風が、吹き荒れた。








「?・・・太一、何か聞こえなかった?」
みつきと太一は東京ビックサイトに向かっている最中
ふと足を止めた。
真夏の日差しが未だ強く体力を消耗させられるが
ふとみつきは止まってしまった。
目の前には東京ビックサイトがあり、思い出すのは
ヴァンデモンの事だ。
あそこで自分達は一時的に現実世界に戻り、そして
デジタルワールドに戻った、大切な場所。
「聞こえねぇよ!それより、早く行こうぜ。」
太一は止まったみつきのところに近づいた、その時
2人の目の前に陽炎なのか、幻想なのか、何かが見えた。

「・・・・なんで・・・」
「ここに・・・あいつが。」


2人は立ち止まって目の前にいるモノに驚きを隠せなかった。
そう、昔倒したはずの、デジモン:ヴァンデモン・・・。
前に、及川にとりついたときにも倒したはずなのに・・・。
みつきも太一もなぜこのデジモンが目の前にいるのかが不可思議でしょうがない
顔で見ていた。
黒いマントが風が吹くたびに綺麗に揺れた、
「久しぶりだな・・・選ばれし子供達。」
にっと笑いながら2人を見た瞬間みつきがたじろいぐが
しかし、太一はたじろぐ様子もなくみつきの手を繋いだ。
久々に聞いたヴァンデモンの声は恐ろしいくらいだ。





「何しに来た。」
「お前達をもう一度滅そうとこちらにきたのさ。」
みつきの後ろから声が聞こえた、その声にも聞き覚えがあった、
「・・・デビモン。」
そのデジモンはみつき・太一達が最初にデジタルワールドで倒した敵だ。
黒い羽がこの青空が似合わない場所に妙に存在感が立っていた。
みつきの汗が恐怖となって引いて行った。
2人の前・後ろに過去に戦った相手がいた。
幸いにも今日は東京ビックサイト付近には人がいない・・が
このデジモン達が他の場所に行ってしまうのではないのか、という
不安感は抜けていなかった。



しかし、みつきは太一の手を離してくるりと
背中を向けデビモンを見た。
太一は心配でしょうがなかった・・・。
みつきが一番深いキズを負ったのはファイル島で戦ったデビモンなのだ。
何をするのだろう・・・不安の色が太一から隠れないでいた瞬間だった。



「・・・もう、あなた達には負けない。」
「!」
みつきの言葉に太一は驚いた・・・みつきが今・・・目の前にいるデビモンに
放った言葉。
その声が凛としていて少しの迷いもないようで。
目の前にいるヴァンデモンにも太一はいった。
「俺達は、またお前達がきても・・・何回でも倒してやる。」






(デジモン大集合。)








「え!?ヴァンデモンとデビモンにですか!?」
午後の3時、パレットタウンでなんとかそのデジモンの情報を掴もうと
光子郎は無線LANが使えるノートPCでなんとか情報収集をしていると
太一・みつきチームから連絡があった。
ペットボトルのお茶を飲むのをやめ右手でケータイを掴み話した。

そして太一達から聞こえた話はまさに「ありえない」事だった。
「・・・倒したはずなのに・・・どうして・・・。」
しかも太一達が倒そうと思った瞬間にヴァンデモンとデビモンは消えてしまった
と不思議な現象も起きている。
また疑問が光子郎を襲った、するとPCからまた何かが呼び出した音が聞こえた。
チャットのページが開いていてクリックすると
そこのチャット名に「ゲンナイ」とかかれていた。

「・・ゲンナイさん。」
『どうじゃ?なんとか回収できそうじゃろうか?』
「いえ、中々戸惑ってます。・・・それに。」
光子郎はさっきの太一達のことを話した、そして2人のデジモンが消えた瞬間
デジヴァイスが反応し、目の前に赤い色をしたデジモンが現れたのだ。
しかも、まだ幼年期なのだろう・・・しかし警戒していて
太一・みつきのことを「オ前タチジャナイ。」と言葉を残し去ってしまったらしい。
その光子郎の言葉にゲンナイも驚きを隠せなかった。

『あのデジモンがきてもう結構時間が過ぎているじゃろ・・・。』
「そうですね・・・・・・まさか。」
『そう、ヤツの・・・あのデジモンの効果かもしれんな。』

ゲンナイの言葉に光子郎が何かをつかんだようだった。
直ぐに今通話中の太一とみつきに声をあげた。
「太一さん!みつきさん!」
「なにかわかったの?光子郎くん!」
みつきの心配な声が耳と通り抜ける。
光子郎は落ち着きと自分の仮説が正しいのか曖昧だったが
一呼吸したあと解説をした。




あのデジモンは自分達が最も記憶に深い姿に変えた。
しかも、そのデジモンがきて結構時間が過ぎている・・・
未だ捕まえる予定であるデジモンの能力で旧選ばれし子供達が元に戻らないのは
そのデジモンの能力が長けているという事。
そのデジモンは『逆再生能力』で記憶に深いのを再生できるのだとしたら・・・?



「じゃぁ、俺達が見たヴァンデモンやデビモンは・・・」
「はい。僕達はまだあのデジモンの能力を受けています。
太一さん達に行って貰った場所は昔ヴァンデモンを思い出す一番の場所。
そしてヴァンデモンをみてみつきさんはデビモンを
思い出してしまったんでしょう。」
まだ自分達はあのデジモンの能力が持続してしまっている為か
その能力が幻想として現れた・・・と光子郎は説明をした。

「でも、幻想だからといってあなどってしまってはいけないですね。
弱い所を突かれたら幻想でも・・・」
光子郎が続きを言おうとした瞬間、光子郎の目の前に何かがいた・・・。
おい、光子郎! 光子郎くん!
2人の電話越しの声が遠のく気がした・・・




いかがですか?
・・・ココロはいかがですか?


