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溶けちゃえ、

これの続き的な




いつもとは趣向をかえてみまして、と森山は言った。
対面して床に座ったかと思えば俺の右手をとって、俺の顔を凝視して、がぶり。指を三本も口内に入れられてしまった。痛くはないけど、くすぐったいなぁ。口の中だから生暖かいし、息が当たる。くすぐったい。


「どうしたの、急に」
「俺もやってみたくなっただけ」
「そっか」


ぺろりと中指の先を少しだけ舐めて指を開放する。手は掴んだまま、晩御飯に好きなおかずがいっぺんに出てきたときみたいに視線がさまよって、悩んだ末に尺骨茎状突起にがぶり。どうやらお気に召したようで何度も何度も優しく歯を立てる。


「森山、よだれ」
「あ」
「いくつだよ、お前はもう」
「うぃー」


一旦離して拭ってやる。浮いた骨のところだけばっちり濡れていた。
そういえばこいつ、寝てる時によくよだれ垂らしてるよな。ちいさな子供みたいで思わず笑ってしまう。笑ったら笑ったで拗ねた顔された。「何わらってんだよ、お前もいつもやるじゃん」。俺はいつもよだれ垂らしたりなんかしないよ。


「森山にやらせると、すぐべたべたになるな」
「唾液の分泌が多いと虫歯になりにくいんだよ」
「ネット?」
「残念テレビ」


今度は身を寄せて耳にかぶりつかれた。話の内容は色気もクソもあったもんじゃないけど、楽しそうな森山を見てると自然と俺も楽しくなってくる。だから、もういいだろ。


「お、れが今日はやるって言った」
「もー充分」


覆いかぶさって床に倒して、ちょっと湿った唇に噛みついてやった。




130317



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