18 先生とセフレになるB

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まな板の上に置きっぱなしのキャベツと包丁をどうにかしないと。

目が覚めて、部屋が真っ暗になっていることに気がついて時間を知りたくてスマホを探す。
でもここに来るまでにスマホを持った記憶はないから多分近くにない。
ちらりと隣を見ると、先生はぐっすり眠っている。
お互いに裸だから逆になんだかあったかい。


どうしよう。
してしまった。先生と。セックスした。

初めてだったから色々分からなかったけど。
気持ちいいとか、痛いとか、考える余裕もなかった。
アドレナリンが出まくっていたのかも。
でも股の違和感がすごい。
気持ち悪い。

先生はちゃんと挿れる前にゴムをしていたから大丈夫だと思うが、濡れている感覚がある。
これは自分の体液なんだろうか。

そっと布団をめくってみると、真っ赤ではないがうっすらとピンクっぽいシミが付いていた。
先生の布団を汚してしまった。
どうしよう…。


とりあえず誰かに相談したい。
誰かに、でも、この関係を知ってるのは狛治と恋雪だけ。
LINEの3人のグループにメッセージを送ろうと考えて、やっぱりやめた。文字に残す行為は危険だ。

というか。
家族に連絡していない。

私のスマホはリビングにある。
寒いし股が変だし、このまま先生と寝ていたいけど、とりあえず戻ろう。

制服はベッドのすぐ下にぐちゃぐちゃになって落ちていた。
シワが出来そうで怖い。
さっき泊まっていいと言っていたし、後でハンガーを借りよう。
不思議な感覚の残る体を労りながら、制服を拾って袖を通す。
少しひんやりしている。


キッチンはもちろんそのままの状態だった。
ローテーブルの上に置き去りにされていたスマホをタップする。
19時。
親からは「泊まるの?」「連絡ください」とメッセージが何件も送られてきていた。
慌てて「友達の家に泊まることにする」と返信する。
これで家のことは心配しなくて良い。


次第に冷静さを取り戻してきた。
いつかこうなりたいと思っていたし、突然先生に襲われたからと言って私の気持ちは変わらない。
でも先生は?
もうこれで終わらせようと思っているのだろうか。
明日から来るなと言われたら?
まあ行くけど。

一応、脅し用に先生の裸の写真でも撮っておこうか。
もう一度先生の寝室に行くと、ちょうど彼も起きたところだった。
目を擦って眠そうに俯いている。
可愛い。


「おはよう、先生」と声をかけると、びくりと肩を揺らした。
私も内心なんと言われるか、ドキドキした。

「名前…」
「へ…」
「すまん、苗字」
「いや、なんで言い直すの。別に名前でいいよ」
「…名前、俺の服で良ければ別のスウェットがそこのクローゼットにあるから、着てくれ。下着は…買いに行くか?」
「先生の履いてないボクサーパンツとかない?それ履くよ。ブラは家だと付けてないし」
「……その引き出しにある」


先生は至って普通というか、今まで私たちのこの関係が当たり前のように話し出す。
どういうことなんだろう。
私たちって?

「ねえ、私たちってセフレ?」
「……俺は、君が思っているほど良い大人じゃないということだ」



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