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で、結局何なのさ、これは!
ナルトはサクラの質問攻めに合い、「初恋はサクラちゃんだったってばよ?」なんてあの可愛い綺麗な笑顔で言うものだから、俺は堪ったものじゃない。
それにサクラは気を良くしたのか気分上場で綱手様のお使いに行った。
でもさ気づいてる?ナルトはサクラだった、って言った。過去形なんだよ。
なら今は?今は誰かナルトの隣にいるのだろうか。

「…気になるじゃない、」

今でこそ俺とナルト先生は結ばれた訳だけど、それが別の世界のナルトだったとしても俺のナルト先生には変わりない訳で。
もしナルトの世界のもう一人に俺がいるとすれば、絶対にナルトを放っていないはずだ。これは自分だから分かる。

サスケの執念深い修行に付き合えという頼みを俺が千年殺しで捻り潰して、今はナルト先生の部屋に二人でいる訳だけど。
どうにも落ち着かないのかナルトは辺りをきょろきょろ見回している。

「…落ち着かないってばよ。」
「みたいだね。」
「なぁ、ちっこい先生。」
「…その呼び方やめてくれない?で、何?」
「どうして色んな物が二人分あるんだ?」

あぁ、それは俺とナルト先生が一緒に暮らしてるから。
半同棲中なんだけどね。

(なんて言えるかぁああぁ!!!)

俺とナルト先生は恋人同士な訳だけど、ナルトはどうなのだろか。
十六歳って言ってたけど十六なら恋人ぐらい、いないにしても好きな子ぐらいいるだろう。気になる、すごく気になる。
俺はソファーに縮こまっているナルトの隣に座って、顔を覗き込んだ。

「ん?どうしたってばよ?」

(やっぱ可愛いんだよね…)

覗き込むとナルトは首を傾げて笑いかけてくれた。
ナルト先生もこのくらいの歳の頃はナルトみたいに明るく笑っていたのだろうか。
俺はナルト先生の過去を知らない。知っているのは九尾のこと、四代目はナルト先生のお兄さんということ、その四代目と過ごした日々を俺に幸せだった日々の思い出を語ってくれた。でもその過去は笑顔では隠しきれない程暗いものだったこと。
そんな俺の知るナルト先生を今ナルトに見ている。ナルトのことを、知りたい。

「ね、ナルトのこと教えてよ。」

そう言ってぎゅっとナルトの手を握った。
心なしかナルトの顔が赤くなったと感じた。
それからナルトは色々なことを教えてくれた。

― 俺ってば馬鹿だからさ
アカデミーでも成績なんてオール煙突
いつもサスケに馬鹿にされてたけど、いつかライバルだって認めてもらいたくてさ
これでも必死だった
やっとサスケにライバルだって認めてもらえたと思ったらサスケと喧嘩しちまって
それからあいつ家出しちまって

ナルトはサスケの事ばかり懐かしそうに少し寂しそうに話していた。サスケとナルトってどういう仲な訳?余計に気になるじゃない。

「ナルトってさ…サスケの事好きなの?」
「は…?」

いやさ、そんなにサスケ、サスケって言うなんてそう考えても可笑しくないでしょ。
ナルト先生と同じ存在のナルト。俺だってそのナルトに好意の一つや二つ抱くのは当たり前でしょ。そのナルトがサスケの事ばかり口にするのは面白くない。
俺の言葉を聞いて驚いているナルトの手をまた握った。
ナルトの手はナルト先生の手よりも小さくて、ナルト先生との歳の差を埋めてくれる様な気がした。
じっとナルトを見つめると、ナルトは俺の視線に耐えられなかったのか、ふいっと視線を逸らされた。ちょっと傷つくんですけど…。

「キモいこと言うなってばよ…うぇ…」
「ちょっと何でえづくんだよ!」

え、何その反応。何ナルトはホモが嫌いだったりする訳?いや別に俺もホモって訳じゃないんだけど、ナルト先生限定だから。ていうかナルト先生以外の人間に興味ないだけだから。ナルト先生より素晴らしい人ってこの世に存在するの?いや、いないね。
俺の心の言葉は漏れてないはずだ。ナルトは少し気まずそうに頬を掻いた。それが気になって、聞いてみた。

「何?」
「それ同じこと言われたと思ってさ…」
「誰に?」
「カカシ先生。」

これではっきりした。ナルトの知る俺、はたけカカシは確実にこのナルトが好きだ。
いや複雑と言えば複雑だ。要は思考回路が同じって訳だよ。
ただ違うのは…俺がまだ十三の餓鬼だってこと。

「ちっこい先生…?」
「…………っ、」

ちょっと複雑すぎでしょ。
俺も、ナルトの知る俺もナルト先生に、ナルトに惚れてる。
でもどっちも年の差があって、先生と生徒で。
立場なんて、年の差なんて関係ないって、思うけどやはり頭のどこかにそれはあるんだ。このナルトに出会ったことで余計に色濃くなった気がした。
そんな俺の不安な感情を感じたのか、今度はナルトが俺の手を握った。
ナルト先生よりも小さくて、それでもその温かさは同じだった。

「大丈夫だってばよ。」
「なに、が?」
「好きだから、俺も。カカシ先生が…だからさ、絶対ちっこい先生の俺もカカシのこと好きだってばよ。」

顔を真っ赤にしながらそんな殺し文句を言うナルトを、俺はどうすればいい!
こっちまで真っ赤になってしまった。
成る程これはナルトの知る俺も骨抜きになる訳だ。
ポリポリ頬を恥ずかしそうに掻くナルトの行動から表情までが俺の目を捉えて、俺はもうマタタビを与えられた猫のようだった。


その日は結局一楽へ、ナルトは変化をして二人で食事を済まし、夜になった。
勿論ここはナルト先生と俺が住んでいる部屋で、ベットは一つだけだ。

「じゃ、ちっこい先生、俺ってばソファーで寝るから。お休み。」
「へ?」
「…なんだってばよ、その、へ?って…」
「え、いや…てっきり一緒に寝るのかと思ってたよ。」

にやりと笑うと、ナルトは耳まで真っ赤にしてこのエロガキ!って枕を投げつけてきた。それでも、俺が一緒に寝よ?って首をこてんと傾げて可愛く言えば、何も言わずにベットに入ってきてくれた。もう本当に可愛い。

「ちっこい先生、可愛すぎるってばよ…」
「俺の勝ちだねー」
「くっそ…あぁもうお休み!」
「お休み、ナルト。」

ナルトは俺に背を向けて寝てしまったけど、同じ布団にいてお互いの体温を感じるこの温かさはナルト先生と同じで俺はもの凄く安心した。

(それだけで、我慢しますか…)

物凄く幸せな気持ちを抱いたまま、俺は目を閉じた。




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