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目的地の村はもう直ぐそこだ。
すると先頭を行くナルト先生が急に立ち止まるから、思いっきり先生の背中に顔をぶつけた。
地味に痛いがナルト先生だから寧ろ触れられて嬉しいとか口には出さない。

「口に出てるわよ馬鹿。」
「あ、そう?」

サクラの奴、そう言う事は言わなくていいの!
でも急にナルト先生が立ち止まるなんてどうしたんだろ。
俺は立ち止まったままのナルト先生の手を引いた。

「ナルト先生…?」
「…あ、あぁ…こっからはお前らだけで行くんだってばよ。」
「え…?」
「多分、俺がいると任務どころじゃなくなっちまうから。」

そう言って俺らに笑いかけたナルト先生の笑顔は出発前に俺が見た、苦しそうな悲しそうな、その笑顔だった。
何か訳があるんだ。でもその訳を聞いたら先生はもっと苦しそうに笑うんだろう。
そんなの、俺が嫌だ。

「分かりました。サクラ、サスケさっさと行ってさっさと終わらせよう。」
「でも、ナルト先生…」
「ナルトはどうするんだ?」
「俺はちっと別の任務があるから、そっちに行く。お前らが終わる頃には迎えに来るからな。」

そう言ってナルト先生は瞬身で姿を消した。別の任務って何だろ。
考えてもしょうがない、三人だけで村に向かった。

 * * *

「お疲れさま、木ノ葉の皆さん。」

任務は夕刻までには終わった。
村人はいい人で、俺達にお茶をくれたりお菓子をくれたり、色々よくしてくれた。
まぁ、俺達三人が子供だって言うのもあるだろうけど。

「これからお帰りになるので?」
「えぇ、そうです。」
「木ノ葉はどんな様子です?」
「特になにも…平和ですよ。」

よくしてくれたとは言え、会話を持ちかけてくる依頼主に多少苛つくけれど、ここは適当に返事を返しておく。
サスケなんてオール無視、なんで俺が話相手にならなきゃいけないの。

「そうですか、よかった。実はこの村人は皆木ノ葉から越して来た者ばかりなものでして、少し里の様子が気にはかかっていたんです。」
「へぇ…」
「だから忍具が置いてあったのか。」

サスケの一言に依頼主の顔が少し強張った。
里から越して来た人の中には忍を辞めて移住した人もいたのだろう。
でも、隠れ里でもない普通の村に忍具があるのは、おかしい。

「気にかかっていたなら、どうして里に直接様子を見に行かない?この村の誰一人も里に行かない訳じゃないだろ。商売人ぐらいはいるだろ。」

ナイス、サスケ。今日だけは冴えてるな。
嫌味たっぷりなサスケの態度に、依頼主は困ったように笑った。
ちょうどいいことに、もうじきナルト先生が迎えに来てくれる時間だ。

「それでは、俺達はもう行きます。」
「あぁ、気をつけてね。」
「はい、ありがとうございます。」

サクラだけがそう言ってお辞儀をした。
依頼主は俺を村の出口まで見送ると言い出して、なぜか数人の村人まで見送りに来た。

「さっさと帰ってナルト先生と一楽行きたいなぁ…」
「こらカカシ!せっかく見送ってくれてるんだから、そんなこと言わないの!」

俺の些細な一言に、村人の表情が一変したことに、前を歩く俺達は気づかなかった。





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