-28 高校時代

.

宇髄先生は引き出しの奥から何かを取り出してテーブルの上にドンっと置いた。

卒業アルバム。
そして何故か数年に渡って所持しているらしく、煉獄さんの卒業アルバムも持っていた。
後から聞くと、教師という立場を利用して知り合いのいる年のアルバムは学校の保管室から勝手に貰ってきたらしい。


「ほら苗字、見てみろよ」
「えっ、いいんですか」

と、言いつつ早速ページを捲る。
ちょうど開いたページに宇髄先生が載っていた。
ひとめ見てすぐにわかった。

「わあ、宇髄先生は変わらないですね」
「だろ?いつまでも美しいままだぜ」
「ははっ」
「んだよその渇いた笑いわ!」


今よりも若干幼くて可愛らしい宇髄先生。

次のアルバム。そして次のページ。
そしてついに見つけた。

「れ、煉獄さん……!」
「む、恥ずかしいな……」

今とあまり変わらないけれど、千寿郎くんにとても似ている。
元気そう、でも今より少し頼りなさそうな感じ。
それにしても…

「かっこいい……」

はっ!
声に出してしまった!

慌てて顔を上げると、宇髄先生は笑いを堪えていてムカつく。
隣に座る煉獄さんは耳を赤くしていた。
照れてる…?


「よもや…」
「良かったじゃねえか煉獄う」
「なっ、あの、深い意味はなくて!!!」

慌てて言い訳しようとするが、考えれば考えるほどに言い訳のしようがない。
恥ずかしい…!


「苗字の学生時代の写真はねーの?」
「ありますけど…」

ああ、また正直に言ってしまった。
「ないです」で良かったのに。
こういう時に機転が効かない自分を呪う。


「見せてくれ!」
「俺も見てえ」
「!?煉獄さん!なんでそんなノリノリなんですか!宇髄先生はともかく…!」
「俺のばかり見られていては不公平だ!」
「うう…」

たしかに、そう言われてしまえば否定できない。

仕方なくスマホを開く。
高校生の頃の写真は数枚だけど、お気に入りのものだけ残っている。
できるだけ写りの良いものを選んでそっと2人に見せた。


「はあーん、地味だな」
「宇髄先生には何を言われてもどうでも良い気分ですね」
「んだと?」

ギャーギャーうるさい宇髄先生は置いておいて、食い入るように写真を見つめ続けている煉獄さんが気になった。
私、そんなに変だったかな…?

「……髪型が違う」

煉獄さんが大きな目を爛々とさせてぽそりと呟いた。

「私けっこう頻繁に髪型変えます。飽き性で…」

今は伸ばしているが、昨年まではベリーショートだった。
今見せている写真の自分はボブだからかなり幼く見える。


「……どんな髪型も似合う!」
「えっ、ありがとうございます」
「君は本当に可愛いな!」
「えっ!?!」
「もっといろんな可愛らしい君を見たい!」

ど、どうしたんですか煉獄さん!

「こいつ酔ってんな」
「そ、そうなんですね…!」

たしかに前に2人で飲んだ時よりも煉獄さんの顔は赤くなっていて、笑顔も蕩けるように可愛らしかった。



prev / back / next
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -