補習授業3
(職員室……)
時が経つのはとても早くて…
火曜日に行われた国語の中間テストの採点をしながら、銀八は溜め息をついていた。
(どいつもこいつも…なんでこんな悲惨な結果なんだー??この俺だってここまでひでぇ点数なんざとったことねぇよ…)
スポーツ以外は何をやらせても学年ワースト1…彼らに『勉強』なんて堅苦しいものはない。
神楽は無回答、新八はわからない問題には全て寺門通の事が書いてある。沖田は女の腕を縄で縛ってムチで叩いているというすさまじい絵を書いていて、山崎は『ごめんなさい』と各問題に書きまくっていた…。
しかし、ふと銀八の手が止まった。
「コイツ…間違ってねぇ…」
それは土方の答案であった
(いつも出来ないのに……)
昼休みに職員室に土方を呼び出して訳を聞く。
土方は頭を掻きながら恥ずかしそうにこう言った。
「だって…減俸なんだろ…俺達が成績出さないと…」
「…土方…」
そう。あの日、ハタ校長との話しには続きがあったのだ。
それは、中間テストで二名以上がある程度の成績を出さないと銀八の給料が減らされるというもの。
それをたまたま土方は聞いてしまった……ということだった。
「アパート借りる金がないくらい貧乏だってのに、給料減ったらますます苦しいだろ…」
「…わりぃな…土方。」
「それと…」と土方は続ける
「高杉も頑張ってたみたいだぜ。」
「えっ…?」
まだ高杉の採点はしていない。
土方が見守る中、銀八は彼のテストの採点を始める。
「…ホントだ…」
「それに、アイツ言ってたぜ。『飯代分くらいは貢献してやんなきゃ』ってな。」
(最近部活に顔見せなくなったのは勉強してたからか…)
何だか心がジーンとした銀八であった……が!!しかし!!
*****
「残念だったのぉ、坂田先生」
その日の放課後、ハタ校長は生徒たちの成績一覧表を見ながらそう言う。
「何でですか?あの時校長は2名以上ある程度成績を出せばいいって言ってたじゃないっすか。」
「坂田先生ね…ある程度の成績というのは、『全教科』においてという事じゃ。確かに土方と高杉の国語の成績に関してはクリアじゃ。しかし、出来たのは国語だけであって他の教科はてんでダメ。」
「そ…そんな……」
「100点と0点の平均は何点になる?」
「……50点……」
「まっ、そういうことじゃから、これからしばらく補習をお願いするぞ。」
「はっはっは…」と笑いながら立ち去るハタ校長の前で、銀八はガクリと膝を落とした……
「なぁ…万斉…」
「銀八…どうしたでござるか?」
部室で銀八は万斉に愚痴をこぼしていた。
「…今思えば…万斉…お前も3Zの生徒じゃなかったっけ?」
「そうでござる。」
「んじゃ何で教室来ないんだ…」
「高校の勉強は簡単すぎてつまらん。」
「…へぇ…………?え?今何つった?」
「高校の勉強は簡単すぎる…と…」
「……。……万斉…」
「何でござるか?」
「…なんでもない…」
お前が来ていたら状況が変わっていたかもしれないんだぞ…
この時ばかりはさすがの銀八もなかなか立ち直る事が出来なかった………
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