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目を閉じたはいいんだけど ―

「ん…」

ナルトの寝息とか不意にそうやって鼻にかかった声を出すとか。背中越しに伝わってくるナルトの体温と鼻を掠めるナルトの匂い。

(やばい…ムラムラするっ!)

おおおお落ち着け俺! ここで負けたらナルトだけじゃなくてナルト先生にまで嫌われる!そんな思いがかろうじて理性を留めていた。
かと言って既に元気な俺のムスコを情けないまま放っておく訳にはいかず。

(トイレ行こう…)

泣きたい気分だ。いくらまだまだ十三のガキだからって俺はもう剥けてるし勃つし知識もある、ガキじゃないの!あまり威張れることじゃねぇってばよ!って顔を真っ赤にしたナルト先生に言われたっけ…
むくりとナルトを起さないように布団から抜け出した。


 * * *


そんなことがもう4日も続いている。
未だナルトを帰す方法が見つからず、俺とナルトは自宅待機の命を言い渡されているにも関わらず、結局は任務に駆り出された。
俺とサスケとサクラ、おまけにナルト。どういう訳か綱手様の好奇心からナルトも任務に組み込まれたらしい。

「この班の隊長は僕が代理だ。」
「ヤマト隊長!!」
「ちょっと!ナルト!そいつと目合わせない!」

親愛の愛情表現なのかテンゾウに抱きつこうとするナルトを必死で止めた。
テンゾウにヘンな気でも起されたらこっちは堪ったものじゃない。ナルトに笑顔で迎えられて鼻の下伸びてるぞ!任務が始まる前から俺の機嫌が悪い。
そんな俺達三人を面白くなさそうに睨みつけているのは、サスケだ。
そんなサスケに気づいたのか、ナルトは俺とテンゾウの間を器用にすり抜けてサスケと同じ目線でしゃがんだ。

「な、なんだよ…」
「へへへっ…」
「……っ!」

ナルトは照れくさそうに笑うとサスケの頭を撫でた。そのナルトの表情にサスケは顔を真っ赤にして、ただ受け入れるだけだった。
ナルトは嬉しいんだ、多分。
家出もとい里を離れたサスケとまた仲間として任務が出来るから。

「でも、おもしろくないんだよね…」

正直な所はそう、おもしろくない。
サスケもまた、俺とは違った意味でナルトの特別なんだ。

そうして本日の任務が始まった。
俺らがまだ下忍…というかナルトも下忍だということに驚いた。とにかく下忍が四人ということで、任務は簡単なCランクの物だ。
人探しの任務で、何でも木ノ葉の忍が数名道に迷ったらしい。といっても、ただ迷うだけなら、捜索任務なんてあるわけが無い。
森に幻術の類の罠が仕掛けられていて、その罠の中を彷徨っているとの報告があったらしい。それを俺達が解除し忍の救出、それが本日の任務。

「この辺りだ。」
「多分俺その人たちの場所分かるってばよ。」

ナルトの言葉に首を傾げている内にナルトはすっと座り足を組んだ。

「ナルト…?」
「…………………」

「なぁテン…ヤマト、ナルトが今何してるか分かる?」
「いや…」

話しかけても反応がないナルトに首を傾げテンゾウに何をするつもりか聞いてみたけど、俺よりも付き合いの長いテンゾウでもこのナルトのことは分からないらしい。
俺達が訳も分からないままナルトを見ているとすぅっと目に隈取が現れた。

「仙人モードだってばよ。」
「せんにん…」

そう言って立ち上がったナルトは俺を見て笑った。

― 遠いよ、そんなの

声にならなかったんだ。仙人だなんて人間の力をはるかに超えている。
それに目の前にいるナルトは、すごく綺麗だった。
真っ赤な羽織を翻して、空色の瞳は今は金色に輝いている。
すごく言葉にならない程に、俺は仙人になったナルトに見とれていた。

「四時の方向と六時の方向に数人ずつが固まってる。」
「…よし、それじゃ僕が森に入るよ。」

二人が何を話しているか、頭に入ってこなかった。
昨日まで、二人で馬鹿やって騒いでたのが急に遠い昔のように感じた。
もっともナルト先生の存在は俺にとっても十分すぎるほどに遠いものだった。でも、俺と年の近いナルト先生と同じ存在であるナルトなら、もっと近くにいられると思ってたんだ。





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