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 椿の悩みとその結果



*性描写注意、馬鹿でえろい話だったりそうじゃなかったり。
マニアックでは無いはず、いや自信が無い、読む人を選ぶネタです。
下ネタ、自慰が苦手な方は読まない方がいいです。






20歳の健全な男であれば、アレでソレな本やDVDにお世話になる事も自然な事で。
例外に漏れず椿も部屋の片隅にそういった物があったりする。
そういえばご無沙汰だなあと思いふと手に取ってレコーダーにセットし、ティッシュペーパーを自分の傍に引き寄せ、テレビにイヤフォンを差し込む。

さあ、と再生ボタンを押しこんだ。
しばらく画面を眺め
そして椿は絶望を味わう事になる。



控えめなノックの音を聞いて達海は押し掛けた再生ボタンの手を止める。
まだ次節まで時間はあるし、そう急ぐ必要は無い。
それより訪問者の方を優先しても罰は当たるまい。

「おう、いらっしゃい椿・・・・椿?」

ドアを開けて迎えるとドアの前に椿がたっていた、しかし様子がおかしい。
椿はうつむきがちで、長めの前髪が顔を隠す。
原因は分からないがひどく落ち込んでいるようで、ざわざわと不安に心が揺れた。
よほど言いづらい事らしく椿は開きかけた口を閉じ言葉を探すように唇を震わす。

「椿・・・」

肩に手をかけると、椿が胸に飛び込んできた。
きつく、きつく抱き締められる。
可哀想に、なにがそこまでこいつを追い詰めたのだろう?
その腕の力はとても強く、痛い程だ。
というか痛い、本当に。
締め付ける腕の力がまだまだ強くなることに驚く、いや、ちょ、椿?

「痛い、痛い、痛い!お前何を!?」
「・・・・・・たの」

「貴方のせいだ!」

耳元で聞こえる声に驚いた。あれ、こいつ、落ち込んでない。
椿はすこし身を引いて、ようやく今日初めて目と目が合う。
・・・・・・あのさ、目がすわってませんか椿くん?

「貴方の・せいだ・・、責任とって下さ・・い。」
そこまで言って椿は力を失い、俺にもたれかかるようにして抱きついてきた。
その背をさすってやりながら宥める。
俺のせいらしいが心当たりは無い。
理由探しは置いといて、まずは椿を部屋に入れ扉を閉めて鍵をかけた。
時刻は20時を過ぎている、誰も居ないし人は来ないだろうが念の為だ。




「勃たなくなった?」

ようやく落ち着いた椿がベッドの上で居心地悪そうにシーツを握る。
あの後、俺の所為だと感情ははきだした椿が何があったかを話しだした。
決壊したダムが水を溢れ流すように、しゃべりだした椿は止まらなかった。
まとめると、自慰したくてもAVやエロ本相手じゃあナニが反応しないらしい。

「へーえ。」
意地悪く歪む口元を自覚する、すっかりいつもの様子に戻った椿がたじろいだ。
つまり、椿の体は俺以外じゃあ感じれなくなったと言ってるようなものだ。
これはついつい口元がゆるんでもしょうがないではないか。


「じゃあ椿、ちょっと俺の前でやってみてよ。」





「・・・は?」
それだけの短い返事なのに、できるまで数十秒を要した。
え、この人今なんて言った?
やれと、自慰を?この人の目の前で?

「だからー、俺の目の前でオナニーして?って言ったの。」
容赦なく二度目を言い放ってくれたこの人の意地の悪さに苛立つ。
これでとぼけて逃げ切る事は出来なくなった。

「EDだったら医者だしね、選手の体調を気にするのも監督の義務でしょ?」
そういう監督の顔は楽しげだ、そしてこちらを逃がしてくれる気は無いらしい。

「最後まで責任とってやるよ」
口調はお願いなのに、命令にしか聞こえない。
自分の馬鹿さを呪った、こうなる事など予想できたじゃないか。
動揺していたはいえ何故この人に言ってしまったんだろう・・・・。

