Valentine's day

二部

またこの日がやって来た。
こ、今度はちゃんとカカシ先生に好きだって、言う。

エロ仙人と修行の旅に出る前、バレンタインって言う日に託けて一度だけカカシ先生にチョコを渡したことがあった。
ちょうど俺がサクラちゃんにチョコを貰い損ねたときだった。
不器用な俺だから、日頃の感謝も込めての、要は義理ってやつ。
次の日からカカシ先生ってば、いつも優しかったけど、いつも以上に俺を甘やかすようになって。
もしかしたら、カカシ先生って俺のこと好きなんじゃないかって、思い上がって。
そう思い始めたら、単純な俺。
カカシ先生を意識してしまって、まともに先生の顔とか見れなくなって。
このままじゃ任務どころじゃなくなっちまう、ってときにエロ仙人が修行に連れてってくれて助かったんだったばよ。

でも、里に戻って来てからまたそのカカシ先生への好きって気持ちが大きくなって、苦しいから、早く言いたくて。
でも先生と生徒、上司と部下の関係を壊したらその先が考えられなくて、怖い。
だから、また俺はこの日に託ける。



「カカシ先生!」
「あれ、ナルト?どうしたの、わざわざ。」
「…カカシ先生、これから任務?」

あ、とカカシ先生の装備を見れば、これから里外への任務に向かうことは明らかなのに、俺はついつい聞いてしまう。
「今日は一楽奢ってやれそうにないよ。」ってそう言って頭を撫でるカカシ先生。
いいんだ、そんなこと。
ただ、この日に俺の気持ちを聞いて欲しかっただけなんだ。
断られてもいいから、ただ知っておいて欲しいだけなんだってばよ。

「あ、ナルト。夜窓開けといてね。」
「へ、何で?」
「いーから。」
「いつも勝手に入ってくるじゃんか。」
「あ、そうなんだけど。じゃ、また夜ね。」

そう言ってカカシ先生は瞬身で消えてしまった。
この際、カカシ先生に会ったときに直ぐ言えば良かった。
好きだって、カカシ先生が大好きなんだって。

「…はぁ、帰ろ…」

 * * *

家に帰って真っ先にゴミ箱に箱に入ったままのチョコを捨てた。
もういらないし、自分で食うにも悲し過ぎるだろ。
それから適当にカップラーメンを食って、風呂に入って寝た。
だから、カカシ先生が窓の鍵開けとけって言ったの、忘れてた。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -