first kiss

 だんだんと落ち着いてきて、欲が出てきてしまった龍宝はそっと鳴戸の刺青を背負った広い背中に腕を回すと、鳴戸がのどの奥で笑ったのが分かった。
「……かわいいな、オマエは」
「かわいくは……ないです。それより、離してくれないと……俺……」
「離さないとなんだ? 言ってみろよ。コレが勃っちまうってか?」
 鳴戸の手は逆手に龍宝のペニスを持ち、ゆっくりと上下に動かしてくる。これには驚き、慌てて手を退かそうとする龍宝だ。
「だ、だめですいけません! 親分がそんな、そんなことするなんて許されませんから離してっ、離してください!」
「誰が許す許さないなんて決めたんだ? 言っとくけどな、俺は好きでこうしてるんだぜ。お前のこと、気持ちよくしてやりたくてこうしてコレ握ってんだ。それ忘れてんじゃないよ」
「なんで……」
 戸惑っていると、ペニスから手が外れ少し身体が離れていったと思ったら両手で頬を包み込まれ、親指の腹で優しく肌を撫でてくる。鳴戸の顔は優しく笑んでいて、龍宝の一番好きな表情をしており、思わず見入ってしまっていると徐々にその顔が近づいてくる。
 なにをされるか分からなくて、そのままじっと鳴戸の顔を見ていると至近距離まで来た顔が、さらに緩む。
「眼ぇ瞑れよ。エチケットってもんだぜ」
「エチケット……? 親分は、一体なにを」
「なにって、キスしようかと思ってさ。なんだ、お前キスはきらいか?」
 その言葉を耳にした途端、顔に熱が一気に集まり思わず下を向いてしまう。
「……キスは、したことありません。する必要なかったし、したいとも思わなかったので、未経験です。は、恥ずかしいですが……」
「そっか、お前はしたことがねえのね。んじゃあ、初めてが俺っていやか?」
 龍宝は顔を上げ、何度も首を横に振り鳴戸の胸に縋るように拳をくっ付ける。
「いやなわけないです! そんなわけない! 初めてが、親分なら俺……嬉しいです。初めてキスするなら親分がいいとずっと、思ってましたから」
「んじゃ、眼ぇ瞑りな。乱暴はしねえから。なっ?」
 さらに親指で頬を擦られ、精悍な顔が近づいてくる。
 ゆっくりと瞼を下すと唇にふわっと優しくて柔らかな感触が拡がる。そして感じる熱。今、鳴戸とキスしている。他でもない、想い人である鳴戸と。
 思わず目尻を湿らせてしまうと、今度は角度を変えて何度も触れるだけの口づけをされ、そのたびごとに鳴戸の持つ熱が伝わってきて、龍宝の唇まで熱くなってくる。
「は、んっ……んん、んっんっ、は、ふっ……ん、んっ……」
 手のやり場に困り、思い切って両手を鳴戸の首に引っ掛けるとなんとなく満足感が手に入り、そのまま引き寄せるようにして首を引っ掻くと、今度は唇を舐められる。その湿った感触に思わず口を開いてしまう。
 ぬるりと唾液を纏った鳴戸の舌が入り込んできて、ナカで縮こまっていた龍宝の舌が絡め取られぢゅっと吸われ唾液が持っていかれる。すると鳴戸ののどが大きく上下し、本格的に貪るべく舌が大胆に咥内で動き出す。
 その激しさに、必死になってついていく龍宝だ。
 包み込まれている頬が熱い。だが、その熱さがまた心地よくてたまらない。
 夢中になって鳴戸の施してくれることに溺れていると、やたら下半身が気になりだした。まさかキスしてくれるとは思ってもみなかったので興奮がマックスに達しており、興奮すれば勃つモノを男は付けている。
 もじっと下半身を動かすと、徐に唇が離れてゆき銀糸が二人の唇を繋ぐ。
「ん、んはっ……はあっは、はあっ……おやぶん……」
「下、気になるんだったらキスしながらヤってやろっか」
 何と魅惑的なお誘いなのか。秒の速さで頷いた龍宝に、鳴戸が笑って頭を撫で額にキスが落とされる。
「かわいいなあ……ホント」
 普通だったら、かわいいと言われた時点で他の人間なら半殺しだが、鳴戸に言われると何故か嬉しい。思わずこくんと頷いてしまうと、片手でくいっとあごを掬われ上向かされる。
「キスする時は、俺の顔だけ見てな」
「あ……」
 笑みを浮かべた鳴戸にそう言われ、じっと見つめていると顔が近づいてくる。そっと眼を閉じると、先ほどと同じく優しく湿った感触が唇に拡がり、ちゅばっと音を立てて吸われた途端、鳴戸の手が不穏に動き、龍宝の身体のそこかしこを撫で回し始めた。背中や肩、胸に下腹それに尻はしっかりと鷲掴んで揉みしだかれ、もげてしまいそうなほど尻は集中して揉み込まれ、背中にも手が這い龍宝をたまらない気持ちにさせる。
 特に、下腹を撫でられると身体が勝手にビグッと跳ねてしまうほど感じてしまい、鳴戸にもそれが分かったのだろう、下腹ばかりに手が這い回るようになり、大きな手で擦られるとくすぐったいような、それでいて気持ちがイイような不思議な気分になり、そのうちに快感で身体中が敏感になってくる。
「ああっ、はっ、あっ……おやぶん、腹、腹止めてくださいっ……や、なんか、変です、変っ……!」
「ははあ、ここがお前の性感帯ってわけだな? 気持ちイイんだろ? ココ」
 首を傾げつつ、なんとなく頷くと未だ出しっぱなしだったシャワーの湯が止められ、鳴戸がしゃがみ込み腰に腕を回したと思ったらいきなり、下腹を舐めしゃぶり出したのだ。
 これには驚きを隠せず、あんまりにも申し訳なくて慌てて退かそうと腕を動かす。
「やっ! 親分だめです、いけません親分がそんなことっ……! あぁっ……!! そ、そんなっ……!!」
 熱い舌が、下腹を丁寧にしゃぶってくる。その圧倒的快感に、龍宝は震える両手で顔を隠し、浅く早い呼吸を繰り返して快感を逃がそうとするがそれを許す鳴戸でもない。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -