50 先生と私C

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それから私が主に今まで実はつき合ってました〜と言うことを説明した。
それを杏寿郎さんがなんか知らないけど凄く気にしてて、私をみんなに紹介する前に宇髄先生の意見を聞こうとしてるんです〜という所まで説明してあげた。


宇髄先生は三杯目の生ビールを飲み干し、手元の焼き鳥を食べてから一息ついた。
そして私たちを交互に見やる。


「まぁ、まさか苗字と煉獄がなあ。煉獄が、あの花子とデキてたなんて知ったら、あの頃のファンたちは絶望すんだろうなあ」
「宇髄先生、そのあだ名で呼ばないでください」
「!?なんだ、花子というのは」
「ん?煉獄、おまえこいつの花子ってあだ名知らなかったのかよ?」
「知らん」

ああ…。
別に隠していた訳じゃないけど、今になって面倒なことになりそうな予感。


「花子」とは私の高校時代のあだ名だ。
煉獄先生一筋になって私が他の男子を完全に拒否し始めたら、いつの間にかそんなあだ名が広がっていた。
「高嶺の花」からきているらしい。


「逆に苗字の冷たい態度がぞくぞくするとか言って、一定数のファンが出来たんだよ。そのファンたちの間で苗字は花子って呼ばれてたんだよ」
「…知らなかった。名前、なぜ黙っていた」
「いや、自分からそんな恥ずかしいあだ名の話なんてするわけないじゃん…」

今度は私が下を向いて縮こまる番だ。
杏寿郎さんが私に前のめりになって問い詰めてくる。
そんな私たちを見て宇髄先生は良いことを思い付いた、と言うふうにニヤニヤ笑い始めた。


「もしかして煉獄、唯一苗字が付き合った男とかも知らねえの?」
「!!!!」
「宇髄先生!!」

杏寿郎さんの顔が本気で怒っているのが分かった。
分かってしまった。

「でも彼は、色々な経緯があって付き合ったんだよ!その時も煉獄先生のことが好きだったの。でも、彼なら付き合ってみたいなって思った人がいて…」

あれ、この話は墓穴掘ったかな。
杏寿郎さんの顔が怖くて見れないけど、宇髄先生がぎゃはぎゃはと下品に笑っているからなんとなく分かる。
身の危険を感じる。


「誰だ。名前は。何年何組にいた」
「えーと、名前は確か…」
「宇髄先生!!言う必要ない!杏寿郎さんも!もう過ぎたことだから!」

わーわー騒いでいたら店員さんが来て注意され、私たちは静かになった。
未だに宇髄先生は腹を抱えて笑っている。


「まじで今年1番おもしれぇわ」
「宇髄先生、最低。前から思ってたけど未だに変わらず最低」
「おい俺は神だろうが。最低じゃねえ、最高だろ」
「馬鹿なんじゃないですか?」
「うわっ、出たよ花子」
「先生!!」


おしぼりを投げようとした私の腕を杏寿郎さんが掴む。

「ほら、もう暴れるな。そろそろ今日はお開きにしよう」
「えー、つまんねえな」
「また今度、改めて3人で飲もう」
「俺んちなら防音だし広いし好きに暴れて良いぜ」
「ああ。今度は宇髄の家にお邪魔しよう」
「なら不死川とか冨岡とかも呼ぼうぜ」
「む、まあ、彼らなら…」


勝手に話が進められているが。
杏寿郎さん、目的忘れてない??



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