文章 | ナノ


 



「椿、そこばっか弄ってないでさ、あっちも弄ってみろよ」

液体が入った瓶をベットに投げた。
スプリングに受け止められ、転がって椿の足元で止まる。
一度だけこっちを見て、悔しそうな顔をした後、ゆっくりとそれに手を伸ばした。
蓋を開けると、どろりとした粘り気を持つ液体が椿の手に落ち、太ももに落ちる。
膝を折り、壁にたれるような体勢になった椿が一度も触れなかった所へと指を這わせた。

「最初は入らないだろうから、まずその辺りを撫でるように・・そう。」
「・・・、ん・・ぅ。」

「はは、見られてガチガチだな。前も後ろも、力抜けよ」
「・・・じゃあ、見ないでくださ、ぁ、いよ。」
「えー、それはやだ。」

椿の顔が一瞬ひきつった。
不満げな顔をする度、乱暴な感情が熱を増す。
あー、なんでこいつ嗜虐心ばっか刺激してくんのかね、馬鹿な奴。

「ちゃんと左手も使えよ、後ろだけでイけんならそれでもいいけど。」

「・・、・・は・・・んぐ、・・・ふっ」

「そろそろいいんじゃね、一本くらい入んだろ?
て、ははっ、なんだもうぐずぐずじゃねえか。」

体中が赤くなった椿に手を伸ばした。

「・・・・え、なに・・・?・・・んあっ!」

椿の太ももに片手を付いてもっと足を開かせ、後口に入り込む指ごと自分の指を差し入れた。
「・・・いっ・・・ぁあ、ま、まだ、そんな!」
ぎちぎちとナカが俺の指を締め付ける。
狭いが動かせない程じゃない。
「うん、十分とけてきてんじゃん。ほら、もっと指動かせよ」
手を出されたことで終わりだと思っていた自慰を促された事に椿が傷付いた顔をした。
ああ、だから、そんな顔するからもっとしたくなるんだって。
ずるりと椿のナカから指を抜いて、窮屈な所から自分のモノを取り出した。

「あ・・」

実物を見て入れられる所でも想像したのだろう、一瞬椿が手を止め、体を快感で震わす。
見せつけるようにゆっくり根元からさきっぽまで撫で上げた。

「た、たつみさ・・・もうやだ、こんな!!・・ちゃんとシたいっ。」

嫌がる椿の意志とは反対に陰部を慰める手の動きは大胆に、淫猥になっているのがいい。
必至な顔で涙までこぼして俺に縋る。あーなんでこんなに愛したくなるのだろう。


「しょうがねえな」
「・・んんっ。」

椿の舌を捕まえて絡ませる。
柔らかい唇を甘く噛んで、離した。


汗ばんで、しめったTシャツを脱がす。
張り付く布切れがうっとうしい。
裸になった椿の指が俺の胸を押し倒し、首をなぞり頬を這う。
指先がひどく熱い、さっきの光景を思い出しながら想像する。

「いつもどんな事考えながら一人でシてんの」

いさめるように椿の目が細くなった。

「別に普通です・・言わせないで下さい。」
と小さな声と共にキスが落ちてくる。
その頭を捕まえて歯列をなぞり、舌を絡め、唾液を絡め合う。
飲みこめなかったものが唇を伝いシーツに落ちた。
今度は吐息すら奪い合うように激しく椿を求める。
耐えられなくなった椿が大きく背を反らせて逃げた。

荒い息をはきだし揺れる胸元にキスを送る。
とがりはじめた乳首に噛みつこうとすると今度は指で口元を押さえられた。

「・・はっ、は、ずるい・・です俺ばかり・・俺・・も」

まだ整わない息のせいでふらふらになりながら椿が動く。
苦しいだろうに、パーカーのジッパーを噛んでゆっくり下ろし
じっくり時間をかけて一枚、一枚、脱がされていく。

「俺はね、椿。」
「いつもお前の事考えてヤってるよ」

面白いように、椿の動きが止まった。

「もう体が覚えちまったみたいでさあ、目つぶっただけでお前が喘いでる姿リアルに想像できんだよ。」

「泣き出しそうな顔とか、すがる指先の力とか、裏返って聞いたこと無い高い声とか、いつでも全部思い出せんの。」

「・・お前はどう、椿?」

返事は無い。
うつむいた椿の両頬を掴んで上を向かせた。
ハァ、ハァ、と荒い息を吐き出す椿は耳まで顔を赤く染めひどく困惑してるようだ。
汗で貼りつく前髪をかきあげる。
そこにキスを落として、髪をすくと気持ちよさげに椿が目を細めた。
しかし、すぐに体を持ち上げて俺から離れる。

ひやりとした空気にさらされ冷えた下腹部に熱くねっとりとした舌の感触。
どうしても返事できない椿は行為を続けることでごまかすつもりらしい。
まあいいや、特に期待してなかったし。
俺でイけるならそもそも今日ここに来なかっただろう。

・・・まあ、これからは出来ちゃうかもな。
思わず緩んだ頬に行為に没頭する椿は気付かなかった。

熱く柔らかい口内に包まれる感覚にビクリビクリと腰が跳ねる。
フェラ中の椿はとにかく必死だ、俺の太ももに手を置き勢いまかせに快楽を与えようとする。
その分痛いくらいの時があって、そうならないよう時々ちらりと見上げて来る。
俺の物をくわえながらしてくるせいでその姿はかなりエロイ。
行為そのものより、健気で一途な行動が俺を快楽に誘うのかもしれない。
とはいっても回数を重ねるうちにも上達してくれたせいで
今では気を抜けばもってかれるから油断できない。

