-41 羞恥と再会

.

宇髄先生はそのあと定食屋さんで夕ご飯を奢ってくれた。
よく先生たちで昼ごはんを食べに来るらしい。


その時に伊黒先生と蜜璃ちゃんの話を詳しく聞かせてもらった。

蜜璃ちゃんがまだキメツ学園に在学中、女性が苦手な伊黒先生が唯一平気だったのが彼女らしい。
それからずっと好きでストーカーのような行動が功を奏し、蜜璃ちゃんも伊黒先生を気になり始めたようだ。

2人はこうして良く会っていて、キメツ学園教師の中では有名。
煉獄さんは2人の関係を1番に応援している。
だから煉獄さんが蜜璃ちゃんをloveの意味で好きなのはあり得ない。
宇髄先生からそう聞かされた。


何度も何度も宇髄先生に頭を下げて感謝を述べて、2人で互いのアパートへ帰ってその日は終わった。

家に帰って1人になると自分の勘違いに呆れと恥ずかしさで勝手に口角が上がってしまう。
ああ、私はなんて馬鹿なんだろう。
勝手に突っ走って煉獄さんを拒否してしまった。
せっかくお友達になってくれたのに。

だからと言って今すぐ煉獄さんに連絡するのも気が引ける。
今度の納品日が勝負だ。
そう決心して眠りについた。



そしてついに納品の日。
今回はちゃんと煉獄さんの授業がない時間帯に着くように調整した。

緊張しつついつも通りに仕事をこなして行く。
2階へ重い段ボールを1箱ずつ運ぶ。
煉獄さんは来るのだろうか。
ドキドキと心臓がうるさい。


「…手伝ってもいいか?」
「!」

振り返るとそこには久しぶりに見る煉獄さんがいた。


「…煉獄、さん」
「久しぶりだな、苗字さん」
「あ、あの…」
「手伝っても良いだろうか?苗字さんが良ければ」
「もちろんです…!」

煉獄さんはひとまず1階へ降りて置いてあった段ボール2つをひょいっと持ち上げ、すぐに私に追い付いた。

そのまま無言で倉庫へ。
そんな気まずい雰囲気を数回繰り返して、全ての段ボールを倉庫の中へ移した。
いつも通りに煉獄さんは事務用品を棚の中へ仕舞う作業も手伝い出す。

名前、勇気を出せ…!


「あの、煉獄さん」
「ん?なんだ?」
「また、一緒にお出かけしませんか…?」
「…いいのか?」
「すみません、あの時は。私、あの、甘露寺、蜜璃ちゃんと煉獄さんが恋愛関係みたいな、そんな感じなのかと勘違いして…邪魔しちゃ悪いなって思って、断ってしまいました……」
「…」

煉獄さんは目をくりくりさせたまま数秒固まり、そして大きな声で笑い出した。

「ははは!!よもやよもやだ!」
「ほ、ほんとにごめんなさい…!」
「いや、かまわない!そういうことだったか、苗字さんは面白いな!」


腹を抱えて笑い続ける煉獄さんに釣られて、私も自然と笑顔になる。

「よし!では次はいつにしよう?どこへ行く?」
「そ、そうですね…。おいしいものを一緒に食べたいです」
「ああ、良いな!また仕事終わり、飲まないか?とっておきの居酒屋に連れて行こう」
「はい!行きます!」

よかった。
嬉しくて少し涙が出そうになって必死に堪えた。
煉獄さんは笑いすぎて目尻に涙を溜めていた。




prev / back / next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -