誤解2
…現在、ギター部2階…
別に入部がしたいというわけではないのだが、銀八がやたらと質問してくる。
『入部希望なわけではない』ということをすぐに伝えればいいものを、二人はあえてしなかった。
何故なら、1番二人が見たかった場所に案内されたからだ。
「んで?お前ら何の楽器が出来るんだ?…志村は」
「僕は特に出来る楽器は…。」
「だろうな。志村だしな。」
(志村だからなんだよー!)
「土方は?…というかお前風紀委員と掛け持ちかよ?」
そう、土方は風紀委員をやっている。何をやらせてもバッチリこなしてしまうので、色々な部活でひっぱりだこなのだ。
「俺は…「ドラムが出来そうでござる。」
万斉がすかさずつっこんだ。
「土方は拙者が見る限りドラムが出来そうでござるよ。」
実際、土方はドラムなんて生まれて一度もやった事がない。
「…そ、そうか…?……というか先生は何か楽器できるんすか?」
土方が聞くと、銀八は黙り込んだ。
「銀八は顧問だが楽器はできない。……だがノリはいい。」
『…………。』
万斉は誰にでもそう言っているのだろうか…?
「河上さんたちがやってるバンドって、どんな曲をやってるんですか?」
新八が慌てて聞くと、万斉はさらりと言った。
「あぁ、寺門通のコピーバンドでござる。晋助も嫌々ながらやってくれている。」
「…そうなんですか…。」
寺門通というワードに非常に興味をそそられた新八だが、ここは我慢だ。
その後、誰も何も話さなくなり、土方と新八は部屋を観察するかのようにぐるりと見る。
何とも言えない生活感漂う部屋。
やたら綺麗に手入れしてある台所。
隅のほうに寄せられた布団。
二人が顔を見合わせた時だった。
先程までうつらうつらしていた銀八がぬくっと起き上がると、隣に置いてあった眼鏡をかけて真面目な顔をした。
「さぁて、お二人さんには正直に話してほしい事があるんだが……。ホントは何しに来た。」
『…えっ……』
そう、銀八は二人の不審な行動に気付いていたのだ。
そして万斉も。
「さっきから目線が怪しいでござるよ。」
まさか万斉にまで気付かれていたとは。
二人は言葉を無くした。
しかし、土方が意を決したように自分が感じていた疑問を銀八に投げかけた。
「先生こそ…何隠してるんですか?……ルーズな先生が学校一早い出勤、そして放課後にギター部に立ち寄ったまま出てこない…あと、朝、此処から出てくる人数の多さ……。俺達はそれが気になって此処に来たんです。」
「…土方……。」
政権逆転。
動揺する銀八。
「…いつから疑問に感じてた。」
「…一月ほど前から。」
「…洞察力が鋭いのな…。……わーった、話すぜ「銀八!いいのでござるか!」
「…いいんだ万斉。どうせいつかこうなると思ってた。」
そういうと静かに真実を話し始めた……
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