3

「お邪魔します。」
「そんなに畏まることないってばよ。」

俺がナルト先生の誘いを断れるはずもなくて、結局晩飯をご馳走してもらうことになった。
何度か訪れたことのある先生の部屋も今は見慣れない。
生活に最低限の物しかなくて少し寂しい。
窓際には先生の好きな観葉植物が並べられている。
ナルト先生が長期任務の時水遣りを頼まれたことがあった。
その時よりも植物は少し大きくなっていて、俺とこの部屋の時間が空いたことを知らせる。
そうやってだんだん疎遠になっていくのか…今よりも、ずっと他人になって。
先生と生徒、上司と部下、それ以上でも以下でもない。
ただの他人。

(…そんなの嫌だ、)

俺が白い牙の息子だからとか、生徒だからとか、同じ第七班のメンバーだからだとか、そう言う物の見方でナルト先生に扱われたら、俺はきっと耐えられない。
大好きなナルト先生だから、

台所で手際よく支度をするナルト先生の後姿を見つめる。
子供の俺には、任務の時先生に背中に庇ってもらったこともある、その背中が大きく見えた。小さい頃からずっと見てきた、先生の背中。
それは憧れから、恋心に変わっても変わることの無い景色。
他人になってしまったら、その景色も悪い意味に変わってしまうのかな。

「カカシ?さっきから黙ってどうしたってばよ…?最近お前らしくねぇぞ…?」

そのナルト先生の一言に、俺の複雑に絡まった気持ちが悲鳴を上げた。

「最近らしくないのはナルト先生の方じゃないですか…」
「カカシ?」

「俺の様子を窺うようなことばっかり、他の大人達と同じじゃないですか!俺が父さんの息子だから、白い牙の息子だから、その父さんが自殺なんかして一人になって…だから哀れんでくれてるんですか、他の大人と同じで!そんなの、いらない!ナルト先生が…好き、で…好きだから、余計に…っ、そんなの…うぅ、」

勢いで叫んで、早口で捲くし立てて、気づいたら泣いてた。
勢いで立ち上がったままその場で、俺は泣いていた。

「カカシ、」
「……っ!」

名前を優しく呼ばれて、次には抱きしめられていた。
どうして抱きしめられたのか分からなくて、でも、ナルト先生にそうして貰ったことが嬉しくて涙が引っ込んでしまった。

「ごめんな…寂しかったよな、俺がそんな…」

違う、違うんですナルト先生!

「俺、ナルト先生が好きなんです!」

なんでそうなるんだ、俺っ!
顔を上げればすぐそこにナルト先生の顔。
驚いた顔、そこでようやく自分が口走ってしまった事の重大さに気づいた。





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