一通



じーっと視線を感じた。
振り向けば、つぶらな瞳と目が合う。
「おぉ、カルビさん。元気っすか?」
視線の主は、極東支部で飼っているカピバラのようだった。
屈んで視線を合わせる。
「今日もご飯は…、食べましたね。」
見渡せば、いつもご飯をあげている皿は空。
そして、カルビの口元には食べカスが付いている。
ゲージからカルビを抱き上げ、膝の上に乗せる。
軽く口元を拭ってやった。
「最近食べすぎじゃないんすか?ほら、お腹の肉がぽよぽよと…」
お腹を突ついてみる。
カルビは怒ったように身体を揺らした。
「わわ!すんませんっ!悪かったですって!」
腹をつつくのを止め、頭を撫でる。
そのおかげか、動きは止まったが、煮え切らないように顔を背けられた。
それでも気持ちいいのか、大人しく撫でられている。
「でも、さすがにそろそろ運動した方がいいんじゃないすか?」
頭を伝って背中へ、毛並みをなぞる。
カルビが不満そうにイーギスを一瞥した。
それを受けてイーギスは苦笑する。
「分かってますよ、俺だってやりたくないすわ。」
「運動すんのは面倒臭いっすね〜。」などと話かけながら、カルビと談笑するイーギス。
そんな彼等の奥。
ラウンジの隅にあるゲージの反対側。
そこには、じっと視線を送るシエルが居た。
その二つに気が付いたアリサが動きを止める。
 シエルさん、あんなに熱心に見つめて…頑張ってください!
小さく拳を握り、邪魔にならぬようそそくさとラウンジを後にする。
残ったシエルは、羨ましそうにイーギスを見つめ、
 何故、噛まれないのでしょうか…
と疑問を浮かべていたとか。





――――――


あとがき

まさかのカルビとの話でした。
時間軸的には、カルビがまだそれほど大きくなっていない時期です。
しかし、今回は自分でもまさかすぎました。
当初のイメージではもっと違ったのですが、いざ書いてみると何故かカルビがメインでした。





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