目の前に何かを売っている商人が光子郎の目の前にきた。
見たことがある・・・こいつを。
その商人はにっこりと笑って品物を目の前に差し出した。


「今なら、知りたがる心もありますが?」
「・・・結構です。僕は、僕ので充分ですから。」
にっと笑ってその商人に言うとその商人は項垂れるように
座ったかと思ったら風に乗り砂となった。
あの商人はきっとベーダモンだ。

「・・・僕の・・・印象強かったモノが・・・あれなのか。」
自分が知りたがる心を無くしたとき・・・頭の中が
空っぽだった・・・。言葉がなくなった時、自分と共にしてくれて
自分を助けてくれたのがパートナーだったテントモンだ。
テントモンは自分と出会って「考えることもいいものだ」と言われて
光子郎は嬉しかった。
「・・・テントモン。」
幻想でもいい、キミに会いたい。
大阪弁を話すデジモンに・・・会いたい。
「・・・光子郎はん・・・泣いてるんか?」
「・・・・ないて・・・泣いてないよ・・・テントモン。」
「泣くのははやいでっせ!」
幻想かと思った・・・声・・・そして目の前には。



*


「ヤマトー!」
「ガブモン!どうしたんだよ一体!」
「ジョー!元気だったー?」
「ゴマモン!お前も一体どうしたんだよ!」
不思議なめぐり合わせだった。
自分達のもとに冒険を共にしたパートナーデジモンが現れたのだ。
「俺、ヤマトの友情の紋章の声が聞こえたんだよ。」
「俺もね!ジョーの誠実の紋章の声が聞こえたんだぜ?」
「・・・紋章が・・・」
「僕達の声を・・・?」
ヤマトも、丈もテニスの森で赤いデジモンを見てデジモンを
追いかけるときヤマトはでかい木に声を掛けられた。
「このままでいいのですか?」
自分の心が迷ったあのときに聞こえた声・・・
振り向いてみると大きな木が目の前にあった。
見たことのあるその木に不安が少しだが押し寄せた。
丈は?マークであったがその声の主に驚いたのはヤマトだ。




「ジュレイモン・・・」



あの時、自分の心に付け込まれて自分と太一・・・
そしてメタルガルルモン・ウォーグレイモンが戦った。
あの時は、見えていなかった・・・



「タイチという少年と・・・まだ友情ごっこを続けていたのですか?」
まったく、とジュレイモンがやっぱり、ということばを
残しながらも目の前に来て細く笑みを零す。
「まだココロが晴れないのではないですか?」
「・・・」
「戦えば、ふっきれて・・・貴方になれるの」
「冗談でも言ってるのか?」
ジュレイモンの言葉を遮るようにヤマトは言葉を押し付けた。
しかし、押し付けたというよりも遮断したという言葉がわかりやすい。
後ろには丈がいたが丈は何も言わずにただ黙っていた。
「戦う事が全てじゃない・・・時にはそうしなくちゃいけないこともあるが・・・。
俺は俺を信じてくれた太一や空・みつき・光子郎・丈・ミミ・タケルや・・・
今を信じてるんだ。」



変わっていた。




「僕も、ヤマトを信じてるよ。」
「!丈。」
「ダメダメだった僕にずっと一緒にいてくれたヤマトは・・・
僕の最高の友達だ。」




変わらせてくれたのは、君だ。




その瞬間大きな光がヤマトと丈を包み込んだ。
目を開けると自分達の目の前にいたのは夏に出会った
最高のパートナー。









「目撃はしているんだが・・・中々捕まらないね。」
丈は溜息が漏れるも能天気にも大丈夫だって!と応援(?)している
ゴマモンに頭が少し上がらなかった。
「・・・でも、あのデジモン・・・なんか言ってなかったか?」
「うん。えっと・・・確か・・・」











所代わりお台場で一人の少年が夏に咲く花をじっとみていた。
その少年はまだ5歳児っぽい・・・。
半袖のオレンジ色の服を着ていて片手にぶらさげているのは
水着がはいっていてプールに行く途中なのだろうか。

「あ、こっちにもある!」
とたとた、と走りながらまた花を見つけては摘み・水着が
入っているバッグに入れていった。
「・・・ん?なんだよお前。」
ふと少年が後ろを向いた瞬間びくりっと動いたボールに
敵視をしていた・・・ぁ!ボールが逃げた!
「ちょっと待ってって!」
むんずっとそのボールを取ると少年の瞳と真っ赤なボールみたいな
モノの目があった。
目と目を合わせて数秒後、うわわわ!と少年が驚いた。
そのボールも少年の手から離れた瞬間そのボールも驚いた声があがった。
その出来事に少年の目が点になる。
「ボッ・・・ボールが・・・しゃべった。」
「・・・」
「お前・・・・面白いな!」
少年の表情が驚いた顔から面白いおもちゃを見つけた笑顔になっていた。
そのボールは驚きながらも「怖ガラナイノカ?」と不思議そうにみつめたが
少年は最初だけな。と内緒、のポーズをした。


「すんげー、お前昔書いたラクガキみたいだ。」
「・・・?」
「俺と遊ぼうよ!・・・な?」



suzuno asaka
8/1keikaku Odaiba&Digimon ANNIVERSARY!


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