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「美桜花、ここ行かない?」
「………遊園地?」





数日前に仕事を頑張っているからとおっさんがくれたんだ。丁度俺も今日はオフだし。




「………いいよ。」
「!じゃあ準備して!今から行くよ!」
「!?今から!?」



俺の突発的行動に流石に驚くか………
記憶をなくす前の美桜花は苦笑いして…でも、俺の我侭に付き合ってくれてた。




「……クスクス。相変わらずね、音也。」
「………え?」
「………えっ!あっ!私…………」

「思い出したの…………?」
「ううん。………でも、前も……似たような感覚になったことがある気がする。」



「ここがじんわり何かを感じてるの。」

両手を胸の前に持ってきて微笑む彼女に俺も笑みがこぼれた。
少しずつ、断片的だけれど思い出してきている彼女。
退院してからも沢山、思い出した。
でも、肝心な彼女自身がなかなか思い出せない。

自我はあるけれど、やっぱり記憶をなくす前の美桜花と接するように話しかけられるときは苦しいって。
自分なのに自分自身が覚えてないのは辛いらしい。

………微笑んで誤魔化すらしいけど。



「音也、行きましょうよ!」
「………うんっ!」



お互い、変装をして遊園地へと向かった。
いくら今日が平日だからといっても早乙女遊園地はなかなか人気のスポットだ。
安易に考えているとすぐにばれちゃう。

………というか、ST☆RISHのみんなときた時、俺の所為でバレちゃったんだよね………


だから遊ぶどころじゃなくなっちゃって………
トキヤのお説教をくらったことしか覚えてない。


周りから見たらどう写ってるんだろう…
デートに見えていたら嬉しいな………。



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