B






Side→Keisuke



「ただいま。」

アキラが仕事場から帰宅した。


「うわ…今日、オムライスなのか」


表情には出さないが声のトーンが若干上がったことからアキラが喜んでいることは容易にわかった。
俺はアキラがオムライスが好きなことを知っていたため、きっと喜ぶんじゃないかと思って作ったのだった。








「どうだ?美味いだろ?」

「…美味しい。」



アキラは俺が今まで一度も見たことがないような勢いでオムライスを口に運んでいた。
本当に嬉しいのだろう。さっきからニコニコしている。


俺はそんなアキラを見ながら、やっぱり外でコソコソと見るのとは全然違うと思った。
何より、自分のほうを見て楽しそうに仕事の話をしたりその日起こったことを話してくれる。




シキさんが羨ましくなった
だって…毎日こんなアキラを間近で見ることができるのだから






「アキラ。」

「ん?何だ?」




アキラってシキさんのこと、本当に好きなんだろうか…?
まぁ…結婚だってしているのだし今更な気もするが…。
俺は『ケイスケ』としてではなく『シキ』としてアキラの答えを聞いてみたかった。
それがたとえ俺にとってショックなことであっても別に構わないと思った。



「アキラ、俺のこと…どう思っている?」

「…っ…何を…」

「どう思っているんだ?」


どうして今そんなことを聞くのか、そうアキラは言いたそうだった。
恥ずかしいのか顔を赤くしている。


「…どうなんだ?」

「…シキ……」


俺を見ながらシキさんの名前を呼び、アキラは椅子から立ち上がると俺の背中に手を回してきた。


「今更聞くことじゃないだろ…馬鹿…。…好きに決まってる。」

「……。」



決定打を受けた気がした。
アキラがそう言うことは大体予測がついていたが、まさか背中に手を回すなどといった行動を起すとは思っていなかった。




……シキさんがズルイと思った
こんなに純粋なアキラを独り占めしているだなんて……


ふと俺の心に黒い靄が現れる。
今、シキさんはいない。いや、外にいるのかもしれないが中には入ってこられないだろう…



少しくらい…俺がアキラを求めてもいいんじゃないか…?
何たって身体や外見はシキさんだからアキラだって気づかないだろう。




俺は素早くアキラの腕を掴み、ベッドに突き飛ばすようにして押し倒した。

スプリングの軋む音が聞こえる。


「…シキ…!何やって…」

「シキさんはさ、ズルイよ…」

「??…んっ!!」

アキラの両手を纏め上げ、抵抗できないように身体に体重をかけて無理矢理口を塞いだ。


「ん…、っふ…ぁ…」


歯列を割り舌を捩じ込み絡ませる。

アキラは俺の突然の行動に思考が追いつかずされるがままになっている。



「…ゃ…だ…んっ…」


アキラが涙を流し嫌がるような素振りを見せた瞬間、玄関のほうで大きな音がした。

行為を中断し、振り向く。



そこには目を血眼にさせた俺(中身はシキ)が日本刀を握りしめ立っていたのだった………







_










[*前] | [次#]

topに戻る
topへ



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -