ピピーッピピーッ・・・
公衆電話の音が聞こえまた電話をしようとしている光景。
ずっとかけている丈に皆は納得のいくまでというように
丈が電話をかける光景を目の当たりにしていたのだ。
みつきはというと、もう電話ボックスからはなれてぼけっとその丈のやっている
のをただ黙ってみていた。
「(結構しつこい性格してるなー、あの人。)」
「まぁ、丈らしいって言っちゃそうなんだけどな。」
とみつきの反対なことを言っている少年にみつきは瞳を向けた。
ゴーグルを額にかけている、太一。

熱い熱い、太陽がサンサンとこの大地に降り注いでいた・・・。
生暖かい、海の匂いが染み付いている風がぴゅうっとまた吹き
みつきの肌を通り過ぎた・・・潮の匂いがつんっと鼻にこびりつきながら去っていく―――




Story Without Title
ファイル島での出来事・・・3




「だから、あっちからかかって来るかも知れないだろ!?」
大声が聞こえてきたと思ったら、その声の張本人は幼馴染のヤマトだった。
今話しているのは太一であり口の口論となっている。
みつきは疲れては居ないが砂浜に腰を下ろしていて座っている状態、
ちょっと2人から離れてみつきはこの中でも最年少のタケルの側にいた。
「あっ!みつきさん。」
「タケルくん、疲れてそうだね」
タケルの方はみつきと違って疲れているようだった。
まだ小学2年生なんだよね、
「うん、僕疲れちゃった。」
と小さな声で言うタケルにみつきはにこっと笑っていた。
「そうだね。」とただその一言しかみつきには言えずに代わりにみつきの手が
小さなタケルの手をぐっと力強く握っていた。
その時やっと2人の口論が終わったのだろうか太一の方から
「休憩にしようぜ。」と声があがり、みんなも賛成!と声をあげた。





「あれ?」



空の?マークの声が次にあがった。
空の手に持っているのは、ポケベル・・・・みたいな小さな端末機で
それは皆がもっているようだった。
付けていた場所は違かったが確かに付いていた。

しかし、みつきは皆が持っている端末機が服についていず。
すると光子郎がそのポケベルを持って皆を見て話し始めた。
「あれって、空から降ってきたのよね?」
「そういえば・・・そうだよな。」
「じゃぁ、全員もって・・・」
「あっ!自分は無いんだ、それ。」
はーい!とみつきは手を上げて主張してみた。
皆が持っている端末機を持っていない、そして変なモンスター、デジモンも
付いていないという8人の中でも1人だけちがうようだった。
あまり皆気にしてない無かったようだが、みつきには何もないという・・・
ぽつりとみつきの言葉がこの端末機のことを考えていた光子郎に聞こえた。



「たぶん・・・皆のヒカリに飲み込まれちゃったんだと思うんだ。」
「その可能性は十分ありますね。」
オレンジ色の服を着ている光子郎もそのみつきの言った考えを肯定した。
持って居なかったのであれば多分それは偶然と言う名の「事故」なのだ、
ここまでは光子郎は言わなかったが・・・。








そんなことを考えているよりも皆何を持っているのかという議題になっていた。
皆が持っているものを確認している時にみつきも自分の小さなバッグに入っていた
ものを確認した。
・キャップ帽子
・コンビニで買った飴玉
・昨夜ちょっと食べ残した少量のチョコレート
・スケッチブックと鉛筆
・少量ばかりの小銭
・サバイバルナイフ
よくもまぁ小さなバックに入ったものだと感心するのは隣にいた
ヤマトであり、みつきも笑って「すごいでしょ!」と言ってみた。
他の皆ので一番使えそうなのが入っていたのはタケル・そして丈が肩からぶら下げてあった
緊急用の食糧であり嬉しそうな声がまた上がった。
まさか丈が持っているなんて、と何人がそう思ったのであろうか(笑)


細かな材料の計算が始まり全員がその場で円になり
作戦会議みたいな形になった。
非常食などを含め、あまり長持ちはしなさそうであり皆眉が皺を寄せていた。
「(そうだよね、デジモン達のも入ると相当・・・)」
他のデジモン達をちらりと見たみつきはふとアグモンに目をやった。
するとアグモンとみつきの目線が交じり、みつきを見るアグモンが
とても不思議そうな顔をしだしていた。
「・・・みつき〜。」
「?どしたの?」
「そのキラキラしてる丸いのって・・・なぁに?」
「・・・?」


