誤解1


土方は考え込んでいた。

今日の朝早く、彼はギター部の部室から出てくる銀八を見たのだ。
ホームルームの直前にトイレに行き、トイレの突き当たりの窓から再度部室を見ると今度は高杉とまた子と万斉が出てきたのだった。

(おかしい…あいつら何か隠してる…)

土方は立ち上がると、普段は話しもしない新八の元へ向かった。

「おい。」

「ひっ、土方さん!?ど、どうしました?」

いきなり呼びかけられたものだからビックリする新八。

土方は一番真剣に話しを聞いてくれそうな新八に今の事を全て伝えた。

「…ははぁ…なるほど。確かに気になりますね。どうして同じところからそんなに出てくるんでしょうか…。
まぁ河上さんは朝早いですから行きがけに立ち寄ったと考えられますが…」

「問題は高杉と来島…だよな。…あいつら…何してたんだろうな。」

土方は再び考え込む。

「土方さん、ひとまず高杉さんと来島さんのことは置いておいて…。僕が気になるのは先生です。どうして先生がプレハブから出てきたのか…。」

「しかもいつも遅刻気味な銀八の野郎が出勤だけは学校一だもんな…」


『怪しい…』


沈黙が流れる。

「なぁ志村、今日の放課後ヒマか?」

「ええ…まぁ…」」

「張り込みしねぇか?」

「…土方さんって意外と他人の事が気になってしまう人なんですね。」

そう言って新八は笑う。
土方は少し顔を赤くすると

「…うるせぇ。」

とだけ言い、放課後に教室に残ってろ!と言うと走るようにしていなくなってしまった。


*****

放課後…


今、二人はギター部の部室の前にいる。

建物の外装の造りとしては、簡単に言えば『万事屋銀ちゃん』と同じだ。

階段を昇って、2階に四畳半の和室と、脱衣所、キッチンなどがある。

1階は防音効果がある部屋が一つだけあるかんじだ。
そこでいつも彼らは練習しているようだ。

「土方さん…何だか僕たち悪い事をしてるような気がするんですけど…。」

「…部室の前にいて何が悪い。別にここを爆破しようとしてるんじゃねぇんだから気にするこたぁないさ。」

至って土方は冷静な様子だが、新八はビクビクしていた。


その時、誰かが鉄で出来た階段を降りて来る音がした。


「ヤバイですよ土方さん!!ひとまず隠れましょう!」

「あ、あぁ…「何をしてるでござるか?」


あたふたしている間に万斉に呼びかけられてしまった。

「あっ…万斉さん…な、なんでもないですよー!ねっ、土方さん!」

「あっ、あぁ。」

「てっきり拙者はお前たちがギター部に入部を希望しているのかと思ったでござるよ。」

万斉は二人の行動を特に疑うわけでもなく、淡々と話している。


「あれ?土方ァ、志村ァ、どうしたんだこんなとこに来て?」

タイミング悪く銀八登場。

「入部希望かぁー、まぁ中に入れや。」

「先生、僕たちは別に…「ほら、さっさと入れや。」

促されるまま、意味もなく中に入る二人であった………








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