文章 | ナノ


 酔い覚めて



乱酔の後日談
性描写有ります、てかそれしかないので苦手な方注意。




「か、監督?」
「何でもするって言ったのはお前だろう?」

不安そうに俺を探す椿を指であやしながら耳元に声を落とすと
ビクリと震えながらも、頬を朱に染めた椿がこくりと頷く。
声だけを頼りにこちらを振り向き、腕を伸ばして俺に触れようとする椿の目には
一枚の布が視界を奪っていた。


酔った勢いで椿が押し掛けて来た翌朝
この世の終わりを迎えたような顔をした椿が床に頭を押しつけながら謝って来た。
自分が何をしたか、すべてはっきり覚えてるらしい。
椿は自分を犯罪者のように責めていたが
俺からしてみれば御馳走様と言いたいくらいの出来事である。
別にいいよ、そう言おうと口を開いた瞬間椿はこう言ったのだ。

「本当にごめんなさい、お詫びに、おれっ、も、何でもします!」

ぴたり、一瞬でいろんな考えが廻った。
相変わらず顔を上げようとしない椿は見えなかっただろうが
俺はにやーっと口元を歪めた。こんな美味しい事のがしてなるものか・・・!


後日、約束通りに部屋に来た椿をベッドに招くとかちかちに固まった
椿の目に布を巻いた、キャンプで使用した物だ。
あの時密かに視界を失い、言われるままに従う椿に欲情していたのだ。
(こんなに早くチャンスが来るなんて・・・!)


「監督、もっと監督の声聞きたいです」
不安からか椿の声は震えている。
見えない分、声で安心したいのだろう。

「椿、見えないのって不安?」
出来るだけやさしい声を意識して出すと、こくりと椿が縦に首を振った。

「体中が硬くなってる」
服の中に手を入れて腹を撫でた、息を詰める椿に更に快感を与えたくて
とがり始めた乳首を指で挟んだ。

「― っ!」
「ほら、もう乳首立ってる。こっちも・・」

両の手先で潰して、そこをぐりぐり刺激する。
ツンと立った乳首がぷっくら腫れるまで続けてやれば
椿の肌が鳥肌たってるのが分かった。

「寒い、椿?」
「ちが、違っつーー、」

必至で椿が横に首を振った。
それはそうだろう、まだ半袖で十分過ごせる気温だ。寒い訳が無い。
椿を背から抱きしめながら乳首をいじめる、
そして小刻みに震える椿の首筋にキスを落とした。

そのまま耳元にキスを落として周囲をねっとり舐めると椿から小さな悲鳴が聞こえた。
普段より聴覚に頼る分たまらなく感じるようだ。

「達海さん、嫌、そこやだっ」
「そこってどこ? 胸?耳?それとも、声?」
ふうっと唾液で濡れた耳元に息を吹きかけた。

「っひぁ! 冷た」

跳ねる腰の感覚を腹で感じながらにやりと口元が緩むのを感じる。
今日はいつもに増して椿の反応が良い。
とっさに耳を押さえる椿の指を舐めてやれば、また悲鳴が上がる。
きっと椿は後悔しているだろう。

目隠しも、俺の声を聞きたがった事も。
どれも自身を追い詰める枷にしかならない事を悟っているに違いない。
だからって、許してやらないけど。
だって言い始めたのはお前だろう?




今日の達海さんは意地悪だ。
分かってる上でやってるとしか思えない。
次々に与えられる刺激にまるで付いていけず
ただ情けない悲鳴を上げる事しか出来ない。

「んっつ、あああ!」

見えない分、やたら刺激を拾い集める体が嫌になる。
それでもこれから与えられるだろう快感を想像してしまい
それだけで腰が跳ねた、すでに体は快感を期待してしまってる。

こんなにも俺はえろい奴だったのだろうか?
ジワリと浮かんだ涙は目隠しの布に吸い取られていった。

「椿のここ、苦しそう。わかる?ジーパンのかったい布なのに、こんなに押し上げてる」

ぐっと指先で立ちあがっているソレを押しつぶされ、じわりとまた涙がでた。
分からない筈が無い、だって俺の体だ。

達海さんの指がズボンから入り布の上からやわやわと揉まれた。
そこに血がたまるような急激な熱さにじれったくなって
ズボンをホックをはずそうとすると達海さんにたしなめられた。
ひとまとめに腕をまとめられ布のようなもので手首から指先までがっちり拘束される。

