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闇夜に佇む見慣れた外套に足を止めた。
体つきからまだ若く、深くフードを被って面は見えない。
隣に着地するとさっ、と距離を取られた。気にすることなく、いつもの調子で声を掛けた。

「いやぁ、遅れちゃってごめんねー。」
「いいえ、」

首を振る暗部に、視線を向けると逸らされた。可愛いくない後輩。
若い暗部は早く任務を終えたいのか、まだ目的地にも着いていないと言うのにピリピリとした緊張感を醸し出していた。

「では早急に目的地に向かいます。カカシさん?」
「お前、暗部にしては若過ぎない?」
「カカシさんが暗部に入隊された年齢よりは若くないと思いますが?」

虎視眈々と返され、その話し方にどこか冷たさを感じた。
彼が纏っている雰囲気も冷たく感じるのは、そのせいかもしれない。

「行きますよ。」
「あぁ、分かった。」





俺の先を行く彼に、何故か目が離せなかった。
どこか人を寄せ付けない雰囲気を纏っているのにも関わらず、どこかそれは自己防衛の様で昔のナルトに似ていると思った。
そんな俺の視線に気づいたのか、視線だけを向けた。

「来ます。」

彼の一言で暗闇からクナイが数本放たれるのを見た。

 * * *

(…なんと言うか流石だね。)

あれから敵との交戦は瞬く間に終わり、生存者を確認している。
小隊での奇襲攻撃はおそらく木ノ葉への偵察隊、後は里へ連れ帰り尋問部隊に引き渡せば俺達の任務は終了だ。
彼は交戦痕を消す為、一人森へ入っていった。
彼の背中を目で追いながら、先ほどの戦闘を思い返す。
一切無駄の無い動きに俺の攻撃、術に合わせて援護するタイミング、どれも今日初めて任務を共にした忍ではここまで出来ない。俺の攻撃パターン、術を知っている彼は…

「…まさか、ね。」

そう呟いた時、森の中から彼が戻ってきた。

「お待たせしました。」
「いやぁ、任せちゃって悪いね。」

首を横に振る彼の手には敵が使っていた変わった形状の武器があった。
それを見て意識が戻った捕虜が目を見開く。
向けられた視線は、怒りと憎悪に染まっていた。
当たり前だ、いくら敵とは言えこいつらにも仲間がいて里がある。
そんな捕虜を見て彼はその武器を目の前に放り投げた。

「これ、」
「……」

いかにも相手を挑発するような行動。
何を狙っているのか、俺さえも意図が読み取れなかった。

(情報をこの場で吐かせようとしているのか…?)

そうだとしたら、この場では必要ない。

「情報を吐かせるなら、尋問部隊に任せろ。下手に刺激すれば自害だって考えられる。そうなれば任務は、」
「カカシさんはお優しいんですね。」

そんな決して仲良くない状況の俺達のやり取りを見て、今まで口を閉ざしていた捕虜が叫んだ。

「お前ら木ノ葉は俺の仲間を皆殺しにした!今度は俺がお前らの仲間を皆殺しにしてやるっ!」
「うるさい。」

冷たい声と悪寒がする程の殺気。
彼が面の下から威圧すれば、捕虜はその殺気に怯えまた口を閉ざしてしまった。
はぁ、と溜息をついて俺は捕虜に目を向けた。

「そうなれば俺が黙っちゃいないよ。それに木ノ葉はそんなに軟じゃない。あぁ、後ね…お前ねぇ、あまり刺激しないようにって言ったでしょ。お互いに里があって、仲間がいるのは同じでしょ。」

俺の言葉に彼はぴくりと反応した。
先ほどまで捕虜に向けられていた殺気は、俺に向けられていた。

「仲間…ですか、俺も…?」
「何言ってんの。」

それは木ノ葉の教えだ。
どこか俺の言葉にうろたえる彼は、今度は溜息をついた。

「仲間ですか…そんなの俺にとっては綺麗事でしかない。」

今度は俺が殺気を彼に向けた。





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