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おたはむれはおよしになって

がぶり、甘噛み。


小堀の愛はちょっと痛い。痛いっていうかくすぐったいけど、大きな噛み跡を見るとやっぱりちょっと痛い。
ふらふらする俺への碇だろうか。ずっしり構えておおらかな小堀の余裕のなさがうかがえるから、実は結構このマーキングが好きだったりする。


「小堀、この子可愛くない?」
「んー、ちょっとケバい。こっちの子のが好みかな」
「ふーん。こっちは?」
「微妙」


がぶり、左の首筋を噛まれた。
俺は小堀の脚の間に座ってファッション誌を指差す。小堀とはあんまり女の子の好みが合わない(俺達は二人共真性じゃないんだ)。俺は所謂『キレイなお姉さん』が好きだけど小堀は垢抜けない子が好きだ。確かに小堀にばっちりメイクの子は似合わないけど、俺って垢抜けてないのだろうかと気にしたりする(前にそれを言ったら好みと好きは違うだろって言われた)。


「森山痩せた?」
「まさか。毎日食ってあんだけ運動してんだからむしろ筋肉ついてるって」
「ふーん。なんか腰周りが細い気がする」
「気のせい」


ぺらりと服の裾を捲くられてぺたぺた腹を触られる。小堀手ぇ冷たいよ、寒い。抗議の声はもちろん流された。


「この跡いつのだっけ」
「一昨日。結構残るよな」
「噛むとき力入れすぎなんじゃねえの?」
「大丈夫、優しく噛んでる」


小堀の手に添えていた手を掴まれて、手首の出っ張った骨に引っ掛けるように噛まれた(なんてんだっけ、この骨。尺骨茎状突起)。小堀はうっすらついた跡を俺の目線に持ってきて「ほら」と言う。何がほらだ、確かに痛くなかったけど、こんな隠せもしないところ。俺の恋人すげー猟奇的なんだって誤魔化せばいいのか。大嘘だ。小堀はこんなにも穏やかなのに。


「噛まれるの嫌?」
「…別に嫌じゃない」
「ならいいんだ」


前言撤回だ。俺を振り向かせて鼻の頭を噛んだ小堀の目はちょっと猟奇的だった。




尺骨茎状突起萌えを全力で推奨します
130208




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