こないだの達海さんと同じ状況だ、おれ・・。

「こーら、椿。なに一人で気持ち良くなろうとしてんだ。」
「も、ココ痛いんです、くっ、あ、楽にさせて下さ、い!」
「そりゃあ、こんなに膨らませたら痛くもなるわな。」

目隠しごしに達海さんの不敵な笑みが見える気がする、なんか声が楽しげだ。

ズボンのホックを外され、前をくつろげられる。
圧迫感から解放されほっと一息つく間も無くそこを刺激され、また涙がでた。
その快感に酔うと、今度は逆に手が止められた。

「椿、今度は俺を気持ちよくさせて?」

布がこすれる音がして、ふと鼻先に何かの熱と存在感を感じる。
痺れる体になんとか力を入れてうつ伏せになると、熱いソレに舌を這わす。
先っぽを銜えようとして、ぬるりと唇を滑り、頬にあたった。
もっと口を開けてなんとか銜える。

手が使えないって不便だ。

「は、椿、お前すげえ、えろい。」

頬についた先走りを指でぬぐいとられる。
今更ながら俺、どんな事になってるんだろう?

不自由な腕で体を支えながら舌と唇で繰り返し刺激を送る。
時々耳が拾う達海さんの喘ぎ声や水音にどうしようもない興奮を覚えた。

「はぁ、も、いい椿・・」
ぐ、と身を起こされ、そのまま布団に押し倒される。
太ももを這う達海さんの指の感覚にぞくりと震えが走った。

「あ、つめた・・!」
どろりとぬめった液体をかけられる。
尻から太ももにつたいながれる様子を肌で感じ
とっさにシーツを握りしめようとして指が動けない現実にあせりとじれが湧きあがる。

「・・・っ!」
前から後ろから指が絡み。しごかれながらナカに指が入って来る。
神経が焼き切れるような刺激に腰が跳ね、喉から悲鳴じみた声が漏れた。
ひゅっと息を吸った瞬間に襲われる快感に呑みこむ暇なく息を吐きだした。
「―く、ぁあ!」
快感と異物感と恐怖がごちゃまぜになって頭が真っ白になる。
必至で首を振り、頭をシーツに押し付け衝撃をやり逃す。

いつの間にか脱がされたジーパンが足に当たった。
達海さんはまだ服着たままなのかな?とふと思うも確かめる術が無い。

ビリビリと駆け抜ける刺激が一ヶ所に溜まって、達海さんに手でせき止められ
吐き出せず苦しい、ああ、もうイきたい、限界だ!
後もう少しで手が届きそうなのに、ここぞという時に外され、じわりと涙がにじむ。

「あぅ、く、ふ、」

泣き声に近づいた鳴き声にも達海さんは許してくれない。
ああ、イきたい、イきたい!イいきたい!!
それしか考えられなくなる!

「あ、達海さん、も、お願いしま、す、入れて!イかせて下さい!!」

どんなに苦しくても俺の体をこんな事にした張本人にしか縋る事が出来ない。
恥ずかしさといたたまれなさが重なって苛立ちすら感じるのに
こないだの暴挙を思い出すをキュッと気持ちが引き締まって言えなくなる。

俺のした事は強姦そのものだ。

不安だとか嫉妬に任せて達海さんの気持ちを無視して動きを奪い
体を蹂躙した。

優しい達海さんは俺を責めない、むしろこんな俺を愛してくれた。
ごめんなさい、何度謝っても許されると思わないけど本当にごめんなさい。
後悔に胸が締め付けられ、また涙が流れた。

「椿?」

急に視界が真っ白になった。
目隠しの布がずれたのだ。
涙でぐしょぐしょになった布が重さに負けて鼻先まで落ちている。

「悪い、やり過ぎたか?」
「ごめんなさい、ごめんな、さ、い・・」

目隠しが外れても涙でかすんだ俺の目は達海さんを映せない。
「椿、何泣いてんだ。」
「俺ほんと酷い事達海さんに・・」
「おまえ、まだそんな事気にしてたのか」
「・・そんな事って!」
「そんな事だよ、俺から見れば。」

