前幕



「この髪…きらい…」
路地裏の、湿った空気。
家の亡骸の隅に二人の少年は居た。
深い夜を受け入れた色と、暗闇に溶け込めない異質な色。
「俺は、綺麗だと思うけどな」
浮かび上がった少年の頭を撫でようと手を伸ばせば、異常な程肩を跳ねたのが見えた。
「おれは…っ、きらい」
俯いて丸まって、自分よりも低い背がさらに小さく感じる。
「…じゃあこれやる」
「わっ!?」
突然浴びた衝撃に、少年は手足をばたつかせる。
頭上に押し付けられた何かを掴もうともがく。
「いつか返せよ?」
そんな少年には伝わらないだろうが、思わず口角を上げた。



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