3min Story | ナノ

3min story 3分間の魔法



「宇佐美くんもうっかりしてるとこあるんだねぇ」


学校へ向かう道の途中にある小さな公園。使い古されたベンチに腰掛けている同級生は楽しくてたまらないようで、不快な笑みを隠すこともせず、隣に座る僕の横顔を眺めている。


「別に間違えてないしそうゆう気分だったんだよ。大体、日曜日に制服着ちゃだめなんていう規則はないだろ」
「そっかぁ、そういう気分だったのかぁ。宇佐美くんがねぇ……ふぅん」


口元をさらに緩めたなまえは何度も頷く。睨みつけてはみたものの、僕の背中は冷や汗でびっしょりだった。

前日にイメトレをしていつもよりうんと早起きもして。玄関先で忘れ物がないかも入念にチェックして家を出たのに、まさか曜日を間違えていただなんて。しかもそれを愛犬の散歩中だった同級生に見つかって指摘されるとは。クラスのみんなに言いふらされると思うと頭が痛いし、現在進行形で辱めを受けているこの時間も只々苦痛でしかない。
近寄ってきた彼女の顔を押しのけて、僕は立ち上がって吐き捨てるように言う。


「帰る」
「ふふ、じゃあまた明日学校で――って宇佐美くん!忘れ物してるよ!」
「それ、もういらないから君にあげるよ」


振り向きもせずそう伝えて、僕は早足でその場を去ろうとする。
彼女の手にあるのはさっきまで僕が持っていた可愛らしい紙袋のはずだ。遠ざかる背中に戸惑いながらも袋の中をそっと覗く様子が目に浮かぶ。そうして中に入っているラッピングに刻まれた彼女の名前とあのメッセージを見て、それが一体何なのかを理解して……そして。


「これ誕生日プレゼント!?うそ!?え、宇佐美くんちょっと待ってよ!」


あーもう、うるさいなぁ。だからこっそり彼女の机の中に入れておくつもりだったのに。
追いつかれないようにと、僕は全速力で走った。耳まで真っ赤になった自分の顔を見られることだけは絶対に避けなければならない。それこそ一生の恥だ。

Shy!Shy!Shy!

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