背骨に刻む熱と光の幾何学

 そして、龍宝は唇を噛んだ。
 鳴戸にこんな言葉を言わせたいわけではない。けれど、何を言っていいかも分からない。自分が鳴戸をどれだけ想っていて、自分の命を懸けてまで愛していても鳴戸には伝わらない。それが、もどかしくて仕方ない。
 そして、出た言葉がこれだった。
「俺の……カラダ、裸、見ますか……? 見て、それでも変わらず俺を愛してるって、言ってくれますか? そしたら、俺……」
「当たり前のことをぬかすな。身体、見ていいなら見ちゃうぞ。前はお前、いやがってたろ。いやがるもんを無理してさせることも無いと思って黙ってたけど、何気にな、俺はずっとじっくり見たかった。惚れてるヤツの身体くらい、しっかり見ときたいだろ。……じゃ、脱がす」
 がしっと、鳴戸の手がカッターシャツにかかり、背広ごとがばっと剥かれてしまい、それはベッド下に放られ、あっという間に上半身裸となり早速、鳴戸の手が脇腹に回り緩やかなカーブを描くそこを、性的な意味合いを含めた触れ方で撫でてきて、思わず身体を震わせてしまう。
「あっ……ま、待っ、おやぶん、待って……あ、やっ」
「ここのラインとか、キレーだよなあ。全然恥ずかしがるような身体なんかじゃねえと思うけどな、俺は。じゃ、下行ってみるか。いいよな? 見ても」
 一瞬、頷くのを戸惑ったが恐る恐る首を縦に落とすと、ベルトに鳴戸の手がかかる。そして硬いカチャカチャといった金属音を響かせながらベルトが解かれ、前を寛げられる。
 反射でスラックスを下げられないように押さえてしまうと、その手は鳴戸によって優しく退かされ、とんっと肩を押されると尻もちをついてしまい、改めて下着ごとスラックスが足から引き抜かれる。
 そこで露わになる、今まで隠してきた全裸の龍宝のお出ましに鳴戸ののどが大きく鳴ったのが分かった。
「……いやでしょう? 丸きり男の身体というのは。親分が想像してたきれいな俺じゃないんです。男、なんです。付いてるモノも付いていれば、その……女に比べて体毛も濃いし、筋肉ついてるし……」
「黙んな。いいから黙ってろ。お前って……すんげえそそる身体してたのね。キレーなモンじゃねえか。何がそんなにお前から自信を奪ってんだ。後ろめたく思う必要なんて、これっぽっちもねえほどいいカラダしてるぜ。ほら、こっち来てこれを見ろ」
 両肩を抱かれ、ぐいと引き寄せられると足を開いた鳴戸の股間のモノはフルに勃起しており、先端からは丸い球になったカウパー液まで滲んでいる。
「あ……」
「な? だから言ったろ。勃つって。お前見て、興奮して勃ったんだぜ。これでも、お前は俺は男だからなんて言い訳すんのか」
「や、待って、ちょっと待ってください。何がなんだか……何かの間違いでしょう。まさか、親分が俺見て興奮って……そんなの無い。あるはずがない」
 両肩から鳴戸の手を外し、くるっと後ろを向き鳴戸に背を見せると間髪入れず後ろから抱き込まれ、身体に腕がしっかりと巻き付き身動きが取れない。
「は、離してください。親分は俺に触ってはいけません。……触るなら、女の柔肌にしておいた方がいいです。きっと、その方が満たされる……っうわ!!」
 下を向いてぼそぼそとそう零した時だった。いきなり身体をベッドに叩きつけられ、すぐにでも鳴戸が覆いかぶさるように抱きつき、その上からは冬用のぶ厚い布団が被せられる。
「なっ、なにするんです!! いきなりっ……」
「あっためてくれるんだろ? さっきお前そう言ってくれたじゃねえか。布団の中で、俺のことあっためるって。嘘だったのか?」
「でも、親分はもう既に温かいでしょう。俺がそんなことしなくても、もう親分は……」
「んじゃあ、俺がお前のことあっためてやるよ。冷たい、お前の身体。人肌って、いいモンだぜ。いいから、大人しくしてな」
 何か言う前に、鳴戸の熱いくらいの手が身体に這い始める。耳から始まって、首をすりすりと撫でられ、喉仏を食まれると思わず「は、あっ……!」と啼いてしまう。
 そのまま、何度も柔らかく喉仏を食みながら、鳴戸の手は肩や胸まで及び胃の辺りを撫でられたところで身体が勝手に快感を拾ってしまい、ビグッと跳ねるとへその窪みに指が入りくりくりとナカをいじられ、元々が性感帯のそこを嬲られ啼き声が漏れてしまう。
「あっ、あっあっ、や、親分ソコ、ソコ、やっ……! や、やですっ……」
「イイ、の間違いだろ? 肌が一気に熱くなった。気持ちイイんだろうが。素直になりやがれ」
「ま、待って……そんな、こんなことっ」
 何度も首を横に振ると、上に被っている布団ごと鳴戸が身体を伸び上がらせてきて、無理やり口づけられてしまう。
 先ほどの刺激で息が上がっているというのに、鳴戸は遠慮なく角度を変えて何度も口づけてきて、小さく唇を舐められる。口を開けろという合図だ。しかし、逡巡していると下唇を柔く食まれてしまう。
「んっ……! んん、ンッ!!」
 唇を伸ばすようにぐいっと食まれたまま引っ張られ、勝手に口が開くとその隙間を縫ってするっと咥内に鳴戸の舌が入り込んでくる。
「んむっ……んっんっんっ、んっ……は、ふむっ……ふ、ふっ」
 すぐに息が上がってしまい、鼻呼吸も無理になって必死で何とか呼吸をしようとするが、入り込んできた舌に舌を絡め取られてしまい、ぢゅっと音を立てて唾液が吸われ持っていかれる。後、ごぐっと大きく鳴戸ののどが上下し、そこで漸く流されかけていることに気づき鳴戸の顔を押し返そうとするが、両手とも取られてしまい、さらにナカを探られる。
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