※もしも承太郎を説得出来なかったらっていう
妄想小説。戦うだけと今からいいます、これはBADEDっぽい!





承太郎の瞳には決意たるものがあった。
みつきの瞳にもその決意は宿っていて一歩も引かない様子でもある。
ジョースター家の問題だからと言われ、尚且つ花京院の説得にも
応じなかった頭でっかちに珍しくみつきは腹を立てており
冷戦状態かと思われた。

「来いよみつき」
「!?」
腕を引っ張られ出たのは庭先。
うっかり腕をとられたみつきは呆気な顔を取ってしまったが
意味が分かった瞬間、表情は厳しい顔になっていた。
太陽の暖かさが染みる中、承太郎とみつきは庭へと出て
他の花京院・アブドゥル・ジョセフは見守るしかない。

目の前にいる承太郎に威圧感を感じる。
隙がない――――ケンカをやっていないみつきであっても
承太郎をみて自然と思った。
しかし、なぜだろうか・・・彼の、承太郎の行動にイラッとしてしまう。

「(これも、承太郎の挑発?)」
学ランの彼はポケットに手を突っ込んでいる・・・しかも両手とも
ポケットに仕舞われており、意味は『お前なんかお呼びじゃねえ』とも取れる。
「ケンカもできなかったてめーに何ができる」
「!」
承太郎が思った言葉はみつきの耳へ確実に届いていた。
ふつふつと煮上がる幼馴染への想いがまるで憎悪へと変化していくようである。


「!」
目線を承太郎から外していなかったがふっとまるで息が掛かるかと
おもうほどに移動していた。
後ろをおもいっきし蹴ると土が舞い上がり視界が一気に悪くなり
みつきも顔をしかめた。
肉体的に彼が圧倒的に有利なのは分かりがない。
尚且つ喧嘩慣れしているのだ、一瞬でも集中力を切らせば承太郎に勝利が
いくこともみつきは承知していた。
だから―――いま考えられる事を実行すべきなのである。

砂が舞い上がったかと思えばシュッと風が切れる音がした。
承太郎は身体はでかいが俊敏な動きをし、矢のような素早さで
攻撃してくる。
顔に当たれば大惨事、身体に当たっても重症だろう。
とっさに当たらなかった幸運に「神様」に感謝をするしかないが
その時間も与えてくれないようだ。
「遅いんだよ」
「!」
ゴキイ、と承太郎の左足が足元をクリーンヒットし鈍い音が
みつきの耳にも伝わった・・・それよりも先にいきなり来た痛みが襲い
倒れてしまった時、身体が支えられないと分かる。
スローモーションに見える―――よく映画である光景であると
まるで映画を見る観客のようにおもっていた瞬間



「!?」
「捕まえた承太郎!」



***

みつきは見たこともない本能に呼び起こされたかの様な
顔をしていた。それは本人は分かっているのだろうか
その顔をみて承太郎はゾクリとクる何かがあったようだ。
確かに砂で見えなくなっていたが
目の前にきっといるであろうみつきの足元を狙ったはずがみつきは今
承太郎の後ろに抱きつく感じで、尚且つ喉元にはナイフが添えられたいた。
足の痛みはどうした、そしてどうして後ろにいる、散々考えたが
でてこないのだ。体格差があるというのに、だ。

ロングスカートをミニスカートにしており、密着するみつきの体温からするに
ホンモノであることには違いがない。
しかし彼女の手に持っているのは異様に切れ味の良さそうなナイフ・・・。
「てめー・・・まさか」
「へへ、拝借させていただきましたジョースターさん!」
サバイバルナイフ。ジョセフが慌ててナイフポーチをみてみると
腰につけてあったナイフが綺麗サッパリなくなっている。
距離的には十分離れているのにどうして手にとることが出来たのだろうか。


「・・・オーマイゴット・・・」
ジョセフも、両サイドいた花京院もアブドゥルですらも
わからなかった。
その動きに感服せずにいられるだろうか・・・否である。
侮っていた。両手を使わなくてもスタープラチナをつかって
重症にさせることができるだろうという幼馴染を侮っていた事が
仇となったのだ。
さあ、この状況どうするか、降参するべきだろうか・・・そう思ったときだ。

「・・・これで、わかってくれると・・・うれし・・・」
カタカタとナイフが震えるのがわかり声も先ほどよりも弱っている
と分かった瞬間ナイフは地に落ち、密着されていた身体は剥がれ落ちた。
そこから、みつきの意識は遠く暗い淵へと落ちていったのだ。



***









目を開けてみれば天井が見えここはどこかとみつきは
ぼおっとした脳のままであった。
寒い、とても、寒い。
とりあえず布団に入っている事は理解出来、ここは
みつきの家ではないことが分かる。
そう・・・確か、と頭の中で記憶を探り当てる・・・そう。
「(承太郎と、闘ったんだ)」

その時の事は目を閉じれば思い出せるものだ。
しかし承太郎の後ろにいってナイフを向けたあの動きは本当に自分だった
のだろうか。あの承太郎の後ろに飛びつき身体を密着させ喉元にナイフを
当てたあの感覚は・・・『熱』だ。
まるで世界がゆっくりになったあの感覚は今でもできるのだろうか・・・
そう考えてはみるものの頭を軽く振り、忘れることにした。

そう・・・承太郎に体力的に負け
そして意識を手放してしまったと分かり起きようとしてみたが、身体が動かない・・・。
神経は起き上がろうとしているのに脳にも伝達しているはずが
肉体は動かないのだ。
「(どう・・・して・・・)」
視点を動かしていると「みつきさんが目覚めました!!」と
男性の声が聞こえる・・・・。



彼はスピードワゴン財団のスタッフの方だといっていた。
――――そう彼らは行ってしまったのだ。置いて、出てしまった。
そう、彼らはエジプトへと・・・。
身体はそのスタッフの男性の手助けもあり起き上がると身体は
とても鈍っており足が上手く立てる状態ではなかった。
「しょうがありませんよ。なにせみつきさんは一ヶ月も寝ていらっしゃったんだ」
その言葉にぞっとした・・・。
タイムリミットは50日・・・30日も寝ていたことになる。
こんなに寝ていたのはスタンドの能力の突然の目覚めと承太郎と戦って負傷したのが
原因と見られると親切に教えて来れども心はぽっかりと穴が開いたままである。

「・・・・承太郎の馬鹿・・・」

幼馴染に負け、さらには勝手に行ってしまったのだ。
ポタポタと涙が勝手に出てきて頬を伝う・・・負けたという悲しみよりも
置いていかれた事がとてもショックという事。
駄々をこねた自分がとっても腹立たしい・・・
足の痛みと心の痛み両方にきて身体を縮こまられた瞬間だ。

「雪―――」

灰色の空に降ったきた白い雪。
襖が開いておりぼけっとみているともうみつきはまた涙を流すのだった。




20160502
この話についてはブログにて。


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