俺のかわいこちゃん

 これは内緒の話だが、龍宝の女性経験はかなり少ない。不自由を感じないのならば、抱く必要はない。女としても例え龍宝が下手くそで淡白な抱き方しかしなくとも、顔でカバーできる。美形に抱かれているといった満足感を女に与えることができるので、そこは便利な部分だ。
 だが鳴戸は違う。
 どうせ抱くのだったら、自分も愉しみたいし相手になった人も一緒に愉しませたいという鳴戸の優しさなのだ、この前戯の丁寧さ加減というものは。
 それは、女にもモテるはずだと思う。商売女を相手にすることばかりだろうが、そこでも手を抜かない辺り、尊敬に値する。
 龍宝に関してもきっとその延長なのだろう。どうせ抱くなら、というやつだ。そう考えると切なくなるが、丁寧な愛撫は嬉しい。
 勝手に熱くなる身体は次なる刺激を求め始めており、もじっと腰を動かすと鳴戸も気づいたのだろう、へそから離れ徐にきゅっと完全に勃起したペニスをいきなり握って来たのだ。
 これには驚きを隠せず、思わず大きな声で啼いてしまう。
「うああっ! やっ、いきなりっ、いきなりなにをっ!! おやぶん、離しっ、離してくださいっ! アァッ!!」
「ココ、触って欲しかったんだろ? しかし、すんげえガマン汁の量だな。そんなに感じちまった?」
 頬を真っ赤に染めて大きくこくんと頷くと、鳴戸は満面の笑みを浮かべ身体を伸び上がらせてきて口づけてくる。
「かーわいい子だな、オマエは。つい夢中になっちまうな。こんな風に肌しゃぶるのなんて、いつくらいぶりだろうなあ」
「えっ……あの、おやぶんはいつもこういう風に女を抱くのでは……?」
「いいや、さすがにここまではしねえな。誰を抱くにも手を抜いてはいねえけどだって、相手は龍宝、お前だし。気持ちよくしてやりてえじゃねえ? 慣れてねえ風だったしよ。それに、美人でかわいいしなっ!」
「ちゃ、茶化さないでくださいっ! 俺は美人でもかわいくも」
「あるんだなー、これが。お前はかわいいよ。もっと自信持て。すっげえ、かわいこちゃんだぜ? この俺が前戯で夢中になるくらいだからな。女好きのこの俺がよ?」
「そんな……」
 思わず顔を赤らめてしまうと、両頬に口づけが落とされ最後に唇にキスが降ってくる。
「なんだい、俺の言うことが信じられねえか? こんなかわいこちゃん相手にできて、役得だぜって、俺は思ってる」
「やっ……! もうそれ以上喋らないでくださいっ」
「んじゃ、キスしちまおうっと」
「おやっ……っん! んんっんっ!」
 上機嫌の笑みを浮かべた鳴戸が目の前に迫った途端、唇に押し当たる柔らかく温かいモノ。その正体が鳴戸の唇だとすぐに分かり、つい両手を鳴戸の首に回してしまうとどうやら煽ったと思われたらしい。唇を大きく舐められ、思わず口を開くとするっと舌がナカに入り込んでくる。
 鳴戸とのキスは、愉しい。
 口づけにユーモアなどないと思っていたが、鳴戸の口づけはどこか心を楽しませ、そして満たすことのできるなにか不思議な感覚がするのだ。
 それは、鳴戸にしか口づけを許したことが無いからなのかどうなのかは分かりかねるが、口づけていると愉しいのだ。舌を舐められると気持ちイイ。口のナカを探られてもそれはそれで心地いい。まったく以って、経験したことのない感覚だ。
「ん、んっ……んん、ふっ……ふっ、う、んっ……」
 甘く啼いてしまうと、鳴戸がのどの奥で笑ったのが分かったが、それは分かっただけに終わり夢中になって龍宝からも舌を伸ばし鳴戸のモノと絡めて唾液を啜り飲み口づけに溺れる。
 今日しか体験したことは無いが、なんとなく愛されていると勘違いしてしまいそうになる、そんなキスだ。鳴戸は女にもこういったキスを仕掛けているのだろうか。
 なんとなく妬けてしまい、軽く舌を噛んでやると鳴戸も同じように噛んできて噛み合いになり、笑いながら互いの舌を噛んでは唇を合わせ、軽く吸う。
 時には、口の外に舌を出して上下に擦り合わせるようにして滴る唾液を飲み下し合ったり、角度を変えて触れるだけの口づけだけを交わしたりと、あらゆるキスという形をなぞりそして愉しむ。
 ふっと唇が離れてゆくその赤色に光るそれを見ていると、弧を描き目線を合わせ龍宝も笑む。すると、片手で頬を包まれ親指の腹ですりすりと撫でられる。
「ほんっと、かわいこちゃんだよなあ……龍宝は」
 しみじみとそう言われ、つい顔を赤くしてしまう。なにか言いたいが、なにも言葉が出て来ない。鳴戸はその様子をじっと眺めており、思わず飛びつくようにして抱きつくと笑い声を上げて抱き返してくれる。
「はははっ! 一丁前に照れやがって。かわいいっつーの!」
「おやぶんっ! ですからそういうことは!」
「あー、かわいいかわいい。かわいいなあオイ。こういうこと、したくなっちまうなー」
「こういう……?」
 身体を離され、熱が逃げてゆくその淋しさに戸惑っていると鳴戸は笑みを浮かべたまま、両手で龍宝のペニスを持ち、いきなり何の前触れもなく扱き始める。
 これにはかなり驚いてしまい、つい大声で啼いてしまう。
「あああっ! やっ、おやぶんいきなりっ、いきなり、なにをっ……! んんっ、ああああ!!」
「なにって、扱いてんだけどな。オマエの、すっげえ勃ってっから、楽にしてやろっかなって。いいだろ?」
 龍宝は無言で顔を真っ赤に染め、こくこくと頷き鳴戸の両肩に手を置きぎゅっと肉を握りしめる。
 本格的に始まるペニス責め。
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