3

「…お前、」
「俺はあんたらの仲間、なんかじゃない。」

一気に向けられた彼のの殺気に押されることなく睨むと肩を竦めた。

「先生、」
「……っ!?」

先程の低い声ではなく、少し高めの、俺の聞き慣れた声。
ゆっくり外される面から目が離せなかった。
露になっていく、金糸に見慣れた三本髭の痣。唯一違ったのは、瞳の色。

「…ナル、ト」

くすり、笑う声がした。
形のいい口元を歪ませて、不敵に笑う。
そんな笑い方をするナルトを、俺は知らない。

「驚いた?カカシ先生ぇ、」

喋り方も違う、冷たい目をしたナルト。目が離せなかった。
いつも温かく笑うナルトと、今目の前にいる冷たく笑うナルトが重ねられなかった。

「…あぁ、」
「はは、」
「何が可笑しいの?」

別に、とまた口元を上げて笑うナルトに眉を寄せた。

「俺のこと嫌いになった?」

そう言って、冷たい笑顔を張りつけたナルトが悪戯っ子のように首を傾げた。
― ぞくり、と背中を悪寒が走った。
温かい笑顔を見せるナルトの面影は全く無く、ただ目の前にいるのは俺の知らない少年だと、思えてしまった。
俺の動揺が面白いのかナルトは目を細めてまた笑う。

「俺さ、先生が思ってる奴じゃねぇよ…。先生が大事にしてる仲間でもねぇ…。馬鹿でドベで、それでも笑って前に進む、うずまきナルト。そんなのさ、全部違う。」
「何が、お前をそんな風にした…?」

ナルトが、また笑った。
今度は諦めた顔で、悲しそうに笑った。

「変なこと聞くなぁ、カカシ先生は…。俺は昔から、こう、だった。」
「やめ…っ、」

ナルトから放たれたクナイは、情報源となる可能性のある捕虜にまっすぐに向かい、喉を射抜いた。
無駄な殺しはしない。それは暗部でも同じはずだ。
それなのに、ナルトが…

「まだ、うずまきナルトを信じてる?…馬鹿だね、先生…」

まだうずまきナルトを信じてるだって?
あぁ、信じてるよ。
だって、お前…

「カカシ先生…」

泣きそうな顔、してる。





人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -