11 そして何事もなく、退院の日を迎えた。 俺は仕事で迎えには行けなかったけれど、七海としっかり者のトキヤが迎えに行ってくれた。 俺が帰って来るまでは七海の部屋で過ごしてもらって、仕事が終わったら俺の家へと連れて行くことになった。 「七海、ごめんな…」 「いいえ!美桜花ちゃんは記憶を失ってもそのままで安心しました!!」 「そっか…」 七海も七海で事故の日に仕事で駆けつけることができなかったことが引っ掛かってるらしく、変わらない美桜花にほっとしているようだった。 くいっ 「ん?…美桜花?」 「…え?…あっ、ごめんなさい…」 七海と話込んでいると、服の裾を引っ張られる感覚がしてそっちを向くと、美桜花が引っ張っていた。 無意識だったらしく、戸惑いの表情を浮かべながら謝ってきた。 「クスッ…いいよ、全然。」 頭を撫でてあげると気持ちよさそうに彼女は微笑んだ。 記憶を失っても…彼女は変わってない… 「…本当に変わりませんね、美桜花ちゃん。 私と一十木君が話しているとよくこうして牽制してきてましたよね。」 七海もそう感じたのか… 美桜花の頭を撫でながら七海と同じことを考えていたことに思わず笑みがこぼれた。 どんな時でも、例え記憶を失っても変わらない美桜花に何処かほっとした自分がいた。 その後、七海に別れを告げ、俺たちは家の中へと入った。 あ、もちろん七海は彼氏であるマサに迎えに来てもらった。 もうこんなに遅い時間だし、怒られちゃうしね。 「美桜花?お風呂入った?」 「うん…」 「ご飯は?」 「…食べた。」 「そっか…じゃあ後は、寝るだけ?」 「……。」 「…どうしたの?」 先ほどとは違い、反応を示さない彼女に疑問を持った。 「…あの、ね…寂しいから…一緒に寝てほしいなって…////」 可愛い彼女のおねだりに勿論、Okしてベッドへと沈んだ。 チュッ.... 「…お休み、美桜花。」 額にキスを落とし、彼女のぬくもりに包まれながら眠りへとついた。 と躰の記憶 (それは君が僕を何処かで求めている証拠) |