長い尾を持つ私の〇〇
文章形式の言葉とまとまりのある言葉たち孤独にしたい
墜落していく白夜 / 爆発的に芽吹いた桃色 / ねえ、助けてよ / ドキドキチャレンジ天国オア地獄 / 嫌いといやは非同一平面 / 私ではいけないみたいです
墜落していく白夜
「……手が届いたんだ」「これも定めなんじゃない?」
「助けられたんだよ。きっと」
「まだ君は弱いからねぇ」
「あの時俺が、もっと強かったら――」
「知ってる? 君。沈まない日はないんだよ。くよくよしてないで次だよ次!」
(あなたは、どうなんだろう)
平然とした――むしろ笑顔で言ってのけた向かいの麗人を見て思った。先程も、目の前で命が散っていった。こうしている間にもどんどん生きているものは少なくなっている。自分たちの中にも、その瞼を下ろした者がいるはずだ。その人達は、少しでも長く空に留まっておこう、と必死に足掻いて、呆気なく死んでしまった。
彼の日は沈むのだろうか。沈むことができるのか。自分には分からない。
爆発的に芽吹いた桃色
まさかまさかの出来事だった。それは、予想外にも程があると頭の片隅で思ってしまうくらいに衝撃だった。少なくとも僕にとっては。
あんなに下劣だと蔑んでいたのに。必死に縋り付く姿に悍ましささえもおぼえたのに。
それなのに。
愚図とおなじ道を辿ってしまうなんて!
ありえない、そう思った。けれども納得するしかなかった。
だって、だって。身を持って知ってしまったのだ。
不快感を上回る歓喜が身を巡り、足先までもが浸される。
こんなものを体験したら、認めることしかできやない。
ねえ、助けてよ
夢を見たのよ、恐い夢
ずうっとあなたが私を見るの
どんなに高いビルの上でも
どんなに遠くに出掛けていっても
変わらずずっと見てくるの
私をじいと見つめて動かないのよ
恐ろしいでしょ、怖いでしょ?
そしてそのまま墜ちてくの
見てよ私のこの二の腕
こんなに鳥肌立っちゃった
恐い夢でしょ、そうでしょう?
ドキドキチャレンジ天国オア地獄
右に進むとしよう。そうしたら、君はもう戻らなくてもいい左に進むとしよう。君はまた同じことを繰り返さねばならない
「どちらが最善なのだろう」
頭が回転し始めて、脳の中には宇宙が出来る
足先が炎に包まれて、髪の毛には氷が張った
細胞達の争う声が高らかで
目を開けた時遅く
それでも君は、気づけない
嫌いといやは非同一平面
嫌になりました。でも、嫌いになったわけではありません。あなたの全てを好きにはなれませんでした。けれど、抱えきれない程の好意を向けていました。
あなたと直接会うことは終ぞ叶いませんでした。願っていたのは私だけかもしれませんね。
新しい人生が始まります。再スタートは昨日からです。
あなたとはもう二度と喋りません。
私ではいけないみたいです
とす、とベッドに腰を下ろし、軽く足を投げ出した。知らず疲労が蓄積していたらしい。それは恐らく、身体的にも精神的にも。柔らかい布団に沈み込んでいく体は怠く、頭はぼんやりとしていた。息を吐いた次の瞬間、生温かい液体が頬を伝っていく。流れる心当たりのない涙に困惑するも、鈍った脳味噌はまともに働こうとしないため早々に原因の解明を諦めた。
一向に止まる気配のない涕涙は、私の見えない傷の表れなのだろうか。
胸から湧き出た快とも不快ともつかない何かに顔を顰めれば、少しずつ落ちていく量が増していく。
体の芯を痛いほど冷やす、重苦しくて砕け散った硝子のように鋭いそれの名前を、私は知らなかった。