×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -

 

 あんなに楽しみにしていた恋人生活は、三週間経った今でも送ることは出来ていない。

 告白が成功したあの日。
 一応メアドは交換したけど、メールをしても返事は貰えない。
 朝も本当は一緒に行きたいけど、どの駅から乗るのかすら未だに知ることが出来ていない。また、帰りもしかり。
 いつも斎藤軍団(周りからそう呼ばれてるイケメン集団)が一緒なので、二人で帰ることは叶わない。その上必ず誰かの家に直行なので、僕は付いて行くことすら出来ないのだ。

(誰も誘ってはくれないし…)
 
 だからこそ、せめてお昼だけでも! とは思っても、矢張りここにも斎藤軍団は一緒で。その上例のA君が常に睨んで来るし、僕と斎藤くんを隣に座らせない様にしているから、一体何の為にその場に居るのか分からない状態。
 斎藤くんは何も言わない。

 辛い。辛すぎる。

 僕は斎藤くんが好き。
 斎藤くんはきっと僕を好きじゃない。
 でも、OKしてくれた。

 一体何故?

 好きじゃない、嫌い、好きになる要素がない場合は必ず鋭い言葉で切り捨てられているはず。でも僕は受け入れてくれた。
 それは、好きじゃないとしても、好きになれそうな要素があったから?
 
 だけどこの三週間、殆んど会話もしていない。向こうから僕に興味を示すこともまず無い。

 何でOKしてくれたの? 何で断らなかったの? そんな事をグルグルと考えたまま一ヶ月が経ち、流石に考えることに疲れてきた頃。

「宮田くん」

 今日も斎藤軍団とは合流せず、一人虚しい帰り道を辿ろうと教室を出た時、可愛らしい声に呼び止められた。見覚えの無い顔から、別のクラスの子だと分かる。

「あの、聞きたいことが有るんだけど…」

 少し聞き辛そうにしていたので、場所を変えようか? って聞いたら、ここでいいと言われた。

「なに?」
「宮田くん、斎藤くんと付き合ってるって…本当?」
「え…?」

 今更? と思った。けど、理由は簡単に分かった。

「あの…二人で一緒にいる所見ないし、その、話してるところもあまり見ないから…」

 そう言って俯いてしまう。

(あぁこの子、斎藤くんが好きなんだ)

 そして彼を見てるうちに気付いたんだ。僕たちが全く話していない事に。二人で居ることがない事に。
 あれ程噂になったにも関わらず、付き合ってるなんて思えない程に僕らには距離が有ったんだ。そう思うと、何だかみるみる内に心が枯れていった。そうして出た言葉は…

「付き合って無い」

 え? と、周りから声が聞こえ、聞いてきた本人は目を見開いて驚いていた。だからもう一度、ハッキリと。

「僕は、斎藤くんと付き合ってない。…じゃあ、帰るね」

 驚いて固まってしまった彼を残して身を翻す。言葉に出してしまえば、何と呆気ないものなのか。
 僕の恋に、遂に終止符が打たれる時が来たんだ。


次へ



戻る