救いを求めるように監督をうかがうが、帰って来たのは促す視線。
じりじりとこちらを見つめる視線の中に艶めいた色を感じてしまい体が火照る。
もうひけないのだと覚悟を決めた。





ジャージに手をかけゆっくり下ろす。
汚れるのが嫌で下着も脱いだ、監督からバスタオルをもらい、シーツの上に引く。
監督は窓際にこしかけ、いつもの赤い缶を手に見物を楽しむようだ。
Tシャツ一枚で視線を浴び自慰をする、あああ、恥ずかしい。穴があれば入りたい。

早く終わらしてしまおうと、緊張で萎縮したモノに手を伸ばす。

「・・・・っ。」
根元を握り、亀頭まで沿わす。
早く終わらしたい気持ちからか、余計な力がはいってしまったようで、痛みすら感じた。
快感は捕まえられない。
今度は力加減を誤らぬよう、触るかどうかの危うい位置に指先を這わせ撫で上げた。
途端に感じるくすぐったさと刺激、どうにか快感を追っかけようと
感じる部分を辿って、擦り、撫で、ありとあらゆる手段で快楽を得ようとしたが
視線が気になって集中できない。
薄く目をあけた。

「は、どうしたよ。いつもやってる事だろう?」

監督が嗤う。その瞬間ビクリと自分の中の何かが反応した。
うわ、見られている。
垂れ目がちな目が俺を見て、離れない。



あ。



萎縮しっぱなしだった自分の物が育つ感覚に驚愕する。
まじで俺、監督がいないと駄目な体にされてしまったんじゃないだろうか。

「なんだ、勃ったじゃねえか。」
「・・・・っ!!」

どうか、言わないでほしい。
こちらは恥ずかしくてしょうがないのだ。
視線から逃げるように目を閉じると、いっそうシャープに快楽を感じて吐息が漏れた。
早く終われ!



「・・・・・・・ふっ。」


眉をしかめ、苦しげにも見える椿の顔。
羞恥から頬が赤く染まり、だんだん吐く息が荒くなる。
歯を噛みしめ耐える表情にこちらまで苦しくなってきそうだ。
主に下半身の所為で。
伸縮性の無い硬いスラックスはこんな時に困る。
見ているだけでも十分に面白いが、それで終わるのは味気ない。
だから口を開いた。




「お前って性感帯いろんな所にあるよなあ。」


閉じた目をゆっくり開ける椿と目があった。
こちらが気になるようだが、手の動きは止めようとしない。


「たとえばさ、腰から背中をゆっくり撫でたり・・」

「うなじ辺りや、耳の付け根なめられんのも弱いよな。」

「・・・・・つばき。」
「・・・ヒッ、う・・」


多分、俺の声でされる感覚を思い出したのだろう。
椿の背が反るように跳ねる。
小さな呻き声がその拍子に漏れ、手が止まった。
たしなめる様にもう一度名前を呼ぶと潤んだ目が誘う様にこちらを見る。
快楽に酔い始めているが、まだ理性が勝っているようで震える唇は何も言葉を吐き出さない。

「・・・・ん、ぐ・・」

先走りが漏れて、椿の手を汚す。その様子を視線でなぞった。
快感で震える体をどう悦ばしてやろうかなと考えている俺の体も火照り始めてきている。
あつい。
濡れた手が動くたび、くち、ぐちゅ、と水音がなり
椿の喉もとで喘ぎを噛み殺した声がした。

「は、っはぁ、まだ駄目です、か」


許しを乞うように椿がつぶやいた。
聞き取れないくらいの小さな声、聞こえないふりをしてもよかったが
そろそろこちらも辛くなってきているわけで。
達する事も出来ず中途半端に熱に浮かされ苦む椿は哀れで、健気で、可愛かった。
いつもどんな顔してイってんのか見たかったんだけど、今日の所は諦めるしかないようだ。
渇いた喉はこんなものでは癒せない。
半分くらい中身を残した赤い缶を窓際に置いた。

・・でも、もうちょっと見てえな。


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