-20 意地悪な先生

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もしかしたらまた煉獄先生に会えるかもしれない。
そんな思いから私は夜にコンビニに行くことが増えた。

また彼が送ってくれると悪いから、車で。

あれから全く会えはしない。
もう明日、2人で食事に行く日なのだ。

緊張と興奮で眠れず、私はまたコンビニにやって来た。
眠りに良いと評判のチョコレートでも買ってみようかな。


「お?また会ったな煉獄の女の…なんだっけ、あ、苗字サンね」
「…」

なんでこの人には会うんだろう。

コンビニで出会ったのは宇髄先生だった。
今日は1人のようで残念。


「残念だが今日は煉獄いねーよ」
「…別に煉獄先生に会いたい訳じゃないです!」
「ふーん?そうか?ん?」

チョコレートの棚で目当てのものを物色していると私の後ろに何故かついて来る。


「煉獄はな、おまえの前の業者の時も手伝ってたんだからな」

「ちなみにおっさんだった」と宇髄先生は続けた。

そんなの分かってる。
煉獄先生はただ優しい人。
私だけに優しいわけじゃない。


「あいつはモテんだぞ。バレンタインのチョコ獲得数はキメツ学園で3位だ」
「さ、3位…」
「ちなみに俺は1位だぜ」
「へー、そうなんですか。すごいですね」

一体どのくらいのチョコレートを貰っているんだろう?
ていうか、先生たちからもらうの?
いや、生徒だよね?
先生と生徒って割とよく付き合うって聞いたことがある。

ていうか何でこの人は私にそんなことを言ってくるんだ。
もうチョコレートを食べる気になれない。

適当にドーナツとビタミンドリンクを手にしてレジに向かおうとすると、宇髄先生も当然のようについて来る。

レジに行くと宇髄先生が「これも」と言って勝手に雑誌とコーラを置いてきた。
レジのお姉さんはニコニコして一緒に会計を始める。

「ちょ…」
「俺が払うに決まってんだろ」
「え…」

瞬く間に宇髄先生は私のものと自分のものの会計を終わらせた。
私のお金を出す隙もない。

「あの…お金…」
「おごりだよ」
「ええ…」
「なんだその嬉しくなさそうな顔は」
「いえ!あの、ありがとうございます…!」

ぽんっと優しく宇髄先生の手のひらが頭に乗る。
絶妙な力加減といい、女に慣れていそうだ。


「けどな」
「?」
「食事に誘われた奴は俺が知る限りはおまえが初めてだぞ」






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