みつきが丸くてきらきらしているモノ、と言われて最初はわからずに
視線を下に落とした時だった、自分が落としたと思われる飴玉であり
ひょいっとみつきがその飴玉の袋を取り出してみた。
「あぁ、飴玉っていうの?・・・食べる?」
「いいの!?」
「うん、」


みつきはアグモンの口に小さな飴玉を入れると美味しそうな顔で食べる
アグモンにふっと笑ってしまった。
「なんだよ、アグモンもう何か喰ってるじゃんか。」
「あ〜!タイチのも美味しそう!」
「あぁ、食べるだろ?」
うんっとアグモンの元気な声をあげ、太一は嬉しそうに非常食用の
中に入っていたカンパンをアグモンに食わせていた。

「あ〜!太一!何してるんだ!それは人間用だぞ!?」
「ケチケチするなよ」
「・・・まぁまぁ。」
と仲裁役としてみつきが出た時だった、






「来る・・・」ピヨモンの声に誰もが一瞬言葉が止まる。
海でゆっくりとしていたゴマモンも警戒をしているようで皆海を見たその時だった、
砂浜から水が出てきて、その次にはその水が海辺に並んでいた電話ボックスに攻撃をされる。
その電話ボックスも無残にも水の力に負けてしまい、中に舞い下へと一直線、
水が移動しているのであろうか・・・その水の正体が出てきた・・・その正体は貝殻に篭っている・・・何か。
その正体をみたテントモンが声をあげた。
「こりゃシェルモンや!」
「シェルモン!?」
「この辺はあいつの縄張りやったんか!」
迫って来る、そのデジモンが貝から出てきて明らか警戒心を表に出していた。
逃げようとする丈が逃げ道を見つけるがそのシェルモンというデジモンの攻撃を受け
落ちてしまいその助けにみつきも走った。

どうしよう、そう思った瞬間他の6匹のデジモン達が敵、シェルモンの前にやってきた。
「ここは僕達に任せて!」
「「アグモン!」」
みつきと太一の声が重なると他のデジモン達が攻撃技を仕掛ける。
しかし、アグモン以外のデジモンはさっきまでの技を出せなくそのシェルモンの
攻撃をくらってしまい砂浜に叩きつけられてしまった。
「・・・おなか減ってしまったみたいなんですわ・・・」
「そうか・・・だから、アグモンだけ。」
視線がアグモンに変わり太一もアグモンだけ戦わせられなく
自分もとシェルモンの前に立ちふさがった。

「このっ!これでどうだ!」
太一の攻撃に怒りを触れたのかシェルモンは太一にも攻撃をしそのツタで
太一を締め付けた、そして水の攻撃でみつき達を狙いながら攻撃をして
・・・太一が諦めかけようとした時・・・。




ドクンッ。
(なに?)
みつきが意識が朦朧としている中暖かく、力強いヒカリを感じていた。
(なに・・・?何が・・・)
情報と言う粒子が集まりそれはアグモンに送り込まれる・・・
それは≪進化の力≫として・・・最大の力がアグモンを取り囲んだ。









「グレイモン・・・。」
そのアグモンの進化をみつきは目の当たりにした。
アグモンがシェルモンを倒した・・・。
さっきのアグモンはグレイモンに、数十倍の大きさに進化をしたグレイモンだったが
危機が去った瞬間グレイモンは小さくなって、元のアグモンに戻っていた。
太一は駆け寄っていってアグモンを心配している姿をみつきはちゃんと確認できた。
「・・・みつき、大丈夫?」
「うっうん。とりあえず。」
座りながら確認していたのでみつきを心配した空はみつきの目の前に手を差し出した。
みつきはにこっと笑いながらも空の手の力で起き上がる。
また、潮風がみつきの身体をすり抜けた・・・今度はなぜか気持ち良く感じて・・・。









結局、あたし達はこの世界、デジタルワールドを冒険する事になった。
ここで待っていてもしょうがない・森に戻った所で
また危ない事が起こるのだってわかってる。(ミミちゃんがまたすごいのだ)
太一の提案通り、私達は歩き出した。
何も分らない、何も知らない、未知なる冒険に足を一歩踏み出した。








君は、まだ俺にはあえないだろう。
君が、もっともっと・・・強くならないと、俺には会えない。
早く、強くなって・・・俺に――――――




あたしはまだ気が付かなかった。
あたしを・・・自分をずっと見ていてくれたのに・・・ずっと見ていてくれた君を。
まだ・・・あの頃はあたしは・・・弱すぎて、弱すぎて・・・。


Suzuno Asaka
Dream Novel 2007,0131


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