※捏造鉄道員がでます。

朝出勤してから何時間が経ったのだろう。
目が回るような仕事っぷりに久々にフル回転する優太郎の
頭は既にいっぱいいっぱいで昼御飯も何とかエネルギーになるものを
飲み込んでトレインに挑んでくる挑戦者たちを迎え撃つ。
だけれども、頭が一杯だからといってバトルは別腹であった。

自分を倒せばサブウェイマスター達が次の扉に行けば戦えるという
のがわかるとおのずと力の意気込みが変わる。
最初とは全然違うのを優太郎は肌で感じていた。
無表情な顔が少しだけ口角を上げるほどに。









「なあ優太郎、わしと帰らんか?」
「…」
「ちょっとクラウドさん!優太郎さん困ってます!」
しかしだ。
やっとトレインでの仕事を追えて事務仕事が終ったかと思ったら
これである。


今日の業務が終了して、さっさと帰ろうとした時に
今朝話をしてきたクラウドがやってきた。
お疲れさん!と声かけられた…誰かに声をかけられるのは
何年ぶりだろうか…と頭の隅っこでつっこんでみる。

元気なのはいいことだが、優太郎はとてつもなく疲れているらしい。
…今日もバトルサブウェイは大繁盛。
しかも強力な挑戦者達ばっかりで
20車両目で何度倒したか…まあ数回は突破されたのは正直
まだまだと言うべきか…。
だからモンスターボールで休ませているが家に帰ってケアを
してやりたい、そう思っていたのに。
まさかの、障害物である。


優太郎はクラウドの事をとめてくれた男に目を留めた。
…年齢は20代前半?それとも10代後半の若い男だ。
目があうと少しだけ動揺しつつも頭をさげられた。

「あ、ぼくはカズマサです優太郎さん」
「…優太郎です」

しっかりとした感じがするカズマサに握手を求められたので返してみた。
キラキラとしてみえるのは、気のせいだろうか…。

「今日のバトルすごく疲れましたよね。早くクラウドさんなんて
ほっておいて帰ってください」
「…あ、あぁ。」
「カズマサ!お前裏切るつもりやな〜!」
はなせ〜といいながら悶えているクラウドをよそに無表情ながらも
ぺこりと頭を少しだけ下げて優太郎は出て行ったのである。











ギアステーションから出て少しだけ寒い感じではなあるが
家に帰って温まろうとした時だ。
「…そういえば、服どうしようか…」
ふとモンスターボールを持つ手が下におちる。
今日はたまたま少し小さい服をもって来てくれたからよかったものの
替えなんてあるわけが当然なく、しょうがない、ライモンシティを
見に行くかと思っていた時だ。

「優太郎、そこにいらっしゃったのですね!」
「!え、ボス…」

足音がしつつ、尚且つ名前を呼ばれた瞬間驚くしかなかった。
目の前にいるのは帽子を被っているから少し判りづらいが
上司でもあるノボリである。
制服ではなくて、私服で…尚且つ外が暗いからか
あのサブウェイマスターのノボリだと、何人気がつくであろうか。

少しだけ、優太郎はあせった。
「どうしたんですか、ボス」
「…忘れていました。貴方、服をまだ買っていらっしゃらなかったですね」
「…まあこれから適当に」
「そうですか、よかったらわたくしもご一緒させてくださいまし」
「…は?」

適当に買うとするかと思っていたら、突然のことだ。
いつもの興味なさそうな顔をしていたのが少しだけ優太郎の表情が崩れた。

「いや、意味がわかりませんが。」
「いいましたよね?わたくしがサポートしますと」
「…」
「秘密共有している以上はおまかせください」









なんか、とんでもないことになってしまった。
優太郎とノボリは目の前にあるお洒落な店の前までやって来た。
外で歩いていた女性達も入っていく…。

レディースファッションというのを正直はじめてみる優太郎は
息を呑んだ。
「いきますよ優太郎」
「…はあ。」
決してため息ではなく同意の頷きである。…女性はすごい。
と優太郎は初めて思った…入れば沢山の洋服が置かれていて
マネキン人形を女性たちはみつつ自分にあったコーディネートをみつけていく。

そんな(現在女性であるが)元々男だった優太郎からすれば
(違う意味で)秘密の花園に足をつっこんでしまったという
なくした羞恥心がよみがえってきた。
「…適当で良いので」
もう早く帰りたい、帰ってポケモン達のケアをしてやりたい
という気持ちが徐々に募っていく。
しかし、上司はというと男だというのに何着かもう既に腕にかかっていて
なんでかサマになる。

「こっちを見てくださいまし」
「?」
ふと声をかけてきたノボリの声に優太郎は気が付くと
ハンガーにかけられているシンプルながらも気安そうな上着を体に当てる。
その行為をぼけっとみていたが、それを見ていたのは優太郎だけではなかったらしい。

何人かの女性がちらちらを視線を送って、尚且つ興味津々な感じ。
視線はこっち的にはとてつもない攻撃にしかならないのだ。


やっとノボリの方が満足したのか会計まで一緒に並んでみる。
…身長の高い男がレディースの服をもっている…
隣に入るのが優太郎だからまだしも、男がこんなのを買っているとなると
ちょっと怪しい目でみられるんだろうな、と他人事のように
思い、買い物は既に終っていた…。



しかも、買い物の会計は、上司であるノボリが支払い済みだというのに
内心で驚きしか、優太郎は持ち合わせていなかったのだった。




それ以上に、ちゃっかりとヒウンシティのマンションまで
ノボリは送ってくれたのだ。
勿論紙袋に入っている女性用の服をもって。
いやな顔もせず、いつもの仏頂面で、話すことといえば
あまりなく…だけれども優太郎がとやかくいうことではない。
頭が上がらない…

「…なんかすいません」
「わたくしの自己満足ですので…これで足りるはずです」
「はあ、何から何まで…」
「…それでは、おやすみなさいまし」

そういって見えた顔が、なんとなく、微笑んで見えたのは
疲れている自分の錯覚なのだろうか。
一つの袋に詰められていた服をとりあえず、部屋にいれてから
優太郎はやっと家に帰って安心したのか意識が途切れてしまったのだった。



2012.09.12

めっちゃくちゃダイジェストになってもうた。


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