※映画のゲームの話もちょっとあり。
欲望アバン主ですが別の系列の話と思ってください。



【姫と奴隷】姫は奴隷を意のままにできる。
手ごまであり、姫の気分しだいで殺すこともできる
上から観客は奴隷の行く末を見守り、そして無様だと笑うのだ。
それを見た瞬間、人がなぜ死ぬのか・・・わからなくなった。

「・・・お前たち、普通に人間の肉じゃなくても
いいのにね。」
姫と奴隷のゲームないで使用されるライオンは
ショーという名のゲームの最中とは比べて落ち着いていた。
地下の5階は日など当たらなく、薄暗い。
みつきは小さなため息をこぼしながらもライオン達にぽつりと
話をかけながら掃除をしている・・・飼育しているものが
辞めてしまったからだ・・・。
「あー、帝愛ってエグい。」
兵藤会長と会い、尚更この会社は恐ろしい
ことがわかった。バイトでまだいいが、
関わりたくない場所にみつきは考えが切り替わっていた。



「伊藤、ここにいたのか。」
「!主任。」
地下5階に来るなんて珍しい。
そう感じているとすぐ目の前には村上主任の顔がドアップでいた。
ぼけっとしていたみつきには少々驚きが隠せなく
声がひっくり返ってしまっていたのだ。
「!どうしたんですか!」
「いや、お前最近仕事ですぎじゃないか…シフト無茶に入れすぎたか?」
最近辺に痩せてるぞ。と余計な一言だ、とも言いたかったが
変に心配している村上ににっと笑って見せた。
そんなみつきの表情に驚いたのは村上だ。
「こっちは全然大丈夫です。主任も店長もあんまり休んでないんですから、
むしろどっちかお休みとったらどうです?」
「・・・そりゃ、そうだけどな。」
もどもどとしている村上が妙に新鮮で
おかしいのなんの、と思っているとそういえば、とみつきは思い出した・・・


「新しくバイトさん入るんですよね。」
「あぁ、ホールの・・・女性が不足してるのもあるな。」
「若いですか?」
「お前よりも少しだけ上だがな・・・」
と言っていて「だが、ディーラーじゃなくて残念だな。」
と嫌味っぽいことは言われていたがそれは愛嬌だ。
先ほど、少しだけ履歴書を見せてもらったが
顔立ちは綺麗な方だったと思う、名前は、安田裕美さん?
そろそろ交代時間だ、といわれみつきはライオン達に別れを告げて
エレベーター内に主任の村上と共に、カジノへと上がっていく。






「裕美さんですか?ディーラーの伊藤みつきです。
一応ホールもやっていたので何かあればお手伝いします。」
「・・・安田裕美です。よろしく。」
ホールにつけば、新しいメイドの姿の女性が目に付いた。
みつきはディーラーの正装服に着替えるとにっと笑ってみせた。
メイド姿がすごく似合うその人は長い髪に
瞳も大きい、写真で見るよりも美人さんである。
あまりしゃべらないのだろうか、言葉数も少なく
みつきにとっては少しだけさびしいようであるが、
もう数か月もディーラーをしていると笑顔も

自然と作れるようになってしまう・・・




そんな自分に笑えてしまう。




「お、みつきちゃんじゃないか。今日のディーラーは」
「坂崎様、お久しぶりです。どうですか?たまにはパチンコだけじゃなく
ブラックジャックなどは?」
先ほどのメイドの安田と別れたあと少しだけ歩いた先にいた
男性と目があった・・・彼は、ここのいろんな意味で常連である。
バイトモードになると何度かここに通い詰めているお客の名前と
顔もどんどん一致しだしてきたのだ。
そんな誘いも彼は笑ってこう答えた。
「いやいや、みつきちゃんに勝つのは至難の技やろ。」
「じゃあ、いつか挑戦をお待ちしております。」
「そうやな。」
考えておくわ。と笑顔で少々関西弁が出た男性と別れて
みつきは席へと足を運んだのだ。
トランプを持つ手に、少しだけ力がこもる。









一条が店長室でモニター監視などをしつつ
裏ギャンブルでの【姫と奴隷】の案内を終え
紅茶を飲みにいくか、と部屋とでていき
スタッフルームへと足を運んだ・・・。
ガチャリとノブを回し、部屋にはいるとソファーで何かを見ている
みつきの姿があった。
こっちに気が付いていないほどの集中力なのだろうか、
こちらをみる感じではなかった。


「なんだ、まだ帰ってなかったのか。」
「・・・」
「おい、伊と・・・!?」
ずるりという言葉が一番似合っただろう、机で何かをみていたみつきに
声をかけた一条が肩を揺らした瞬間ずるり、と横に倒れてしまったからだ。
驚いた一条がみつきの肩に手を置き力をこめると瞬時に彼女が一条に引き寄せられる
様に体が傾いた。
近くまで来たら、わかる・・・寝息が聞こえた。
「・・・(寝てるのか・・・)」
なにやら机の上には手帳が一冊、しかも開けっぱなしだ。
1ヶ月見開きのページにはピンクや色んな色の文字が
つれづれ書かれていてマメな奴だと思っていた時だ。
「(シフト表、何気に伊藤の出ている日が・・・多い)」
無意識だったのだろうか、ここ最近よく伊藤みつきをみるなとは
おもっていたのだが・・・。
ディーラーも他にもいるが若く、しかし決して店の利益
をマイナスにしていない・・・むしろ若干駆け引きをわかって
きているようだ。

「恐ろしい女だな、こいつは。」
「・・・・んー・・・・」
時間は日付をまたいでいて、それでも朝方までは
カジノは眠らない。
とりあえず、支配人としてはバイトをほっとなく
みつきの身体をふわりと抱えた。




一条の強いコロンの匂いは
ゆらゆらとまるで揺り籠内で寝ている子供のような
みつきの身体を包み込んでいた。嗅ぎなれていない匂いで
少しだけ刺激をされたのか眉間に少しだけ皺が寄る。
「(この働き者のバカをどうにかするか・・・)」
俗に言うお姫様だっこをした一条がとりあえず駐車場まで連れて行き、
しょうもない女を送り届けるまで、しばしこのまま。







(仮)欲望アバンチュール 映画編。




「みつき!いつまで寝てるの。」
「・・・あれ?お母さん。」

なんで、カジノのスタッフルームにいるの?
みつきの頭に出てきたのはそれだけだ。・・・でも起き上がってみれば
見慣れた自分の部屋であり、服もみれば制服はちゃんと
ハンガーにかけられていて、寝間着の状態だ。
母はそんなみつきをみてなんともまあ、という表情をしている。

「びっくりしちゃったわ。一条さんが送ってくださったわよ。」
しかもお姫様だっこで。
と母の言葉に度肝を抜かれた、午前7時。
(あの、服はまさか・・・・店長が・・・?)
(そんな馬鹿な。みつきが一条さん帰ってから意識あるように着替えてたわよ。)
・・・一度病院にいってみるのもいいのかもしれません。







2011.12.2
映画版の一条さんはなんとなくコロンとか強そうなイメージ。
また違う話で一本書くかもです。


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