抱き起こされてくしゃりと髪をかきまわされた後、でこにキスを落とされた。
ぎゅうぎゅうに張りつめた気持ちがふっと落ち着いて、まばたきしたら涙が流れた。

ようやく見れた達海さんはちょっと困った顔をして、優しく笑ってた。

「そんな事より、お前は気持ちを吐き出す練習しないとなあ」

「もっと汚い事も弱音も言えるようになれよ、全部聞いてやれる訳じゃないけど
全部溜めこんで壊れる事だけは止めてくれ。」

その時、達海さんはどこか遠くを見ている気がした。
なにかを思い出してるように俺には思えた。

「だいたい、その事を言い出したのはお前だろう?
一人で抱え込むなと必至な顔して言って来たくせにもう忘れたのか?」

達海さんはお人よしの上、抱え込む癖を持ってるから壊れそうで見てられなかったのだ。
それとこれとは別な気もするけど、達海さんがいうとその通りに聞こえて何も言い返さず
頷いた、抱きしめられた腕の力が思いのほかきついのに、痛いどころか心地良く感じる。

「椿、ゆっくり息吐いてろ。」
いわれるままに息を長く吐くと、ふっと力が抜け
そのタイミングを見計らった達海さんがナカに入って来た。

「あああー! 熱っ!」

肉を割り存在を焼きつけるように己の存在を主張する。
あまりの熱さに腰が引けると、抱きしめていた腕に更に力が入って
より奥まで侵入された。

「・・・はぁ、は、あ、あ!」
呑みこみきれない喘ぎ声と唾液が口からこぼれ胸を汚す。
繋がらない声を無理やり結んで手の布を取ってもらえるように強請った。
指にまで絡んだ布がほどかれ放された瞬間達海さんの背中に回して
ぐっと抱きしめてほっと息をつく。

与えられる熱に溺れながらも、目の前の体に縋り、
達海さんの顔を引き寄せ唇を重ねた。

だんだん俺も達海さんも息が速く荒くなって限界に落ちていくのが分かる。
精一杯舌を絡め、唇を吸い、より達海さんと繋がりたくなった。
無意識にナカを絞めつけてしまい二人で喘ぐ。
絞めつけた瞬間達海さんのモノの形や熱を体で覚えてしまい恥ずかしくて堪らない。

「今のは、はっ、やばかった。椿 ハァ まだ、物足りねえか?」
「違!違いま、す! はっ、やろうとして、やったんじゃ無ぁあ!」

ある一点をぐりぐり押しあげられ、神経をぐちゃぐちゃに掻きまわされる。
そこを刺激されると頭がまっしろになって、何も考えられなく・・!
「はぁ、は、ぁあ! も、イく!ぁあ、駄目、駄目、駄目、ぁあ!」

馬鹿みたいに名前を呼ぶ事しか出来ない、恐怖と快感の中を突っ切っているのだ。
「達海さぁ、ん!!たつみさ、たつ」
「いいよ、イケ!」

「んぁあぁあ――――っ」
「――ぐっつ!」

中に注ぎこまれた熱いものを感じつつ、俺も達海さんの腹を汚した。



ふと目を覚ますと辺りはまだ薄暗かった、どうやらあのまま寝てしまったようだ。

「まだ二時だ、寝てていいぞ。」
「ぉき・・・ げほっ」
「ああ、声枯れちまってんな、無理すんな 椿。」

にひーっと監督が笑う。

「たくさん声だしてたもんなあ、お前。きもちヨカッタ?」
さっきの事を思い出して顔に熱が集まる、なんか達海さんの言い方が、その・・

「・・・・エロ親父」
「否定はしねえけどな。」

頬をおもいっきり抓られた!
すると今度は唇にやさしいキスをくれた。

「もう寝ろ、椿、追い詰めさせて悪かったな。」
ふるふる首を横に振って否定する。

ああ、なんて優しい人なんだろう、達海さん。
いろんな意味でどんどん好きになる、けど声には出せないし出したくない。
声に出すとたちまち薄っぺらい別の物に聞こえるから。

好きとか、愛してるとか言わないでも伝わればいいのに。
そう思いながら暖かい腕の中で目を閉じた。









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