「・・く」

過敏な部分を舌でつつくように刺激され声が漏れた。
甘い熱を孕んだ声に嬉しそうに椿が笑う。
こいつだって男だ、組み敷き相手を征服したい欲をちゃんと持ってる。
優越感に浸るように満足げにわらう椿を見るたび、その奇麗な顔を歪ませ、縋らせたくなる乱暴な欲が疼く。
されっぱなしは性に合わない。

突き上げるように腰を揺らしイイ所が擦れるように動かす。
まさか俺が動くとは思わなかった椿がぐもった悲鳴をこぼした。
ビリビリと駆け抜ける快感に持ってかれないよう注意しながら暖かい口内の感覚を楽しむ。
体を起して汗で貼りついた髪に指を絡めると、嫌がるように左右に頭を振られた。
する側だったのに俺に振りまわれた椿が抗議するような声を出した。

「ぷはぁ、はっ・・はっ・・・はっ・・。」

「今日の・・達海さん・・・ひど・・・。」
体を起しぼろぼろとこぼれ落ちる椿の涙を指で払うと腕をとり俺に抱きつかせた。

「ははっ、悪か、ったな。でもちゃんと今からは気持ちよくさせるから・・」
そう言って柔らかくとけた椿の後口に指を3本付き入れた。

「・・・っぁ!!」

柔らかなソコが熱く指を抱きつき、奥へ奥へと誘いこもうとする。
そして対して力を入れずとも俺の指を根元までのみこんだ。

「よしよしちゃんとできてんじゃねえか、これならもう大丈夫そうだな。」

指を抜こうとすると惜しむように締め付けて来る。
快楽の色が強くにじんだ声が吐息に交ざり吐き出された。
椿と体の上下を入れ替える。

「た、たつみ・・・さ、ん・・」
「ちゃんと息しろよ?」

大きく開かせた後口に硬くそそり立った熱を突き入れた。
声にならない叫びが椿の口からもれる。
収縮にそって、誘いこまれるままに奥へと進んだ。
椿はシーツを強く握りしめ、正気を保とうと歯を食いしばる。
浅く、深く、一定のリズムで出し入れしているうちに
眉間に皺を寄せ苦しみよがる椿の目に涙が滲んでは雫となりおちてゆく。
俺も椿も荒い息がとめどなくこぼれ、飲みこめない唾液が胸元を汚す。

「た、たつみさ・・・つみさん・・たつ・・みさぁん!!!」

空をきる指が俺の肩に触れた途端、椿がわらった。安心したように。
こちらの方が照れてしまうような、愛情の塊のような笑顔だった。
お前どんだけ俺の事好きなの?
のぼせてしまいそうな熱が込み上げてきて、顔を覆いたくなった。
代わりに最奥までのみ込ませ、出来る限り近づいて抱きしめた。
繋がった場所が熱い。
どこからが俺で、どこからかお前なんだろうね?

こいつは愛してるとか言わないかわり、目で、頬で、声で、体中全てを使って愛してると伝えて来る。その一途さが、少し俺にはまぶしい。
心を全てさらけ出すには俺は年をとりすぎたのだろう。
湧きあがる幸福感と罪悪感。
お前の愛情は、とてもきれいだ。フットボールだけに向けてれば良かったのにね。
もう捕まえてしまった。
逃がす気は無い。
きっと、逃げる気も。



思考も理性も全部捨てて、感情だけで互いを貪り合う。
一番敏感な部分を強く突いた時甘い声で鳴いて椿が果てた。
急な収縮に我慢しきれず達海も中で吐き出し、動けなくなる。
はぁ、はぁ。
会話なんて出来なくて、なかなかおさまらない呼吸音だけが部屋に響き。
互いの体温だけを感じ合っていた。





「帰ります。」
後始末を終え、汗と一緒に甘い余韻まで流し落としてしまった椿が拗ねた声で言った。
びしょびしょになったTシャツを着るのは嫌だったのだろう
今は俺の貸したTシャツを着てドアノブに手を伸ばしている。

まあ俺が邪魔してるから手は届いて無いけどね。

「放して、ください・・・!」
「えー、やだ。ほら、もっと調べないと。」
「もう十分でしょう!」

さっきは快楽に流されとけたような笑顔をしていたのに
今は眉を吊り上げ厳しい顔で俺をはがそうとしている。
照れるのもいいが、椿は怒った顔は似合わないとつくづく思う。
怒った顔は試合中にだけ見せる勇ましい表情に似ている。
ピッチの上で見せるその表情はとても椿にふさわしいのに、今は違和感しか感じない。
不思議なもんだ。


セックスで疲れた体では、スタミナで劣るから容易に力比べで負けてしまった。
「それじゃあ失礼します!」
そう言い残すと椿はさっさと居なくなってしまった。
ちょっといじめすぎただろうか?
いや、椿だし寝て起きたらもう怒ってなさそうだ。

もそもそとベッドの上に戻る。
疲労感のままにベッドに倒れ込むと未だに残る椿の匂いがした。
ああ、そういえば言い損ねちまったな。
愛してると全身で伝えてきた椿を思い出すと、火にかけられたように心が熱くなった。




「俺もだよ椿。」

洗濯したTシャツを受け取りに来た時にでも伝えてやろう。
きっとまた見せてくれるだろう、あの笑みを。





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素晴らしいいただき物しちゃって、一人じめもいいけれどもったいなので
こちらにぺたぺた。もう、たまんないですちょびさん。ありがとうございました。
さながわはとても幸せ者です。



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