!毎日テレビ電話してるし!」
「でもぼっくん最後に直接会ったのいつ?」
「えーっと先月かな」
「えっ?結婚はいつ??」
「ああ、公表が昨日だっただけで入籍自体は先月!」
「じゃあその時が最後なんですね!」
「それって大丈夫なん?」
「なにが?」
「エッチしたくなるやろ?」
「エッッッッッ、」
「日向うるさい」
「あー、それはめっちゃしたくなるけど、」
「けど?」
「会った時に会えなかった分もまとめて抱くから大丈夫!」
「それは……奥さん大丈夫なん?」
「なにが?」
「いや……なんでもない」

「喧嘩とかしないんすか?」
「フツーにする!」
「するんかい」
「でもそうすると遠距離だとしんどくないですか?会えない分余計に拗れそうじゃ、」
「そん時は赤葦に頼むから大丈夫!」
「うわ、」
「梟谷のセッター未だにぼっくんのアシストしてるん!?」
「赤葦さんすげー!」
「ぼっくんはホンマに幸せモンやなあ」
「うん!俺、世界で一番幸せな自信ある!!」


fin.


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