キャラメルキッス

 キャバクラ寄って牡蠣鍋食って。大満足って言いたいところだが、龍宝の機嫌はいつもの如く悪い。そんなにキャバクラに牡蠣がきらいかね。女はいいぜ、柔らかいしおっぱいもついてる。牡蠣鍋は言うまでもねえ。が、俺は知ってしまったのだ。女よりももっと、極上の男がいるということを。
 それも、こんな近くにいたなんてな。まったくの盲点だ。
 ホテルに着くと、龍宝は機嫌悪く自分の部屋へと行ってしまい、慌ててその後を追う。いけねえ、いけねえ。機嫌取りっと。
「龍宝、部屋入れてくれよ。ほら、約束忘れちまったのか? 夜になれば、俺は鳴戸ってそういうこと」
 すると、すぐに耳が真っ赤になって、その様もまた、かわいい。クッソかわいい。
「なっ、部屋行ってイイコトしようぜ」
 率先してドアノブに手をかけると、ヤツが鍵を開けて中へと入って行く。よし、後ろからっ!
「龍宝っ!」
「わあっ! な、なにするんです斉藤さん!!」
 ヤツの身体に腕を回してぎゅっと抱いてやると、途端顔を真っ赤にさせて怒鳴ってくる。こいつ、マジで忘れてやがるのか? 例の約束を。
「違うだろ、親分、だろ? 夜になったら俺はお前の鳴戸だからな。キスするか?」
 ぎゅっと後ろから抱きしめると、顔を真っ赤にさせて震え始めた。
 あー……この反応。初心でかわいいぜ。早くキスしてえな。
「ほ、抱擁をもうちょっと……」
「なんだ、もっと抱きしめて欲しいのか」
 こくんと頷き、さらに顔を赤くしてやがる。このクッソ、かわいいなあ。いいにおいもする。このにおいも、女のにおいじゃねえんだけどなんかすげえいいにおいなんだ。
 首元に顔を埋めてすんすんと嗅ぐと、それはいやなのか身を捩っている。
「あ、あの、くさいでしょう? その……は、恥ずかしいです。止してください、斉藤さ……お、おやぶん。あなたにはいつも、きれいな俺を見てて欲しいですから……」
 健気! それでいて健気!! こいつどこまでかわいいんだ。んなこと思わねえでもいいのに。まあ、そういうところもこいつの美点か。かわいいもんなあ、そういう考え。女でもなかなかこういうのいねえってのに、ホントこいつの可愛さは底なしだな。鳴戸が惚れちまうのも分かる。男なんか特に、そういうことなんて思わねえと思うのにこいつは違うんだな。
「なあ、ベッド行こうぜ。またイイコトしてやる」
「あ、あ、あの! シャワーを、浴びてこないと……くさい俺はきらいでしょう?」
「あのなあ、誰がくさいって言った。お前はいいにおいがするぜー? 思わず勃っちまうくらいには」
 おっと! いけねえ、これはさすがにこいつもいやがるか。ま、あくまで俺は臨時の鳴戸だからな。それまでは遊ばせてもらおうと思ってたけど、マズかったか。
 すると俺の不安を他所に、こんなことを言いやがった。
「おやぶんは……やっぱり、おやぶんですね。あの、くさくないなら……べ、ベッド、ベッドに……」
 っくー! かわいいねえ、こいつはやっぱり。
「キスしていいか、その前に」
「えっ……」
 返事なんか、聞かないもんねー。あごを捉えて無理やり後ろを向かせて早速キスを仕掛けてやると、初めは戸惑っていた風のヤツもすぐに乗ってきてたどたどしい舌使いで俺の舌を舐めやがった。はははっ、ホント下手くそなキスだな。鳴戸と散々してきてるだろうに、なんでこんなに初心っぽさが抜けねえんだろうな。こういうとこもすっげえかわいい。
 そのまま舌を絡めてやって舐めてやると抱いてる身体がぶるっと震えた。あ、こいつ感じてやがる。未だ舌舐めただけなのに、初心だ。初心だぜ。
「っん……あ、はあっ……おや、ぶ、んっ……」
 おっといけねえ、舌の動きが疎かになってた。さて、どこ舐めようかな。まあ、まずは舌だろうな。舌を徹底的に舐めてやろうっと。鼻歌交じりだ。愉しくて仕方ねえ。
 というか、この体勢良くねえな。正面を、向かせてっと……。
 くるっと身体を反転させてそのままキスに持ち込む。口が開いてなかったので舌先で歯をノックしてやると漸く分かったのか、本当に薄っすらと口が開いたので舌を捻じ込みそのまま奥の方で縮こまっている舌を捉えてベロベロに舐めてやる。
 手加減なんかしねえ。徹底的に舐める!
 舌に乗ったヨダレを吸いながらしゃぶるようにして舌全体を舐めてやると、また身体が震える。こいつ、キスにも弱ぇのか? まったく、おぼこいねえ。こういうとこも、いいよな。擦れてねえトコがまずいい。かわいいモンだぜ。
 さらに舌を絡ませるようにして舐めると、ヤツからも少しだけ反応が返ってきて拙い様子で俺の動きについてくる。その緩やかさに合わせるようにして、俺も舌の動きをゆっくりしてみるとどうやらそれはヤツのお好みだったらしく、甘やかな喘ぎ声が聞こえ出す。
「ん、んんっ……んは、は、あっ……はあっんンッ、んっんンッ、ふむっ、んっ」
 舌で舌を巻き取り、そのままぢゅっと音を立てて吸うとヤツの甘いヨダレが口のナカに大量に入ってくる。そういえば、言ってたな。鳴戸とキスする時は口のナカにヨダレいっぱい溜めとくって。それか、このやたら甘いヨダレのハンパない量は。しかし、美味い。これが美味いんだ。
 俺は甘いものも食うしなんでも食うが、こいつのヨダレは格別に甘くて美味い。果物でもねえし、かといって菓子でもねえ天然のはちみつみてえなもんか? よく分かんねえけどこいつの身体で精製されるモンはことごとく甘いと思う。
 それがまた、こいつの魅力に拍車がけてたまらんのよな。

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