どうか僕らを見逃して

 涙も枯れる頃、そっと鳴戸から離れると額に柔らかな口づけが落とされ、まるで身体全体を使って包み込むように抱かれる。その確かな素肌の温かさに、また滲み出てくる涙と戦っているとそっと身体が離れてゆき、今度は顔が近づいてくる。
 目尻を湿らせながらそっと眼を閉じると、唇に真綿の感触が何度にも渡って触れ、その温かで優しい感触に思わず鳴戸の背に腕を回ししがみつくと、両手で頬を包まれ本格的な口づけが始まる。
 角度を変え、何度も熱いほどの唇が龍宝のそれに押し当たり、思わず息を上げてしまうとそれごと飲み込むように、咥内に舌が入り込んできてナカを大きく舐められる。その舌の動きに応えるよう、龍宝からも舌を伸ばして鳴戸のモノと絡み合わせて強く吸い、柔く食むとじゅわっと唾液が滲み出てくる。二人分の唾液をのどを鳴らして飲み下し、さらにもう一度、食んでやると今度は食み返され、とうとう食み合いになり、互いの咥内を舐めしゃぶり合いふっと唇が離れてゆく。
 じっと鳴戸を見つめながら上がった息を整えていると、目の前の顔に微笑が浮かぶ。
「おやぶ……」
「愛してるぜ、龍宝」
「え……」
「俺は、お前を愛してるっつったんだ。お前と離れた後も、それは変わらねえよ。愛してる、龍宝」
「やはり残酷な人ですね。その言葉は、別れの言葉でしょう。愛してるという言葉を置いて俺の前から去るなんて、やっぱり酷いっ……そう思うのに、何故でしょうね。死ぬほど嬉しいです。そういう風に、親分に言ってもらったことは無かったですから。……嬉しいのに、悲しい」
「この話は、終いにしていいな? もう言わねえぞ。二度と口にしねえ」
 こくんと龍宝は頷き、ひっしと鳴戸にしがみつき耳元で囁く。
「早く、おやぶんに抱かれたい。……指、ください。久しぶりでもちゃんと耐えます」
「ん、分かった。龍宝」
「はい?」
「ごめんな」
 なにに対しての謝罪なのかは分からなかったが、分かったフリをして頷き再びベッドに沈む。天井は真っ白で、昼間の光が窓から入り反射した様子がまるで水面のようだ。
 鳴戸はクリームを探しているようなのでそれを待ちつつ、ぼーっとベッドに身を任せていると、漸く戻ってきた鳴戸に、まるで覆いかぶさるようにして一度、濃厚なキスを受けると一旦、離れてゆく。
 なにをするか分かったので、足をM字に開いて鳴戸を待つと足先の方に移動した鳴戸の手により両足が掬い上げられ、アナルが丸見えの体勢にさせられる。
 それに羞恥を覚え、顔を真っ赤に染め上げる龍宝だ。
 思わず反射で閉じようとするがそれもままならず、鳴戸の指には既にクリームが塗りつけてあり、アナルにもしっかりと塗りつけられる。
 久しぶりに感じるその冷たくそしてぬるついた感覚に身を震わせると、鳴戸から声がかかった。
「指、いくぞ。久しぶりだからちっとキツイかもしれねえが、我慢だ。分かったな? 我慢だぞ」
「ん……早く、はやく指、ゆびください……ちゃんと、我慢します」
「よし、イイコだ。じゃ、挿れるぞ」
 宣言と共に、つぷっと音を立てて中指がアナルへと挿し入れられる。途端、痛くはないがかなりの異物感が龍宝を襲ったが、指はそのまま細かくピストンを繰り返しナカへナカへと入ってくる。
「あ、あ、ああっ、あっ……ううう、うううんんんっ、やっ、変っ、へんですっ、あっ」
「待ってろ、すぐにイイトコ見つけてやる。すぐだ、すぐ」
 暫く中指だけでピストンを繰り返され、少し解れてくると二本に指が増やされ胎内を掻き混ぜるようにバラバラに指が動く。
「ふ、ふっ、う、んっ……ん、ん、んっ……や、おやぶん苦しいっ、くるしいっ!」
 とにかく異物感がひどい。痛くはないのだけが幸いで、内臓が押し広げられているような感覚までする。
 これは早いとこGスポットを見つけてもらわないことには苦しみが続くだけだ。シーツを逆手に握り、必死になって掻き混ぜられる苦しさに耐えていると指が一箇所、ざらっと撫でたところで急な快感が下半身を走り抜け、鳴戸にもそれが分かったのかもう一度、今度は二本の指で撫でられるとたまらないほどの快感が身体を走り抜け、思わず大きく啼いてしまう。
「うあっ! ああああっ、おや、おやぶんソコッ! ソコッソコッ、ソコぉっ!! イイッ、あっイイッ!!」
「ココだな? 分かった、このこりっこりにしこったこの塊か。よし分かった。こっからは天国行きだぞ龍宝、悦べ!」
「んっんっ、早く、早くソコ、そこ撫でてっ、撫でて気持ち良くしてくださいっ! ソコ、気持ちいっ!」
 すると鳴戸の指が三本入り、その苦しさに喘いでいると指の本数が多いからか撫でられる範囲が広い。しかも絶妙な力加減で撫でられ、痛くもなくかといって刺激だけはバッチリと感じられる、そんな風に撫でられ始め、あまりの快感に啼き声が止まない。腰が捩れてしまう。
「んああああ!! ああっ、あああう気持ちイイッ! あっあっ、い、イイッ、おや、おやぶんイイッ! あっあっ、い、い、イイッ……!! ああああうっ!!」
「イイ声だなあ、オイ。もっと聞かせろ、お前のイイ声」
「やっあっああああああ!! あっく、あああああううううイイッ! あっあっ、イイッ、イイッイイッ、い、イキそうっ……!! イック、イック!!」
「お前はイクって言ってからがホント長いからな。信用しねえぞ俺は。ほれ、ほれほれ」
 さらに指はしこったクルミ大の塊を勢いつけて撫で出す。
 そのたまらない快感に、ただひたすら啼いて快感を訴えるしかない龍宝だ。
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